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Magicians Dream  作者: ransu521
第一部 光の器と闇の軍勢
4/139

4,試練開始

「……どうしましたか? 私の姿がそんなにおかしいですか?」

「……いえ、そういうわけでは、ないんです……」


凄い……。

美人なのに……重い威圧感を持ってる。

さすがは女神様……これほどの貫禄の持ち主だなんて……。


「さしずめ、初めて私の姿を見ているから驚いている、と言うところでしょうか」

「いえ、厳密にいえば威圧感を感じているといいますか……」

「威圧感? うふふふふ……貴女は実に愉快な方ですねぇ」

「は、はぁ……」


さっきまでの貫禄はどこへ行ったのやら。

何だか私でも気兼ねなく付き合えるような……よくいえば人づきあいがよさそうな。

悪くいえば、女神様にしては偉く軽いような、そんな感じがした。


「そう堅くならないでください。私としても少しやりにくいので」

「で、でも、アルカ様は女神ですから……」

「……そうですね。敬ってくれるのは嬉しいことなのですが、別に敬語を使わなくてもいいですよ? それが葵さんの本来の姿なのですから」


……本来の姿と言われるのは少し心外だけど。

どうやら関係を深めようとしてくれているらしい。

なら、私もそうさせてもらおうかな。


「えっと……これで、いいかな?」

「はい。大分楽に話しを進めることが出来ます」

「う、うん……」


……けど、何だか雰囲気に慣れない。

同じ女性でありながら……この人は私の数倍もの歳をとっている。

それだけじゃない。

力も私なんかより数倍はある。

……恥ずかしい話だけど、瞬一でもアルカ様には勝てないのではないだろうか。


「ではまず一つ……この度は災難でしたね」

「え、えっと……災難と言うべきか、何と言うか……おかげで私にはこんな力があるんだと理解させてくれたというか……確かに瞬一に会えなくなるのは少しつらいけど……それでも、私が今やるべきことが見つかってよかったと思ってるの」


確かに瞬一にしばらく会えなくなるのは……辛い。

しばらく、という期間じゃないかもしれない。

ひょっとしたら、数年……永遠に会えなくなるかもしれない。

けど、必ず私は戻る。

永遠に会えなくなるなんて……そんなこと、絶対に考えたりしないんだから!


「ふむ……『シュンイチ』とは葵の彼氏ですか?」

「ふぇ!? い、いや、違うよ! 瞬一は私の友達で……」

「あらあら……うふふふふ♪」


な、何だかこうしていると、本当に頼りがいのあるお姉さんみたい。

何というか、温かい……。


「……話が逸れてしまいましたね。戻しましょう」

「……はい」


アルカ様の言葉によって、話は元の軌道に戻る。


「私が知る限りでは、貴女のような例は……これで二人目ですね」

「え? 二人目?」

「……ええ。闇の力を大量に受け、その影響で光の器(てんし)の力を無理やり暴走させられたのは……貴女を含めて二人目です」

「二人目……ということは、一人目の人は、ここに?」

「ええ。すでにこの世界に来ています。そして、自らの運命を……潔く認めてしまいました。貴女と同じく、試練を用意していましたのに……その人は、自らの運命を受け入れてしまったのです」

「……」


運命を、受け入れる。

そうだ……私は元々、殺されたのだ。

こんな不思議な力があったから、私は生き返るチャンスをもらえているだけの話。

本来ならば……その人のように、死を受け入れるべきなのだ。


「……私は、間違っているのでしょうか? 運命は、運命として受け入れるべきなのでしょうか……?」

「……確かに、世の理通りに行くのだとしたら、貴女はこの死を運命として受け入れるべきでしょう……ですが、折角の機会を棒に振るのも、選択を選ばないという点ではあまり好ましくはありません。貴女の選択は、決して間違ってなんかいませんよ」

「……」


さすがは女神様だ。

……何というか、言葉に説得力がある。

何だか私には、この人がどういう人なのか分からなくなってきた。


「それでは、最初の試練を与えます。最初の試練は……今より私が10人の剣士を召喚致しますので、それらをすべて倒してください。方法は問いません。とにかく、倒してください」

「……え?」


私の返答を聞く前に、アルカ様は10人の剣士を召喚する。

……ちょっと待って、まだ心の準備が……!!


「では、試練を始めてください」

「ええ!? ちょっ……いきなり!?」


突然過ぎる幕開けによって、私の試練は、始まった。













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