81,お前は俺が守ってやるから
「……んで、結局お前と組むことになったのか」
「あ、あの……私じゃ不満だったでしょうか?」
「いや、俺はお前でよかったと思うぜ……他の奴らよりも素直でいい子だし。あと可愛いしな」
「か、可愛いだなんて……そんなことないですよ……」
そして、謙遜するそんな姿も俺はグッとくる。
んで、結論から言えば、俺は空と組むことになった。
……あまり普段は話しをしないだけあって、これは貴重な機会だよなぁ。
「にしても、葵もなかなか粋な計らいするよな……もしお前を連れてきてくれなかったら、こうして一緒に肝試しなんてこともしなかったんだろうし」
「……そうですね。お姉ちゃんが私を連れていくなんて言わなかったら……こうして瞬一さんと一緒に行動することもなかったんですよね」
笑顔でそう答える空。
……ヤバい。
その笑顔、マジでグッと来る……。
これは数年後が楽しみだぜ、まったく。
ああ……けど空のこの笑顔はいずれもっと大切な誰かに向けられるのかと思うと、少しだけ残念に感じられたのはここだけの話だ。
口に出したら……なんとなく葵達に殺されそうだから。
「ああ……空が俺の妹ならよかったのにな……」
「え……ええ!?」
顔を赤くして驚く空。
……いや、まぁ、家の弟と言ったら、ことある毎に戦いを挑んでくるしな。
それに比べて空は大人しいし可愛いし、将来有望だしな。
いっそのことお嫁さんに欲しいくらいだが……それは口にしてはいけない。
口にした瞬間、それは俺自身の身を滅ぼす結果になりそうな予感がするからな。
……言っておくが、俺はロリコンではないからな。
……誰に言ってるんだ、俺。
「……とにかく、今は先に進もう。でないと、何も始まらないからな」
「……はい、そうですね」
グループに別れた俺達は、それぞれ様々な場所に散らばって、別荘内を散策している。
俺達は三階の部屋を調べて、大丈夫かどうかを確認する仕事を担っていた。
……他の奴らも各階を担当していたり、三人組である小野田・織・千世のグループは、食堂の方を見に行くこととなっていた。
ちなみに、行く前に千世から持たされた無線機は、別室にて待機している使用人達に連絡が行くようになっているらしい。
無線の内容は他の無線機では聞き取ることが出来ず、何かあったら使用人の無線機から一斉に流すことにしていた。
流石は千世……こういうことを考えるのは得意だな。
実行力もあるし。
「……しかし、暗いな」
「そうですね……少し怖いです」
「俺の側を離れるんじゃねえぞ。何があっても……俺がお前を守ってやるからよ。例え幽霊だとしてもな」
「瞬一さん……///」
顔を赤くする空。
……何だか言った俺まで顔が赤くなってきたような錯覚を感じるんだが。
発言に対して恥ずかしさを抱くとはな……流石に今のセリフは臭いだろうに。
そうこうしている内にも、俺達はまず最初の空き室に到着した。
「まずはここからか……入るぞ」
「は、はい……」
覚悟を決めて、俺達はその部屋の中に入った。