表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magicians Dream  作者: ransu521
第一部 光の器と闇の軍勢
17/139

17,不発

Side麻美


今この場にいるのは、私と迅君の二人だけ。

……勢いで二人きりになってしまったけど、いざこういう状況に陥ってしまうと、なんだかこの後どうするべきか分からなくなってしまう。


「……おい、寺内」

「は、はい。何でしょうか?」


私は迅君に呼びかけられる。

反応すると、迅君は私にこう言った。


「……どういうつもりなんだよ、お前」

「え?」

「俺と二人きりになって……お前は一体なにがしたいんだ?」

「……私は、迅君との決着をつける為に、ここに残ったんです」

「俺との決着?」


正確に言えば、迅君との決着なんかではなく……私自身の過去との決着。

迅君にとらわれたままの私の心との、決別。


「私は、今のままではいけないんです。今もこうして迅君と対立しているというのに……心のどこかでは迅君を傷つけたくないって思っています」

「……そうかよ。けど、俺は容赦なくお前を傷つける。必要あるならば、殺すぞ」

「それで……いいんです。そうしてくれた方が、私もさっぱり想いを断ち切ることが出来ますから……」


これが本当に、断ち切るべき想いなのかは分からない。

けれど、今私は……こうして迅君の前に立っている。

迅君は、鎌を持つ手に力を込める。

……私に、出来るだろうか。

戦うことが、出来るだろうか……。


「……どうした寺内。動かねぇのかよ。今なら命乞いさえすれば、お前だけでも生かしてやってもいいんだぞ?」

「……いえ、大丈夫です。攻撃は私からでいいんですね? ……わかりました」


スッと、私は手を前に突き出す。

迅君は、私のそんな行動の意味が少し理解出来なかったみたいだけど……今はそんなこと関係ない。

分からないのなら、こちらにとっては尚更都合がいいのですが。


「浄化の光……彼の者に眠る闇を浄化せよ」

「その詠唱……光魔術の」

「……まだうまく使いこなせていないどころか、発動すらさせたことはありませんが」


突き出した右手から、魔法陣が出現する。

発せられるのは、光。

……出来るかどうかわからないけど、やってみるしかない。

でないと、ここで私は……殺される。


「シャインライン!」


放たれる光の線。

……それは迅君の身体を貫かれる……はずだった。


「……どうした、その程度の力しかないのか」

「……う」


駄目だ。

私の力じゃ……まだ実現不可能だ。

こんな小さな光の魔術も……完成させることすら出来ない。


「折角の攻撃も、俺を目前にして消滅しちゃあ意味がねぇだろ……ったく、そこまで俺に殺されたいらしいな」

「……や、違う」


何で……何でこんな大事な時にも、力が引き出せないの?

駄目なのに……今ここで死ぬわけにはいかないのに。

こんな所で死んだら、葵さんに迷惑かけちゃう……。

だから、私はここで倒れるわけにはいかない……!!


「……迅君、私は決めました。貴方に負けない為に……ここで精いっぱい抗ってみせます」

「……来るならいつでも来い。ただし、俺は手加減なんて言葉は知らねぇからな」

「分かっています。いえ、そうしてくれるとありがたいです。手加減された状態で勝っても……何の意味もないんですから」


私は本当の意味で迅君に勝たなければならない。

だから……私は戦う。


「……ここからは全力で勝負します。ですから、迅君も全力で勝負しに来てください」


そう言いながら、私は右手に剣を出現させる。


「……いい心意気だ。この俺が直々に引導を渡してやる」


そして、私達の戦いが……始まった。
















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ