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Magicians Dream  作者: ransu521
第二部 新学年
41/139

18,薬を手に入れて

待つこと、数十分後。


「ふぅ……出来たわよ」


そう言いながら、女子生徒が一個のカプセル薬を俺の手の上に乗っける。

……これが、解術薬?

一見普通の薬にしか見えないんだが……。


「そりゃそうよ。結局は薬だもの。姿かたちは似通っている物ばかりよ。もっとも、その効果は抜群のはずよ……」


なるほどなぁ。

解術薬、確かに手に入れたぜ。


「じゃあな、月夜を変えちまった犯人さんよ。口止め料として晴信を好きに扱っていいからよ」

「……やっぱり私達が犯人だってことは分かってたのね。いいわ、この男は私達がもらうわ」

「ってちょっと待て! 俺の意思はどこに……ってそこの女子! その手にもつ手錠は一体何のために……うぎゃああああああああああああああああああああ!! しびれるぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!」


……手錠を持つ女子生徒に気を取られていて、スタンガンを所有している女子生徒には気づいていなかった晴信。

……恐ろしや、薬学研究会。

ていうか、薬を専門に扱うのなら、せめて何かしらの薬を利用しろよ。

何現代の文明の利器に頼ってるんだよ。


「お前らな……」

「目的の為ならどんな手段も顧みない。それが、薬学研究会の会則第三条よ」

「「「「会則第三条! 目的の為なら、どんな手段も顧みない!!」」」」

「……第三十条まではあるけど、よかったら聞いていく?」

「結構だ……それじゃあ、俺はこの薬を月夜に届けるから……晴信のこと、よろしくな?」

「分かったわ。せめて生きて返すようにはするから……また会いましょ?」

「あ、ああ……」


そう言葉を返した俺だったが、出来ればもう二度と関わりたくはないと思っていたのは心の中だけの秘密ということで……。












「……おおう、何だこれ?」


教室に帰ってきた俺が見た光景は……。


「……瞬一君、やっと戻ってきてくれたんだね……」

「……織、これは一体……」

「突然月夜が泣きだしたんだよ。よく分からないけど……『瞬一がいない……隠した人、誰?』と言いながら、ナイフを持って……」


呆然とする織に代わって、大和が説明する。

……って、待て待て。

確実に発作的な何かが発動していないか?

……俺、あんな状態の月夜に、この薬を飲ませようってのか?

ちょこっとミッションインポッシブルのような気がしなくもない。


「そんなわけで、ここは瞬一の出番だよ……って、その薬は?」

「ああ、これか?」


さすがは葵だ。

俺の持つ薬の存在に気付くとはな……。


「これはついさっき、晴信という尊い犠牲と共に手に入れた、要は解術薬だ……薬学研究会の奴らに作ってもらったから、効果はあるはずだ」

「なるほど……なら、その薬を、早く里崎さんに……」

「けどよ春香……あの状況の月夜に、その……近づけるか?」


俺としては、ちょこっと遠慮したいんだが……。

何せ、月夜の表情は、この世に絶望したかのような物であり、頬には眼から流れる涙の跡があって、そして何より……その手には光り輝くナイフが……。


「……瞬一、やっと、来てくれた……♪」

「……」


俺、終了のお知らせ。













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