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Magicians Dream  作者: ransu521
第二部 新学年
28/139

5,校長室にて

そして、校長室。


「……失礼します」


俺は扉をノックした後にそう確認をとる。

すると、扉の向こうから、


「うむ。入ってよいぞ」


という肯定の返事が返ってきた。

それを受けて俺達は中に入る。

……やはりいつも通りの部屋だった。


「それで、今日俺達を呼んだ理由って、一体何なんですか?」


晴信が真っ先に校長にそのことを尋ねる。

すると、椅子に座っている校長は、


「まぁそう急ぐでない。時間はたっぷりあるのだからな」


と、何故か晴信を宥めるという行動をした。

……別に急いでいるわけでもないだろうに。


「魔術格闘部のメンバーで集まったということは……部活関係の話ですか?」


部長として、葵がそう尋ねる。

校長は、首を縦に振った後に、


「そうでもあるが、そうでないとも言える」

「? どういうことですか?」

「うむ……ちょっとした個人的事情も挟まってしまうということなのだ」


個人的事情?

何だろう、それは。


「実はな……ワシの孫娘が、このたびこの高校に入学することになったのだ」

「校長の孫娘が……ですか?」

「その通りだ」


織がそう聞き返す。

……なるほど、校長の孫娘がねぇ。

けど、それと俺達魔術格闘部の面々が集められたのでは、どんな関係があるというのだろうか?


「それでな……あの子が君達の部活に興味を持っていて。もしあの子が魔術格闘部に入るようなことがあった時には、仲良くしてやってはくれないだろうか?」

「「「「「「「……え?」」」」」」」


何か、意外な言葉だった。

……ってか、返事が一人分多くなかったか?


「おい、お前。まさか俺のことを忘れてたとか言うんじゃねえだろうな!」

「……あ、そう言えばお前も魔術格闘部だったな、小野田」

「忘れてるんじゃねえよ!!」


そうそう、言い忘れてたが。

俺達の部活『魔術格闘部』は、現在三年生7人、二年生2人で活動している。

三年生の内6人がS組にいるんで……小野田の存在を少し忘れていたなぁ。


「……話を元に戻しても構わぬか?」

「はい、大丈夫です」


春香が即答した。

……せめてもう少しだけ考えてやってもいいんじゃね?

ああ……小野田がガックリと膝を地面について、項垂れてるし。


「それで……具体的に私達は何をしたら……」

「なに、話は簡単だ。単に話しかけられたらそれに答える。そうして孫娘と仲良くしてほしいのだよ」

「ですが……高校三年生って部活は1学期で終了ですよね?」


葵の言うとおりだ。

俺達高校三年生は、大学受験のこともあって、部活は1学期終了と同時に終わることとなっている。

それは俺達も例外ではなく、だから例えその子と仲良くなったとしても、たった数カ月しか一緒にいられないということだ。


「別に部活以外でも交流を深めればいい話じゃないか! それに校長の孫『娘』だぜ? きっと可愛いんだろうなぁ……」

「……言ってはおくが、君に孫娘はやらんぞ?」

「分かってますって」


晴信がやけに『娘』という部分を強調した為か、校長が何やらいぶかしげな眼で晴信のことを見る。

晴信は、別に何の問題もないような感じで接していた。


「では……頼んでもよいのかな?」

「「「「「「「もちろんです!」」」」」」」


俺達は校長にそう言葉を返した後に、校長室から出た。

……校長の孫娘が一体どんな子なのかを想像しながら教室へ帰って行ったのは、内緒の話だ。













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