14,生徒会室での交渉
「……開けるよ?」
大和が全員に確認を取る。
瞬一達は、反対意見など持ち合わせているはずもなく、首を縦に頷かせる。
それを認めると、トントンとノックをし、
「失礼します」
大和が扉を開き中に入ると、瞬一達も続いて生徒会室に入る。
中には、生徒会のメンバーが全員揃って会議をしている所だった。
「どうしたの? 今はまだ会議中なんだけど……」
蜜柑が笑顔でそう言うが、構わず晴信が蜜柑に近付いていく。
そして、
「調べて欲しい事件があるんだ! というか、協力して欲しいことがある!」
ダン!
机を勢いよく叩き、晴信は蜜柑達生徒会メンバーに訴えた。
「……えっと、とりあえず落ち着こうか?」
何のことやらさっぱり理解出来ていない蜜柑が、晴信に優しくそう告げる。
そんな蜜柑に、瞬一が更に言葉を繋げた。
「……最近起こった科学製品工場襲撃事件のことは覚えているか?」
「ああ。それなら覚えています。確か日本全国の科学製品工場が何者かに襲われた事件ですよね?」
メガネをかけた少年―――三馬光利が答える。
蜜柑も、光利の言葉を聞いてようやっと思い出したようだ。
「けどよ、それがどうしたんだよ? 別に俺達と何の関係もないだろ?」
重沼将太が、そのことに関して否定をする。
だが、今度は大和が言葉を繋げる。
「その後で起きた、校長先生が倒れるという事態と、更には僕達のクラスの春香が突然倒れてしまったこと……しかもこの二人には、とある共通点があった」
「共通点? それって何?」
蜜柑が気になる様子で、尋ねてくる。
今度は葵が答えた。
「それはね……二人ともアンジック病の患者だってことだよ」
「「「!?」」」
三人とも、驚いたような声をあげる。
アンジック病と聞くだけで……事態がどれほど重いものなのかが理解出来るからだ。
「アンジック病って……かかった奴は魔力を消費して魔術を使用したとしても、本来なら戻ってくるはずの魔力が戻らず、魔力がなくなってしまったら、やがて生命力の方にまで影響が及ぶという、あの病気ですか?」
「その通りだ……二人ともその影響で倒れたんだ。だがここで気になることがある」
メガネをクイッと上げながら答える光利に対して、大地が更に続きがあることを告げる。
そんな大地の言葉を引き継ぐように、真理亜が言った。
「校長先生は前に一度アンジック病にかかったことがあって、しかもその時治療薬と称された何かを飲んで、治ったかのように思われていた……」
「……だけど実際にはそうじゃなかった。病気は再発し、倒れてしまった」
月夜が更に言葉を繋げた。
蜜柑は、二人の言葉に疑問を持つ。
「あれ? アンジック病って治療薬は存在しなかったはずじゃあ……」
「前に保険室の先生として所属していた吉沢茜は、その病気に関して何かを知っている様子だった。だから治療薬みたいなものを開発することが出来たんだろう」
さすがに吉沢茜が前の事件の首謀者でしたとは言えず、その部分は隠して瞬一は言う。
言った後で、更にこう繋げた。
「……これらの事件は、それぞれが繋がっているようにも思えるんだ。決して偶然なんかじゃないって俺達は思ってる。だから……生徒会の力を貸してくれないか?」
「……うん、いいよ」
蜜柑は、瞬一達のお願いを、聞き入れた。