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Magicians Dream  作者: ransu521
第一部 光の器と闇の軍勢
1/139

1,プロローグ

「う……ここは……どこ?」

『ようやっと気付きましたか……生きていてなによりです』

「え? 誰?」


目が覚めたら、私は見知らぬ空間に出てきていた。

ここは……どこ?

それに私は……今まで、何を……。


『貴女は……細川葵さん、で間違いないですね?』

「は、はい、そうですけど……」

『僕はモテラスと言います。今回はちょっとした手違いがありましたが……貴女を天上界エンジェルフィールに呼ぶ為にやって参りました』

「エンジェル、フィール……? それって、一体……」


まったく聞き覚えのない地名が登場して、私は少し混乱しているのが分かる。

……一体、何がどうなってるって言うのだろう?

私には、さっぱり……!!


「痛い……!!」

『……やっぱりまだ完全には塞がっていませんでしたか……』

「な、何が……あ……」


そうだ……思い出した。

私、勝手に力が暴走して、それで……暴走を止めてもらう為に、瞬一に……。


『……そう、それが、それこそが、貴女がこの世界に連れてこられた理由です。貴女がその力を持っていたからこそ、天上界エンジェルフィールに行く為の条件が揃ってしまったのです』

「……それじゃあ、私は、死んだってことですよね?」


私は、瞬一に心臓を刺されたのだ。

心臓を刺されて死なない人間なんて、そう多くはいないだろう。

多分、私はもう死んでいて、ここは天国なのだろう。

天上界エンジェルフィールとは、つまり天国という意味なのだろう。


『……いえ、貴女は生きていながら天上界エンジェルフィールに行くことが出来る、数少ない人物の一人です』

「……え?」


生きていながら、行くことが出来る?

……どういうこと?

それってつまり、私は……。


『ええ。細川さんはまだ生きています。これは確かなことなのです』

「私……生きてるの?」


てっきり私は、もう死んだ身だと思ってたのに……なのに私が生きている?

それじゃあつまり……また瞬一に会えるってこと?


「……私、私……瞬一に、会えるの?」

『……今は無理です』

「な……何で!?」


私は生きているのだから……生きてるってことを早く瞬一達に伝えなきゃいけないのに……!!

この想い……まだ完全に瞬一に伝えたわけじゃないのに……!

別れ際に瞬一に『好き』って伝えたけど……鈍感な瞬一はその言葉の意味をきっと分かってない。

だから、早く私の想いを……瞬一に伝えないと……!!


『今の体のままで行っても……結局は光の器(てんし)の力が暴走してしまって、同じ悲劇を繰り返してしまうだけです。だから、今は我慢していてください』

「……そんな。私は生きているのに、こうして話せるのに……どうして瞬一に会えないの? 私はもう二度と……瞬一に会えないの? そうなのだとしたら、どうして私にこんな力が備わったの? この力のせいで私はたくさんの人を傷つけたのに……どうせ人を傷つけることしか出来ない力なのだとしたら……私は、こんな力……」










『ストップです、細川さん。それ以上のことを言うのは許しませんよ』










「!?」


ただならぬ殺気が、私の体を貫く。

……そう言えば、辺りに人の姿が見当たらない。

さっきまでは意識が少し揺らいでいたから気付かなかったけど、人の姿なんて私はここに来てから誰一人として見ていなかったのだ。

……じゃあ、私が今話しているモテラスさんは、どこにいるというの?


『……光の器(てんし)は、神によって選ばれた存在とも言うべきです。確かに力を授けられるかどうかこそはランダムですが、その力はその世界を変えることが出来る程のものです。だからこそ僕は、この力を授かったことに対してかなりのプライドを持っています。だから、簡単にいらないなんて言わないでください』

「……は、はい」


私は、もはや何も言い返すことが出来なかった。

それほどまでに……モテラスさんの言葉は、私の胸に容赦なく突き刺さった。


『……ですが、貴女がこれから試練に耐えることが出来れば、ひょっとしたら、また元の世界に帰れるかもしれません』

「……え!?」

『貴女に……その覚悟はありますか?』


私はモテラスさんに尋ねられて……やがてこう答えた。


「もちろん! 瞬一がいる世界に帰れるのなら……どんなことだって耐えてみせる!」

『瞬一、か……三屋谷瞬一さんのことですね?』

「え……どうしてその名前を!?」

『以前お世話になりましたから……それでは、天上界へ行きますよ!』

「ど、どうやって……キャッ!?」


いきなり空間が歪む。

そして、私の意識がどんどん薄らいでいく。

……私、絶対に元の世界へ帰るんだ。

薄らいでいく意識の中で、私はそう呟いた。















それこそが、これから私の身に起きる物語の始まりだった。
















耐えきれずに……とうとう連載始めてしまいました。

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