7,戦闘
「風よ……我に抗う者を討て!!」
大和は、ポケットの中から携帯を取り出し、呪文の詠唱を行う。
大地もポケットの中から携帯を取り出し、同じように呪文の詠唱を行っていた。
「クロスウイング!!」
目の前に現れた魔法陣は、小さなのが二つ。
そこから現れたのは、二つの風の刃。
その刃は、相手の身体を確実に斬りつけようと、速度を増して襲い掛かる―――!!
「この程度の攻撃、壁にて守って見せよう!!」
一人の男が、そんな風な魔術の詠唱を行い、攻撃を防ぐ。
携帯を利用していないところから、彼は自然魔術師であることが理解できた。
「なる程……相手は自然魔術師か」
「どうする? このままの戦法でいくか?」
大地が大和にそう確認を取る。
すると大和は、
「そうだね……よし、しばらくはこの戦法を保って、大地はあっちの男一人を頼む。僕はこの二人を相手にするから!」
「……分かった」
大和の指示に、大地は多少反論を述べようと思ったのだが、事実大和の方が魔術の扱いが上だった為、その提案を呑まないわけにはいかなかった。
言われた通り、大地は後ろを振り向いて一人の男を相手にすることにする。
「狩人なら狩人っぽく……正々堂々と前に出てきたらどうだ!!」
魔法陣を出し、そこから剣を取り出すと、それを空中で振る。
すると、衝撃波が飛ぶような感じで、風が敵に襲い掛かってくる。
「そっちが剣なら……こっちも剣で応戦だ!!」
相手も剣を創り出し、そして二人は大和に一斉に襲い掛かってきた。
「……遅い」
ドン!
地面を勢いよく蹴り、大和はまず一人を、手に持つ剣にて一閃。
わき腹辺りを斬られた男は、そのままその場に蹲る。
そこを、大和は見逃さなかった。
「悪いね。しばらくの間眠ってもらうよ?」
ガン!
剣の持ち手の部分で、相手の後頭部を殴る。
その衝撃が体中に広まったのか、その男はそんなに時間が経たないうちに気絶してしまった。
「くそっ……!!」
ダン!
大地が相手にしている男は、先ほどから銃にて大地を攻撃していた。
しかし、そのどれもが大地の張るバリアによって軌道を逸らされており、一発も大地の身体に埋め込まれてはいなかった。
「銃は無駄か……なら、これならどうだ!」
男がそう叫んだ瞬間。
「……!?」
大地は、自分の足元に魔法陣が出現したことを察知すると、慌ててその場から飛び退く。
そして、その魔法陣から現れてきたのは……噴水のごとく出現する、水。
「水よ、その場で凍り付き、小さき刃と化せ!」
「氷……まさか!?」
すると、先ほどまで勢いよく噴出していた水が、その活動を止め、一気に凍りつく。
そして、男がその氷を……思い切り蹴る。
「刃の雨よ、降り注げ!! アイスレイン!!」
呪文名を言った瞬間。
散らばった氷は、大地の身体を貫こうと襲い掛かってくる!!
「そんな攻撃……無駄に近い!!」
大地がそう叫ぶと同時に、周りに風の塊みたいなものが出現する。
そしてそれは、相手の攻撃の軌道を逸らし、全然見当違いな所に散らばって行った。
「ま、またか……!!」
「そう簡単に喰らってやるほど、俺達は甘くねぇよ……!!」
大地は剣を出現させると、それを両手でしっかり握って、相手に向かって突っ込んで行った。