18,行動開始
「そ、それは本当なの!?」
生徒会室に来た瞬一達の言葉を、蜜柑はすべて聞いた。
周りにいた他のメンバーもその話を聞いて、同様に驚いていた。
「そうだ! だから今後、科学魔術師の奴らはなるべく魔術を使用するなって伝えとけ!!」
「わ、わかったよ……三馬君、至急相手の情報について何か分かる限りのことを調べてくれない?」
「で、ですが……相手が誰なのかもわからないのにどうやって……そうか! 前に実験で亡くなったその研究者のことを調べればいいんですね?」
「うん! お願い!!」
「頼まれたからには、すぐに終わらせますよ!!」
利光は、すぐさまパソコンの前に座り、すぐに何かを調べ始めた。
瞬一達は、そんな彼の様子を眺めていることしかできなかった。
数分後。
「特定できました! その研究者の名前は……下柳充利。コンピュータウイルス『アンジック』の開発途中に命を落としているとのことです。妻も研究者だったらしく、充利氏が亡くなった時に、後を追うようにアンジック病にかかって、そのまま……そして二人には協力者がいたようです」
「協力者? それって一体……」
やがて、光利の口からその名前が発せられた時。
瞬一達は至極驚くことになる。
「その協力者は二人……クリエイター・スクリプター」
「「!?」」
「な、何だと……アイツらまでも協力者だったってことか!?」
大和と大地は、驚きのあまりに声を出せないでいた。
晴信はほぼ叫ぶような形でそう言っていた。
「それに、研究所に保管されていた『アンジック』は、その時何者かに持ち去られているようです……それに、先の下柳夫妻には息子もいます」
「息子……?」
「はい。名前を下柳勝弘」
「下柳……勝弘」
クリエイター・スクリプターの二人はすでにこの世の人間ではない。
ということは、一番犯人として候補に挙がるのは……。
「下柳勝弘……彼が今回の事件の首謀者である可能性の高い人物ってことだね」
大和の言葉に、みんなが同意した。
「けど、動機は何なんだ? それに、奴らはどこにいる?」
「多分東京都内にいるんじゃないかな?」
「え?」
その時、葵がこう口をはさんだのだ。
そしてその後で、葵はさらに言葉を付け足した。
「確か東京で起きた事件って一番最後だったよね?」
「そうだけど……それと何の関係が?」
「つまり東京の襲撃だけは、きちんと下調べをした後に向かったってことだよね……『組織』の建物であると分かっていた上で」
「そうか……つまり東京都内だけはわざと範囲から外していて、そして頃合いが来たから今回襲撃に至ったというわけか……」
葵の言葉を補足するように、大和が言う。
「け、けど……それじゃあ犯人はこの近くにいるってことになるよね?」
「……そうなる」
蜜柑の言葉に答えるように、月夜が短くそう答えた。
「ということは……この辺をしらみつぶしに探せば、きっと犯人を特定出来るかも知れないってことか!!」
将太が、持ち前の熱さを帯びた声でそう言った。
「けど、俺達だけで出来るのか? ……いくら東京都内を探すと言っても、そう簡単に全体を探すことなんて不可能だぞ?」
「大丈夫……生徒会から先生達にも協力を要請するから」
蜜柑がそう宣言したので、瞬一達はとりあえず蜜柑達生徒会に教師に対するコンタクトは任せることにした。
「それじゃあ……電話番号とメールアドレスを渡しておくから、何かあったらここに連絡してくれ。そしたら俺に繋がるようになってるから!」
「わ、分かったよ!」
「それじゃあみんな……俺達は先に調べ始めるぞ!!」
「「「おう!」」」
葵・晴信・大和・大地・月夜・アイミーの六人は、敵の居場所を調べる為に外に出る。
「あ、そうだ……晴信! お前は千世にも連絡入れといてくれ!!」
「いや、連絡先が分からないんだけど!?」
「……しゃあねえな! 俺から連絡入れとくから!! お前はA組にいって小野田を引っ張ってこい!!」
「あいよ!」
こうして瞬一達は、それぞれ行動を開始した。




