26,Aクラスへの留学生
Side???
いよいよ、今日からのこの学園に通うこととなりました。
私のクラスはAクラスで、あの人とは違うクラスとなってしまいましたが、それでも一緒の学校に通えるということだけあって、私の胸は弾んでいます。
「お、おい、見ろよ……あの人、もしかして……」
「そ、そうよ……『あの国』の……」
私のことを噂する人達の声が、私の耳まで届いてきます。
ですが、そんなことは私には関係ありません。
まずは校長室に行くことにしましょう。
それからAクラスの教室へ行き、そして……。
Side小野田
「え~今日は転入生、というか、日本に留学を希望してきた生徒を紹介する」
教師の説明によると、今日からこの学校に留学してくる奴がいるとのことだ。
……つまり、簡単にいえば外国人の転入生。
……どうせ外国人、日本人と違ってプライド高いんだろうなぁ。
「さ、入っても構わないぞ?」
教室の外にいるその人物に向かって、教師は声をかける。
すると、そこから入ってきたのは……。
「「「「「お、おおおお……」」」」」
「ま、マジで?」
「や、やべぇ……興奮してきた」
「俺の時代がキターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
……教室内が荒れる。
無理もないだろう、なぜならその転入生は……。
「グレイブスタン公国からやって参りました、アイミーン・グレイブスタンと申します。一年間この学校で勉学に勤しみたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします」
昨年日本と同盟を結んだ、グレイブスタン公国の王女様なのだから。
……思わず俺も、言葉を失ってしまうほどだった。
王女様という柄も去ることながら、こんなにも美人な人が、この学園のこのクラスに転入してくるなんて……。
これは、夢か?
それとも、実はパラレルワールドでの出来事だったりする?
しかも、何か都合のいいことに、俺の隣の席が空席だったりするんだぜ?
……これは、チャンスなのか?
チャンスと考えていいんだよな!!
「それじゃあアイミーンさんは……あ、あそこで無意味に舞い上がっている自滅王の隣の席だな」
「先生までそのあだ名で呼びますか!?」
アイミーンさんの前でなんて説明をしてるんだこの教師は!?
大体教師が生徒のことをあだ名で呼ぶか、普通!?
……まぁいい。
どちらにせよ、俺の隣にアイミーンさんが来たのだ。
これから誤解を解いていけばいいし……お近づきになれるチャンスだ。
「お前はとりあえず黙ってろ……それじゃあアイミーンさんはそこの席に」
「分かりました」
髪を揺らしながらこちらまで歩いてくる光景は、とても様になっていた。
何と言うか……歩く度に揺れる金色の髪の毛が、まるで黄金のように輝いているようにも見える。
その姿は、等身大のリカちゃん人形と言うべきだろうか?
ああ……何と表現したらいいか分からない程、この人は美人だった。
「ズルいな……自滅王のくせに」
「うっせえよ」
ガタッ。
後ろの奴からやってきたヤジを、俺は聞き流す。
なにせ今日から俺は最高の気分で学園生活を送ることが出来るのだ……俺ってばなんてついてるんだ?
そんなことを考えていると、隣の席の椅子が動く音がする。
そして、
「よろしくお願いしますね」
「……は、はい」
思わず俺が敬語で答えてしまうような、最高の笑顔を俺に見せ、そう挨拶をしてくれたのだった。