20,きっかけ
「お前達が……お前達が今回の事件の首謀者ってわけか?」
「そういうことになるな……そしてリーダーの命令で、お前達を消去することとになった。感謝するんだな。俺達のリーダーは、お前達のことを敵として認識してくれたんだぜ?」
「何……?」
男達が、不敵な笑みを浮かべながら、瞬一達に対してそう宣言する。
瞬一達は、四方から近寄ってくる男達に対して、警戒心を見せていた。
そんな時、瞬一の携帯がなる。
「どうした? こんな時に……!!」
「……いいだろう。電話に出る余裕くらいは与えてやるよ。同じ条件じゃないと、戦ってもつまらないだろう?」
「……ちっ。余裕かましてられるのも今のうちだけだぞ……」
言葉ではそう言っておきながら、内心助かったと考えていた。
なので瞬一は安心して電話に出ることが出来た。
「もしもし?」
『もしもし瞬一君? 私だよ!』
「早乙女か? どうした!」
電話の相手は蜜柑だった。
その蜜柑の声も、どこか慌てている様子であった。
『相手の情報を掴もうと東京都内を歩いてたんだけど……周りを敵に囲まれちゃった! こっちに人を回せる?』
「そっちもか……悪い、こっちもはさまれてる。四人にだ」
『え!? ……分かった。こっちは私達だけで何とか対処する。敵の情報についてはまだ三馬君からの連絡がないから、何もつかめてないけど……他に分かったことがあったら、連絡するから!』
「あいよ!」
電話はそれで終わった。
そして同時に、男達は笑いながら言う。
「遺言は済んだか?」
「なぁ、もうこっちは暴れたいところなんだけど……構わないか?」
男達は、早く戦いたくてうずうずしているらしい。
そんな男達に対して、瞬一が貶すように言った。
「へっ……まるで言うことも聞けない駄犬みたいだな、お前達」
「そんな世迷言を言ってられるのも今のうちだけだぞ? ……三矢谷瞬一。かつてクリエイターを追い詰めた男よ」
一瞬、瞬一の顔がゆがんだ気がするが、構わず瞬一は話を続けた。
「倒したのは俺じゃない……クリエイターもスクリプターも、確かに俺達の前に現れて戦ったが、いずれにしろ止めを刺したのは俺じゃない。スクリプターに至っては、倒した奴まで死んでしまっているという始末だ」
「知ってる……クリエイターを倒したのは『組織』の連中で、スクリプターを倒したのは……悪魔と契約した、由雪迅だってこともな」
「じ、迅君を知ってるの!?」
これには葵達も驚かないわけにはいかなかった。
知るはずのない人物の名前を出されて、驚かないわけがないだろう。
だが、男達は由雪迅のことを知っていた。
それどころか、かなりの接点があるのだった。
「俺達と由雪は……かつては戦ったこともある者同士だからな。互いの信念をぶつけ合って……こちらも被害が出たっけな」
「た、戦ったことがあるだと!?」
「……奴のことならお前達以上に知っている自信はあるな。奴がどういった理由で戦っていたのかも、な」
「……」
これには瞬一達は何も言えなくなってしまっていた。
なぜなら……彼らは何故由雪が悪魔の力を手にしたのかといったような、理由を知らなかったからだ。
ただ一人……葵だけはその真実を知っていた。
「……昔、由雪君は友人を失った。かつて私の身にも起きた……光の器の力の暴走のせいで」
「!?」
その言葉に驚いたのは……瞬一の方だった。