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Magicians Dream  作者: ransu521
第三部 アンジック・ウイルス
136/139

27,光・闇

「……ちょっと待ってください。なんですか……あれ?」

「……あれは、前にも見たことがある……あれは確か……光の器(てんし)の力が暴走した時の姿……」


目の前にいた少女は、果たして本物の天使だった。

髪は金色で腰の辺りまで伸びていて、着ている服は白いワンピース。

見ているだけで分かる程、彼女は光輝いていた。


「その光……目障りだ!!」


勝弘が、黒い弾を数発出現させると、葵目掛けてそれらを撃った。

しかし……葵は動かずに、それらを目の前で処理してみせた。


「なっ……!?」


千世が驚くのも無理はない。

何故なら葵は、身体のどの部分も動かさずに、オーラだけでそれらを打ち消してみせたのだから。


「……覚醒したか。厄介な展開に脚本じたい改変へんどうしたものだ。これはよほどこの世界の神は気まぐれな存在らしいな」


だが、と言葉を繋げて、勝弘は更に続けた。


「我とてそのような緊急事態アドリブを楽しむ余裕がないわけではい……むしろ、戦いはこうではなくてはならないな!」


こうして勝弘が語っている間にも、葵は徐々に自我を失いつつあった。


「(もって後三分……自我を保っていられる内に、一気に叩かなければ……負ける)」


せめて悪魔を勝弘の身体から抜き出してあげれば、勝弘はいくらか楽になることだろう。

そんな可能性にかけつつ、葵はその身体を、動かした。

制限時間三分の戦い。

葵はそれを承知の上で……相手に戦いを挑んでいるのだ。


「行くよ……私の全力を以て、相手をしてあげる―――!!」

「あ、葵! 大丈夫なんだろうな!!」


動こうとした所で、瞬一の声が耳に入る。

そこで葵はいったん止まって、瞬一達の方を眺めてから、


「大丈夫だよ、みんな。私、ちゃんと帰ってくるから」

「うん、絶対だよ!」

「もちろんだよ、大和君」


笑顔でそう答えてみせると、葵はもう一度勝弘の方を向き直って、


「それじゃあ行くよ……!!」


ドン!

足で地面を蹴って、その後は羽根を使って低空飛行。

勝弘は、その攻撃を待ちかまえるかのように、その場に立ったままだった。


「……ハッ!」


光の弾が、何十発……いや、何百発と誕生する。

これにはさすがの勝弘も驚いて、対応に移る。


「遅い……!!」

「!?」


瞬間。

葵の放った弾は、勝弘の身体に何十発も当たっていた。

逸れた弾は建物に着弾した後に……その姿を消していた。


「消えた? あれだけの威力のある弾なのに、どうして……?」

「あれは、敵意ある者にしか当たらない攻撃というわけだ」

「敵意ある者にしか当たらない攻撃……? つまり今は下柳が葵に対して敵意を向けているから、葵の攻撃はアイツにだけ当たるということか?」

「その通りだ」


大地が分かりやすいように解説を加える。

瞬一はそのことに感心しながらも、もう一度葵達の方を見た。


「さすがは光の器(てんし)だ……短時間とは言えそのような力をつけてくるとは」

「もうそろそろ降参した方がいいんじゃない? そのままだと残りの魔力の量も底を尽きちゃうよ?」

「冗談はその姿だけにしろ。我よりも早く魔力を失うのは、そなたの方ではないのかね?」

「……行くよ」


勝弘の言葉を無視して、葵はさらに攻撃を重ねる。

魔力で作った弾丸を……右に、左に、放出していく。

何発かは勝弘に当たっているが、その他は建物に当たっては消えて行く。

やがて、勝弘も反撃に移った。


「いつまでもやられっぱなしだと、こちらとしても他人に向ける顔がないからな―――!!」


勝弘は、今まで溜めていたものを晴らすかのように、鎌を思い切り葵に向けて投げつけた。

















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