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Magicians Dream  作者: ransu521
第一部 光の器と闇の軍勢
10/139

10,精霊山

「うへ~この山を頂上まで登るの~?」

「頑張ってください、葵さん。まだ半分も登ってないですよ?」

「けど……いくらなんだって、この山高いでしょ~!」


私達は今、試練を乗り越える為に精霊山に来ている。

そして、命の花を取ってくるのが、今回の私の試練。

だけど、この山がこんなにも高い山だとは思ってもみなかったから……早くも挫折してしまいそうだよOTL。


「が、頑張ってください、葵さん! 帰って瞬一さんに会うんですよね?」

「……そうだった。何大切なことを見失っていたんだろう……私は瞬一に会う為に、この試練を乗り越えるって誓ったんだもん。こんなところで挫けてたまるか!」

「そうです、その意気です!」

「よ~し! 頑張ってこの山を登りきるぞ!!」


そう考えてみると、かなりやる気が出た。

……理由はどうあれ、この山を私は完璧に登り切らなければならないのだ。

命の花というのは、どうやら頂上にしか咲かない花らしくて……私はどんな形をしているのかは知らない。

けど、麻美ちゃんはどうやらその花の形を知っているようだ。

そういう意味でも、麻美ちゃんが一緒にいてくれて本当によかった……。


「どうかしましたか?」

「ううん、別になんでもないよ」


どうやら私が麻美ちゃんのことをじっと見ていたのが気になったらしい。

私は目線を麻美ちゃんから少しずらして……そして誰かが草むらの影にいるような気配を見つけた。


「……麻美ちゃん、ここ、誰かいるよ?」

「え? ……あ、本当です」


どうやら麻美ちゃんも見つけたらしい。

……それにしても、あそこにいるのは誰だろう。

この世界には似合わない……純粋な闇の気配がするんだけど。


「まさか……堕落世界ダークサイドの人達……でしょうか?」

堕落世界ダークサイド? それってどんなところ?」


私達はその草むらの影に隠れているだろう人物に気をつけながら、山を慎重に登って行く。

そのついでに、私は麻美ちゃんにそのことを尋ねた。

すると麻美ちゃんは、こう説明してくれた。


「闇の魔術に手を出してしまった人達がいく……言わば、私達とは反対の位置にいて、同じ所を目指す人達のことです」

「……なるほど」


つまり、天上界エンジェルフィール光の器(てんし)達が集い、その力を操ることが出来るようになり、元の世界へ帰ることを目指す場所であり、善行を行った人達がいきつく最後の場所なら、堕落世界ダークサイドは、悪魔に魂を売った人達が集う、最終審判の場所ということになる。

また、悪魔に魂を売ったが、厚生したいという人達がいきつく場所でもある。


「……けど、もし本当にそこにいる人達が堕落世界ダークサイドの人達なのだとしたら、どうしてここにいるのかな……?」

「……さすがにそれは私でも分かりません、ですが、今はこの山を登って、命の花を採りにいくのが、私達の最優先事項です」

「麻美ちゃんの言うとおりだね。そうときまれば、早速……」












「……逃げろ。今すぐこの場から立ち去れ」












「……え?」


今、どこかから男の子の声が聞こえたような気がしたんだけど……一体どこから?


「もしや……先ほどの人達ではないでしょうか?」

「まさか……それじゃあこの声は、堕落世界ダークサイドの人達からの、警告?」

『そこにいる小娘の意見が正しい。けど、俺はお前らの命を取るつもりはない。お前らが即刻立ち去るというのなら……お前らを見逃してやる』


魅力的な提案ではあるけれど……私にはやらなければならないことがある。

それは私にとって、とても重要なことなんだ……これが出来なければ、私は早速目的を挫かなければならなくなる。


「……嫌だよ。私達は行く。この先に私達は用があるんだもん」

『……そうか。この山を下りるつもりはないのか。折角命を助けてやろうと思ったのに……これじゃあ無意味だな。仕方ない、面倒だが、お前達二人を……ぶち殺す』


瞬間。

草むらの影から勢いよく人が飛び出してくる。

標的は……私だ。


「私の剣よ、ここに!」


相手は多分剣で私に攻撃してくる。

そう思った私は……剣を創り出して、



ガキン!!



「……え?」


確かに、武器で攻撃してきた。

けれど……得物は、鎌だった。

そして、見たことのある少年の姿が、そこに。


「よ……由雪、迅」

「……よう、久しぶりだな。細川葵……」


そこには、由雪迅その人がいた。

だが、次の瞬間。


「……!? どうして……お前がコイツと一緒にいる……」

「じ、迅君……」

「……へ?」


由雪迅と麻美ちゃんは、目を合わせたまま、しばらくその場を動けないでいた。













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