9,議論
次の日。
瞬一達の学園内で、ちょっとしたニュースが流れていた。
それは……。
「校長が倒れた?」
どこから流れてきたのかは知らないが、どうやら校長が倒れたとの情報らしい。
「どういうことだ? あの校長が倒れるなんて……」
晴信が、信じられないというような口ぶりでそう呟く。
それもそのはずで、つい先日までは普通に威厳のあった人物が、今日になっていきなり倒れたなんて情報が出回るのだ。
その情報の信ぴょう性を確かめるのが先決だろう。
だが、
「本当だよ。校長先生は倒れた」
「え?」
タイミングよく、大和と大地が教室に入ってくる。
その二人に、瞬一達は一気に集まってきた。
「どうしたんだよこの前は。二人とも学校を休んだりして」
「心配したんだよ! (;O;)」
瞬一達は、先日休んだ大和と大地を心配していた。
……そう、先日この二人は揃って休んでいたのだ。
その日こそが、ちょうど二人が『組織』の建物を調査しに行った日のことだ。
真理亜なんかはそんな事情を知らないので、顔文字を使って感情を表現していた。
……相変わらずの光景だった。
そんな瞬一達に、大和と大地は告げる。
「この前休んでいたのは、前に襲撃された科学製品工場を調べる為だったんだ」
「科学製品工場……ですか?」
そこに、春香も話に参加してくる。
いつの間にか、いつものS組のメンバーがそこに集結していた。
……ちなみに、先日行われたクラス分け試験の結果、全員S組残留という結果に終わったのだった。
……アイミーンはS組に昇格、光平に関して言えばA組に残留という結果に終わった。
「ああ。仮にも『組織』の建物が襲撃されたからな。調べに行くのも道理ってものだろ?」
「それもそうだけどよ……何か収穫はあったのか?」
大地と大和の二人に、瞬一が尋ねる。
しかし、二人は首を横に振り、
「あまりいい収穫は得られなかったよ……深く調べようとしたところで、敵が三人ほど残っていたから、そいつらと戦闘になったくらいかな」
「戦闘? ……大丈夫だったの?」
心配するような声で、葵が尋ねる。
大地は当たり前だろ、と告げて、大和は、
「撃退したから大丈夫だよ。それに、相手の身柄はすでに『組織』の上層部の方で確保しているはずだからね」
「そっか……ならよかった……」
安堵の溜め息をつく織。
……しかし対称的に、大和の顔は疑問の色で埋め尽くされていた。
「どうしたんだ? 大和。何か考え事か?」
そんな大和に、啓介が尋ねる。
「……ああ。どうして『科学製品工場』を襲ったりしたのかが気になってね」
「……確かに。今回の一連の事件に関する情報と言えば、被害場所が『科学製品工場』で統一されているという点のみ。それ以上は、何も分からない」
月夜が現状整理をする。
「だな……何かこの事件、裏を感じずにはいられないんだけどなぁ。その裏ってのが何なのか分からないってんだから……これ以上の進展はなしか?」
「……そういえば、最近話題になってる『アンジック病』と何か関係があったりしないかな?」
瞬一が呟いた後で、織がそんなことを話題に出す。
「アンジック病……最近話題になってる病のことだけど。これがはたして『科学製品工場』襲撃事件と何かの関連性があるのやら……」
謎は深まるばかり。
結局、この日の朝は、その話題だけで時間が過ぎ去ってしまったのだった。