79,AM01:00
「みんな集まりましたわね?」
「何なんだよ石塚……こんな時間に呼び出したりして」
現在、AM01:00。
普通なら俺はもう眠ってる時間だ。
……こんな時間に俺達を呼び出して何をしようというのだろうか。
「……みんな、さっき話したこの別荘の話、覚えているわよね?」
「え? あ、ああ……忘れてはいないけども」
というか、忘れたくても忘れられないが現実だけどな。
「そ、それが一体、何の関係が……」
若干怯えている様子の春香。
まぁそりゃそうだろう……こんな夜中にそんな話題を出されたらたまったもんじゃないよな、普通。
なんだかんだで足が震えてる奴らも結構いるみたいだし。
特に……小野田の震えようと言ったら半端ない。
「おおおおおおお、俺はべべ、別にふるえつ……震えてなんか、なななななないけどな!」
「……むっちゃ震えてるじゃねえか。しかも途中詰まってるぞ」
横では啓介が呆れながら小野田にそうツッコミを入れる。
……不思議と啓介は平気のようだった。
「ああ。俺は別に幽霊とか信じない性質だからな……というか、こういう経験は慣れた」
「あ……そう」
過去に何かがあったのだろうけど、そのことに関しては触れない方がよいのだろう。
「それで本題に入りますわね……それで、この話には実はまだ続きがありましたの」
「続き?」
意外だ……あの話に続きがあったとは。
この時間、このシチュエーション、そして先ほどの話の続き。
……どう考えてもいいイメージは持てないよな……。
「実は、数日前まではこの別荘には住み込みで雇われていた使用人が数人程いたみたいなんですの」
「住む奴もいないのにか? ……それはご苦労なこったなぁ」
「……数日前までってどういうことなの?」
その点が気になったらしい葵が、千世にそう尋ねると、
「……ところが、つい最近別荘から逃げるように帰ってきてしまったのです」
「逃げるように?」
「それって一体……」
あまり意味が分かっていない様子の刹那と晴信。
それに比べて、多少は予測出来たのか、若干身体を震わす優菜やアイミー。
……ああ、俺もなんとなく想像がついてきたかも。
「その使用人達は、私達が住んでいる屋敷に来るなり、こう訴えてきましたの……『幽霊です! 幽霊が出ました!!』『もうあんなところに住むのなんて嫌です!』って」
「……は、はは……そんなの冗談に決まってるだろ……」
流石に晴信もビビり始めた。
しかし、俺が言うのも難だが、コイツはなかなか肝が座ってるよな、うん。
「……実際、その別荘で働いていた使用人の内の一人が、謎の病に犯されて、そのまま……」
「「「「……」」」」
いよいよマジな話になってきた。
ヤバい……流石に呪いとかを信じない俺でも、この話はヤバいって思えるようになってきた。
「……んで、俺達を集めた理由っていうのは……」
そして、啓介がとうとうそこの部分に触れる。
……千世は、少し静寂を保った後で、静かにこう告げた。
「……使用人達が嘘をついているとは思えませんわ。しかし、実際に確かめてみなければ納得がいきません……そういうわけですから、ここからは夜の肝試しの時間と行きますわよ」
「「「「!!」」」」
瞬間。
女子グループの身体が明らかにビクッとなったのが分かった。
小野田に至っては……。
「ヒーハー!!!!」
……訳の分からない奇声をあげる始末であった。