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Magicians Dream  作者: ransu521
第一部 光の器と闇の軍勢
20/139

20,想いの力

「……え?」


驚きの声は、背後にいる男の人からでもあったし、敵からもだった。

何せ今までろくに力をコントロール出来ていなかったような少女が……こうして力を使おうとしているのだ。

もしもこんな状態を見ているのが私だったた、そうだとしても驚いていることだろう。

何故なら、こんな状態になった自分自身が……一番驚いているのだから。


「想いの強さが……力に結び付けたのか。ならば、想え。どんどん想え。自分はこの地から脱出することが出来ると……目の前にいる敵を倒すことが出来ると、強く想うんだ」

「強く、想う……」


男の人の言葉は、正しいと思った。

想う事こそ……力になる。

それは、誰に教わったものでもないけれど……この世で生きていく上で必要なもの。


「行くよ……ここからが、反撃開始だからね」

「覚悟しとけよ堕落世界ダークサイドの奴ら共。俺達は……絶対にお前達を倒して、この世界を守ってみせるからな?」


これは、私達の……未来を守る為の戦い。

私は元の世界に帰るという未来の為。

この人は、自分達の居場所を確保するという未来の為。

そして相手は……この世界を破壊するという未来の為。

それぞれの抱く『未来』をかけた……世界と世界を結ぶ、戦い。

本来なら、こんなことはありえないはず。

けれど……ありえているのだから、仕方がない。

どうせなら、私は最後まで戦う道を選ぼう。

それが……今の私に出来る、最善の選択なのだから。


「光の刃よ。降り注げ!」

「朱と交わり、赤となせ!」


私の詠唱によって、上空には無数の光の刃が。

相手の詠唱によって、私達の目の前には赤く塗られた刃が。

それぞれ数は同じだけ。

……大丈夫、同じ数だけあるのなら、勝てる!


「ぐはっ!」


ガガガガガガガガガガガキン!!

ぶつかりあう音が響き渡る。

……私の刃は、相手の刃を悉く打ち消す、いや、斬る。

刃が刃を斬るなんてことは……普通はないだろう。

しかし、それが現実。

私のおもいは……決して弱くなんかないって証明!!


「よしっ! 君はそのまま直進していけ! この場は俺が何とかする!」

「分かった!」


言われたとおり、私は直進する。

……いや、直進するのでは駄目だ。

このまま行くと、確実に敵に囲まれる。

空から行くべきだ……飛んで山頂まで行くべきだ。


「敵の本拠地はこの山の山頂だ……何としても向かってくれ。何人かがすでに山頂まで到達している頃だろうから……そこで合流してくれ!!」

「……分かった。やってみる!」


念じるんだ……私は空を飛べる。

空を飛んで……山頂へ行く。

絶対に……この戦いを、終わらせる。


「……うわぁお」


瞬間。

私の背中から……光を帯びた羽が生える感覚を感じる。

これが……光の器(てんし)の力で創り出した、光の翼。


「逃がすな! 敵は空から山頂へ向かう気だぞ!!」

「何としても空へ飛ばしてはならぬ! 撃てぇええええええええええええええ!!」

「させるか!!」


私は……この喧騒の中で、空へ飛ぶ為に、足でタンと地面を蹴る。

すると、私の身体は、面白いように宙へ浮かんだ。

その際に……無数の銃弾が私に襲い掛かってきたけど、男の人が発動させてくれた誘導魔術により、その弾は見当違いの方向へと飛んでくれた。

……行ける、これなら、行ける!!


「……くそっ! 完全にやられたぞ!!」

「軍勢を引き戻せ! 山頂付近で固めるんだ!!」

「畜生、由雪の奴は一体何をやってるんだ!?」


……由雪君の名前が出てくるとは少し意外だった。

……けれど、今はそれどころじゃない。

一刻も早く、この戦いを終わらせる為に……この山の頂上へ向かわなければならない。













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