80,ペア
「テンション高いっての!!」
バシッ!
とりあえずテンションが最高潮になっている小野田の脳天をブッ叩いて、元の世界に戻してやる。
少し小野田の頭の上で星が飛んでいるような気がするが、そこは気にしてはいけないところなのだろう。
「とりあえず……二人一組で行くことにしますわ。ペアはくじ引きでよろしいですわよね?」
「あ、ああ」
えっと……今この場にいるのが、俺・晴信・啓介・小野田・葵・春香・月夜・織・千世・空・優菜・刹那・アイミーの十三人か。
……しかし多いな。
というか、この調子だと三人ペアが生まれそうだが……部屋割の時みたいに。
ちなみに、部屋割がどのように分かれたのか説明しておくと、それぞれ俺・アイミー、晴信・刹那、啓介・小野田、葵・空、月夜・春香、千世・優菜・織の構成だ。
……何で女子と男子がペアになってる所が二つもあるんだよ。
まぁとりあえずそれは置いといて……。
「三人ペアも作らなければならないみたいですけど……」
優菜がオズオズと手を挙げながら尋ねる。
これに対して、千世は冷静にこう言い放った。
「それじゃあ小野田先輩は一人で行ってもらうことにして……」
「待てや! 俺だって誰かとペアで行きたいっての!! 一人はヤバい……一人になると……一人になると……ヒーハー!!」
「……ペアにさせてやれ。出来れば小野田の場合は人が多いグループがいいかもな」
そんなわけで、小野田は必然的に三人組グループに入ることが決定した。
さて、くじ引きで決めるとのことだけど……。
「割り箸を使った簡単なくじ引きですけど……これでよろしいですわよね?」
「そうだね~。これなら不正とかもなさそうだし」
千世が番号が書かれた割り箸をみんなに見せて、それに対して織がそう答える。
……いや、一体誰が不正なんてするかよ。
不正した所で意味がまったくないだろうに。
「……鈍感だねぇ」
「お前も人のこと言えねぇけどな……晴信」
「うるせぇやい。俺の場合はもう刹那の気持ちに気付いてるからいいんだよ……今回も刹那と二人で一緒に行きたいねぇ」
「晴信先輩……」
「そうすれば、刹那の貴重なワンシーンが見れるかもしれないだろ?」
「変態!!」
「ぐほぁ!!」
晴信がものすごくいやらしい笑顔を見せたと同時に、刹那からのとび蹴りが襲いかかってくる。
喰らった本人はものすごく痛そうにしてるけども……まぁこの場合は自業自得ということで。
フォローしようもないし。
「番号は1~6までが二本ずつ用意されていますわ。6番になった二人が小野田先輩と組む……これでよろしいかしら?」
「異議なし」
千世の提案に対して、代表して俺が答える。
他の奴らも異論はないようだった。
そこで千世は、これらの箸を紙コップの中に投入し、机の上に置く。
……この中から好きなものを引けということか。
「……」
みんな無言で箸に手を触れる。
全員が触れ終わった後で、
「それじゃあ行きますわよ……」
「「「「「「「「「「「「「せ~の!!!!」」」」」」」」」」」」」
声を合わせて一斉に箸を引く。
……こうして夜の肝試しのペアが決まったのだった。