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Magicians Dream  作者: ransu521
第二部 新学年
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7,図書館での出会い

さて、ここで話がかなりずれるが……ちょっとここでこの学校の設備について説明しておこう。

ご存じの通り、この学校はとにかく広い。

中高一貫校というのが幸か不幸か、校舎のみではなく、他の設備も広いのだ。

例えば……体育館の代わりの闘技場。

これはとにかく広い……というか、体育設備に観客席とかつけんな。

続いて音楽室。

これについては特別語れることはないが……噂によれば、小さなライブハウス大の物から、少し大きめなステージまで様々な場所が用意されているとのこと。

……この学校は、はたして何を目指しているというのだろうか。

というか、これだけ設備を充実とさせているにも関わらず、学費はそれなりに安いのだから……まぁなんとも恵まれた環境と言うべきだろうか。

話がそれたな……それで、俺が今一体何を言いたいのかと言うと、


「この図書館……広すぎだろ」


昼休み。

特にやることもなかった俺は、なんとなくで図書館にやってきたわけなのだが……その図書館と言うのが、何とも広い物で仕方がないのだ。

高校二年生までは図書館に行ったことがなかったから、この広さに慣れていない。

……誰が好き好んでこんな広い図書館で本なんか読むかっての。

まぁ、広いのを知ったのは今日初めてなのだが。


「これじゃあ暇つぶし出来る程落ち着けないな……」


感じでいえば、市が運営している図書館に来たような感じだ……しかも大きめの。

まったく、ここの校長は金の使い道を間違えているのではないだろうか……。


「まぁ、来たからには何か本でも読んでみるか」


晴信達と一緒にいるのもよかったのだが……その晴信は今、保健室に運ばれている。

どうやら朝のライトニングが相当効いているみたいだ。

葵は葵で部長だから呼び出されているし、大和は北条がベッタリ状態だ。

大地は勝手にどこかへ消えるし、織は女友達と一緒に何処かへ行った(と言うより、連れ去られた?)。

春香は……何か兄に呼び出されている。

……てか、兄って卒業したばかりだよな?

家族のことで何かあったのだろうか……まぁ、むやみに人のプライバシーに付け入るのも何だか俺としては良心が痛む。

そんなわけで、俺は今一人だった。

……啓介は小野田と喧嘩始めるから、置いてきた。

どうやら未だに小山先輩のことを取り合っているらしい。

……アイツらもバカだねぇ。


「俺が言えた義理でもないけどな……うん?」


呟きながら、小説の入っている棚に差し掛かったその時だった。


「……女の子か?」


何か、背伸びして必死に一番上の本を取ろうとしている女の子がいる。

えっと……金髪でロングヘアー。

後ろから見ただけじゃどんな顔をしているのかは分からないが……制服の色的に高校一年生だろう。

とりあえず困っているようなので、俺は声をかけてみる。


「……とってやろうか?」

「!?」


バッ! と、その女の子はこちらを振り向いた。

……何故だか顔を赤くして。

釣り眼がさらに吊り上っていて……もしかして、怒ってる?


「い、いいですわよ別に! 私の力だけでとれるんですから!!」

「ほぅ……言ったな?」


……何だろう、この子は。

俺の心を……無性にくすぶる。

何と言うか、『S』の心を。


「それじゃあ取れなかったら……お前のことを、好きにしてもいいんだな?」

「え、ええ!? す、好きにするって……ま、まさか、貴方……変態!?」

「男は皆変態なんだよ……これ、友人の受け売りだが」

「ちょっ……近寄らないでくださいます!?」


近寄ってないんだが。


「まぁ冗談はさておき、この本だよな? ……よっと」


そう呟きながら、俺は『流れ星の岩男』という本を取る。

……どこかのゲームの名前に似ているような気もするが、気にしないでおこう。


「ほらよ、この本だろ?」

「……あ、ありがとう。い、言っておきますが、お礼は一回しか言いませんからね!」


……なるほど、この少女、ツンデレお嬢様か。


「んじゃ、俺はこの辺で」

「あっ……」


何か言いたげな表情をしていたが、俺はその時は気付くことなく立ち去ってしまった。

……後で分かったことなのだが、この少女……俺達に関わることとなる少女だったのだ。













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