6,第一の試練終了後
「……おめでとうございます。これで、第一の試練は合格です」
「……ハァハァ、お、終わり、ですか?」
第一の試練は、終わった。
10人の剣士は、跡形もなく消え去って行った。
……ふぅ、疲れた~。
今は早く眠りたいな……っていうか、私はこれからどこへ行けばいいのだろう?
「試練と言っても、一日で終わるものでは……ないんだよね?」
「それはもちろんです……貴女には後三つの試練が課せられますが、その三つは、決して一日では終わるものではありません。それに、今日貴女は相当魔力を消費したことでしょう。ですから、まずは今日休んではいかがでしょうか?」
「それはそうなんだけど……私、これからどこへ行けばいいの?」
私がそう尋ねると、アルカ様は心配いらないといったような表情を浮かべ。
「そのことなら心配いりません。貴女がこれから住む場所は……こちらですでに指定しておきましたので。相部屋になりますけど、よろしいでしょうか?」
「もちろん構わないよ。むしろ楽しそうだもん♪」
「そう言ってもらえてうれしいです」
アルカ様は、私のそんな反応を見て喜んでいる様子だった。
けど……指定された場所というのはどこだろうか。
「それで……その場所というのは?」
「この神殿のすぐ近くの建物です。確かこの神殿の横に、大きな塔みたいのがあったはずでしたよね?」
「大きな塔……そう言えばあったようななかったような……」
でも、塔に住むなんてなかなか出来ない体験だと思う。
……何でまた塔に住むスペースを設けるのかな。
さすがは天上界。
考えることがちょっぴり違う。
「あの……別に趣味で塔を住むスペースにしているわけではありませんよ?」
「え? そうなの? じゃあ……何か関係でも……」
「この世界に元々住みついてる人達は、それぞれ個人所有の住処を持っています。あの塔は……言うなれば仮初の住処。試練を言い渡されて、その試練を突破して元の世界へ帰ることを望む人達が集う……そんな場所なのです」
「試練を待つ人の……住む所」
なるほど。
私と同じような事情を抱えている人達が……他にもいるということか。
私のように、世界を渡ってきた人が、他にも……。
「そして、貴女と同じ部屋に住む人は……先ほど私が告げた、運命を受け入れてしまった少女です」
「え!?」
……驚いた。
まさか、その人と一緒に暮らすことになるなんて。
……って、ちょっと待って。
「確かその塔って、試練を待つ人達が住む所なんだよね?」
「ええ、そうですよ」
「それなら……その人はもう試練を受けずに運命を受け入れて、こちらの世界に来たのだから……ここに定住するような場所を建てればいいのに、どうしてそれをしないの?」
アルカ様は、少し口を固く閉ざし、それからこう言った。
「その人は……自ら進んでその場所に住むことを選んだのです。その塔は、人と人同士の結びつきが強く、そんな結び付きが、彼女の心を揺らしたのでしょう」
「なるほど……」
確かに、定住したければ一人暮らしでもいいからこちらの世界に家を建てればいいだけの話だ。
けれど、確かに一人暮らしを始めてしまえば……人との関わりなどほとんどなくなってしまう。
その人の選択は、確かに正しいかもしれない。
どうせ生きていくのなら……たくさんの人と関わって生きていきたいと思うし。
「では……部屋の番号はこちらです。第二の試練の内容は明日伝えますので、明日、もう一度この神殿に足を運んでください」
「分かりました」
番号が書いてある紙をもらい、私はそれをポケットの中にしまう。
そして、
「ありがとう、アルカ様。それじゃあまた明日……ここで会おうね♪」
「はい、葵さん」
そして私はアルカ様に別れの言葉を告げて、神殿を出た。