5,第一の試練
「とにかく……一体ずつ減らしていくのが最適ね。近くにいる敵から順番に倒していくのよ」
私は、周りにいる十人の剣士の姿を見ながら、そう呟く。
そして、十分に思考がまとめられたようなタイミングで、
「……!!」
相手は私に斬りかかってきた。
どうやら一撃必中の戦法を選んだらしい。
剣で相手を一気に斬り伏せるかの如く、それは私に襲いかかる。
けど……剣士の相手をするのに、剣以外の武器を使ってはいけないなんて法則はないよ!!
「ハァ!」
ドン!
私は右手に銃を出し、それで近づいてきた一体の剣士を撃つ。
「……瞬時に自らが使うべき武器を選ぶとは……凄いです」
アルカ様からのお褒めの言葉を貰う。
……瞬一程の実力は持っていなかったとしても、仮にも私は魔術格闘部の部長を務めていた身。
こんな戦いでくたばっているわけにはいかない―――!!
「!!」
「くっ!」
相手がどんどん私を攻めてくる。
剣を頭上まで振り上げて……一気に振り下ろす―――!!
「……かくなる上は!」
ヒュッ!
私は、手にしていた銃を……剣士に向かって投げた。
すると剣士は、その銃を弾く為に攻撃の姿勢を崩して防御の体勢をとる。
……ここが、チャンス!
「彼の者を眠りに誘う雷をくらいなさい!」
右手に雷を溜めて、そしてその手を相手に向かって思い切り突き出す。
「ライトニング!!」
いつも瞬一が使っていた技を……私なりの呪文で詠唱したもの。
技の威力までは完全に真似することが出来ないけど、相手を一体倒すくらいなら私にだって出来る―――!!
「!?」
喰らった剣士は、そのまま姿を消す。
弾かれた銃は、未だに空中にあった。
「……風よ、私の身体を舞い上がらせよ」
ヒュッ。
地面に描かれた魔法陣から、竜巻らしきものが現れる。
そして、そのまま私の身体を乗せる。
「……やりますね」
アルカ様の感嘆するような声が聞こえてくる。
私はそのまま空中に飛び、銃を手にする。
そして、
「喰らえ……!」
ドン!
弾を一発撃ち、相手の心臓を確実に捕らえる。
これで残りは7体。
この調子でいけば……いけるかもしれない。
「キャッ!」
だけどその時、剣士の内の一体が、私に体当たりしてきた。
着地したてで動くことの出来なかった私は、それをそのまま受けてしまい、思わず尻餅をついてしまう。
そこに、剣士の持つ剣が……!!
「くっ!」
咄嗟の判断で後ろに避ける。
けど、避けた先にも剣士がいた。
「なっ……!」
駄目だ、相手が多すぎる。
これじゃあ私は……負ける。
この世界での死は、現実世界における死だという。
つまり、ここで負けると……私は死ぬ。
……そんなわけにはいかない。
私は生きて、瞬一に会うんだから―――!!
けど、数が多いのはどうすることも出来ない。
せめて増やすことが出来れば……うん?
数を増やす?
……その手があったか!
「ライズ……私に力を貸して!!」
短い詠唱だからそう長くはもたないけど、短い時間で十分。
時間を稼げればそれでいいのだから。
地面に展開された魔法陣から、雷を帯びた精霊が召喚される。
そして、
「我が雷を受けよ!」
その電撃は……一気に4体蹴散らした。
凄い……短い詠唱だったのにここまでの力を出せるなんて。
さすが精霊、力が違う。
「……後3体はこれで片付ける……!!」
残りは後3体だ。
3体ならこの銃一つでなんとかなるはずだ……!!
そして、初めての試練が、終了した。