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Magicians Dream  作者: ransu521
第二部 新学年
38/139

15,解術薬を探したいが……

「これは……治療は無理です」

「「「「……え?」」」」


俺達四人分の声が重なる。

あ、後の三人は、葵と織と春香のことだ。

晴信達にも来させようとしたら、月夜の姿を見て瞬時に断られた。

その時のアイツらのムカつく程爽やかな笑顔を、今でも忘れない。


「ていうか、里崎さんのこれは……病気じゃないわ」

「病気じゃないって……どういうことですか?」


理解出来なかった俺達を代表して、春香がそう尋ねる。

すると保健の先生は、こう答えた。

……と、その前に説明しなければならないことがあったな。

前まで保健室にいた吉沢先生は、とある事情があってこの学校から立ち去った。

代わりの先生をということで……今の保健の先生がやってきたというわけだ。


「これはね……魔術薬の影響ね」

「「「「魔術薬?」」」」


聞いたことのない単語が出てきた為、思わずそんなことを尋ねてしまう。

保健の先生は、そんな俺達にも分かりやすいように、説明してくれた。


「簡単に言ってしまえば……魔術師が作る漢方薬みたいなものよ。作り方はそんなに漢方薬と大差ないけど、使いたい効果に準ずる魔術をちょこっとかけて作られたのが……魔術薬というわけ」


なるほど……。

つまり月夜は、何かしらの薬の影響でこうなったというわけだ。

……やってくれるぜ、どこの誰が飲ましかは知らないけどよ。


「で、でも薬なら解毒剤とかあるはずじゃあ……」

「確かにあるわね。けど大丈夫よ。ほっとけば一日で治るから……まぁ、その間ずっとその状況だろうけど」


未だに俺に抱きついている月夜を見て、先生は溜め息混じりにそう呟く。

……それだけはマジで勘弁だ。

何せ月夜は転入生であって、しかもこんな性格だ。

男子からの評価も高く、狙っている奴も少なくない。

そんな奴らがもしこんな状況を見つけたならば……間違いなく俺は次の日から安心して登校出来なくなってしまう。

おまけに、月夜は月夜でいろいろて危険だし。


「……瞬一とずっと一緒になるには……やっぱりこれしかない……一番の愛情表現」


とか何とか呟きながら、ポケットナイフをウットリとした表情で眺めている。

俺に抱きつきながらも器用な奴だ……じゃなくて、コイツはかなり危険だ。

選択肢を間違えれば、きっと俺はお陀仏だ。

それだけは……絶対にお断りだ。

何せ前に死にかけたことだってあるくらいだし。


「……瞬一、月夜ちゃんの目が……その……」

「……ミナマデイウナ。ソノクライ、オレニダッテワカッテル」


葵が若干怯えているのも無理はない。

今の月夜は……なんというか、ナイフを眺めている目が、完全に据わっている。

正直、いつ殺されるか心配にすらなってきた……。

俺なんか、恐怖からか片言になっているのが自覚できた。


「とにかく、一日我慢するか……作った人に訴えて、何とか解術薬でも作ってもらうしかないわね……」

「……早めに解術薬を飲ませないと、今日一日中ずっとこのまま……」


もうすぐ授業が始まってしまうため、今からすぐには探すことが出来ない。

けれど、早めに薬を回収してしまいたい。

……それには、大和達の協力が絶対不可欠になってくるな。


「よし、何とか俺達で解術薬を探すぞ!」

「う、うん。そうだね……」

「このままの状態が続くのも、嫌ですし……」


どうやら三人とも納得してくれたようだ。

……よし、とりあえず今は教室へ戻ろう。

月夜は……本当ならこの保健室においておきたい所だけど。


「……月夜を置いていくことって、出来ます?」

「……駄目。私は、瞬一についていく」

「……」


駄目だ。

言うことを聞いてくれそうにないな。

そんなわけで、俺はこんな状態の月夜を連れて、みんなで教室へ戻ったのだった。
















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