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Magicians Dream  作者: ransu521
第一部 光の器と闇の軍勢
7/139

7,寺内麻美

「……ここが、私の部屋」


あの後私は塔の中に入り、指定された部屋の中に入る。

その途中で、私は何人もの人達に歓迎された。

ある人は、


「ようこそ試練待つ人の塔へ!」


なんて言ってきたり、ある人は、


「災難だったね……けど、ここで頑張ればいつか絶対に元の世界に帰れるから」


と、私を慰めてくれたり。

またある人は、


「君可愛いねぇ~お兄さんとお付き合いしない?」

「……隆太?」

「悪い悪い。ちょっとしたごあいさつってやつだからよ~」


こんな感じでカップルでちょっとした会話を挟みながら私を歓迎してくれたりと。

いろんな反応を見ることが出来たけど……誰一人として私の入室を不満がる人はいなかった。

……これが、この世界の人達の特徴なのだろうか。

さすがは天上界エンジェルフィールというべきでもあるのだろう。


「……そして、後はここに住んでいる人の顔を見れば、いいんだよね」


そして私は、ここにやってきた。

アルカ様に言われた番号は……230。

そして、私が今立っている場所の目の前にある扉に刻まれる番号もまた、230。

……ここで間違いない。

ここが、今日からしばらく私が住むべき場所。


「……」


緊張してきた。

この中にいる人は、私にとって見知らぬ人だ。

はたしてうまくやっていくことは出来るのだろうか……。

それ以前に、言葉が通じ合うのかすら分からない。

とにかく分からないことだらけだけど……いつまでもウジウジしていたって始まらない。

だから私は、勇気を振り絞って、


トントン。


「はい? どうぞ」

「し、失礼します」


ガチャッ。

私は最初にノックをして、それから中に入った。

緊張の為か、声が出にくいけど……それでも私は何とか声を出す。

そして、挨拶をする。


「……おお」


中に入って、部屋の様子を見た時……かなり整理されてる印象を持った。

まぁ、私の私物なんてこの世界には用意されていないのだから、これらすべてはこの部屋の主の物となるわけだ。

……それにしても、あまり欲がない人なのか、私物の数が少ない。

必要最低限度の物しか入っていないようにも思えた。


「あの……貴女が今日からしばらくの間この部屋で住む人ですよね?」

「え? あ、うん、そうだけど……」


その部屋からひょいと顔を出してきたのは……私よりも少し背の小さい女の子だった。

礼儀正しくて、可愛い……多分年齢で言えば小学生くらいだろうか。

その子は、私の顔を見て、そう尋ねたのだ。

私がその質問に答えると、途端に笑顔になって、


「良かった……もし来なかったらどうしようかなって思ってた所なんです」

「……」


でも、逆に思う。

こんな子が……一人でずっとこの部屋に住んでいるのか。

それは一人暮らしなんてしたくないと思うのも当然だろうに。


「あ、御免なさい。紹介が遅れました。私の名前は寺内麻美っていいます」

「私は細川葵。よろしくね!」

「はい。よろしくお願いします!」


ギュッ。

私と麻美ちゃんは、互いの右手を掴み、握手をする。

……でも、この子が、運命を受け入れた子か……。

何だかそんな風には見えないんだけどなぁ……。


「どうかしましたか?」

「あ、いや、何でもないの!」

「……失礼なことをお聞きしますが、細川さんって今何歳ですか?」

「え?」


いきなり年齢を聞いてくる麻美ちゃん。

……何だか真剣な表情をしているけど、これは一体どういうことなんだろうか。


「えっと……17歳だよ。今年から高校三年生に上がる予定だから……合ってるよね」

「そうなんですか……私も、もしそのまま生きていれば、細川さんと同い歳ということになってたんですね」

「……同い年?」


……まさか、麻美ちゃんって。


「はい……私は小学生の頃に、すでに殺されているんです」













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