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紗夢中学校進学

早いもので、星蘭ちゃんが小学校に入学してもうすぐ四年になります。


今日は私の小学校卒業式です。


星蘭ちゃんはまた別れ別れになるので、少し寂しそうにしていました。


彩華ちゃんとも進学する中学校が異なり、私は近くの公立中学校ですが、彩華ちゃんはミッション系の中学校に進学することになりました。


彩華ちゃんは、私に少し寂しそうにしながら。


「進学先は違うけれど、これからも友達でいてくれる?」


と、たずねてきたので。


「もちろんよ、これからも友達でいましょうね。」


私は、明るく微笑みかけながら答えました。


卒業式では、感極まって泣き出す子も結構見かけましたが、なぜか私は平気でした。


これも小学校卒業が二回目だからかな?


そう思いましたが、さすがに顔には出さずに、神妙にしていました。


卒業式も佳境に入り、校長先生から卒業証書授与が行われ、最後に少し長い話を聞いて、お開きになりました。


まあ、何回も卒業式を経験した私としては、特に感動することもありませんでした。


ただ、星蘭ちゃんと一緒に通学できなくなることと、数人のお世話になった先生との別れには、少し感情が動く感覚がありました。


特に六年生の時の担任には、色々と相談に乗っていただき、とても感謝しています。


「先生お世話になりました、ありがとうございます。」


少しだけ感情的になりましたが、涙がこぼれることだけは防げました。


「おめでとう。中学生になってもしっかり勉強頑張ってね。あなたなら問題ないでしょうけれど、急に授業は難しくなるから。」


まあ、大学まで行った私としては問題ないのですが、そこは話を合わせて。


「はい、頑張って授業についていくようにします。」


「頑張るのよ。」


そう言って先生は少し涙ぐみながら手を振ってくれました。


学校で別れの挨拶を交わし、一人で家に向かっていると、星蘭ちゃんが後ろから追いかけてきました。


「待って~。紗夢ちゃん、一緒に帰ろう。」


私は後ろを振り返りながら。


「え、後片付けはしなくていいの?」


「終わったよ。四年生は式場の片付けだけで良かったから早く終わったの。」


「そう。今日、うちで卒業のお祝いをお母さんが開いてくれるの。星蘭ちゃんもうちに来る?」


「うん。必ず行くわ。」


「じゃあ、夕方五時からだから待ってるわね。」


「分かったわ。久しぶりにおばさまの手料理がいただけるのね。」


「たぶん私の好きなものが並ぶと思うわ。」


「え~。太ってしまわないかしら。」


「まるで、カロリーの高いものばかり私が好きみたいじゃないの。」


「だって、唐揚げとか、ケーキとか、ステーキとかでしょう。」


「失礼ね。サラダだって私好きよ。」


「ふふふ、そう言って慌てるところが怪しいのよ。」


「じゃあ、星蘭ちゃんは欲しくないのね。」


「そういってすねないでよ。少し言い過ぎたかしら。謝るから機嫌なおしてよ。」


「ふふ、本気で怒ったりしてないわよ。まあ楽しみにしてきてね。」


「うん。じゃあ後でね。」


そう言って、お家に駆け込んでいきました。


それを見送ってから、私も家の玄関を開けて。


「ただいま~。」


と、大きな声で帰宅の挨拶をしました。


夜は、私の卒業祝いで、とても賑やかにパーティーが行われました。


遥香ママは、私の好物の料理と、プレゼントを用意してくれました。


プレゼントは、中学で使用する通学カバンと筆記用具のセットでした。


「制服と靴は先日採寸して注文してるから、入学式には間に合うそうよ。」


「へ~どんな制服なの?」


星蘭ちゃんは目を輝かせながら私にしがみつき、顔を覗き込んできました。


「ええとね、膝くらいの長さのピンクのフレアスカートに、服も、襟も白いセーラー服で、襟に二本ピンクのラインが入ってるの。」


「早く見てみたいな~。私も二年後にはその服着れるのね。」


「そうね。同じ中学に一年間は通えるわね。」


「あ~早く中学生になりたいな。」


そんな二人の会話を遥香ママは、とても幸せそうに見つめていました。


私も、このまま平穏に毎日が続けばいいのにと、心の中で手を合わせて願いました。


 *****


早いもので、今日は私の中学の入学式です。


遥香ママはお仕事の都合でどうしても来られないので、とても不安でしたが、今日は一人で入学式に臨みました。


入学式の式典が終了した後、私はクラス分け表に従って、一年B組の教室に入りました。


新一年生は同じ小学校からの友達同士でグループに分かれてガヤガヤと会話していました。


生憎、私は同じ小学校出身者がクラスに在籍しておらず、適当に空いている席に腰掛けました。


しばらくすると、先生が教室のドアを開け、手をたたきながら言いました。


「はいはい、おしゃべりはそこまでにして、適当な席に着席してください。」


とても若い女性教師が入ってきて、教壇から皆を見回しました。


「それでは、前の席四人私についてきて。教科書を運ぶのを手伝ってほしいの。」


私を含め四人は先生の後ろをついて、職員室の隣の部屋にある一年B組と書かれたプラカードの前にある教科書を、四人で手分けして教室まで運びました。


先生は教室で、机の上に教科ごとの教科書を置き、人数分あることを確認しました。


「それでは、左の列の先頭から各教科の教科書を一冊ずつ取ってください。」


みんなおとなしく指示に従って、教科書を受け取って席に戻りました。


全員が教科書を受け取ったことを確認して、先生は言いました。


「それでは、これからの授業の時間割を黒板に張り出すので、皆さんノートに記録してください。」


「間違えないように書き写すのよ。」


そう注意してから、黒板に時間割表を張り出しました。


「明日から授業が始まります。忘れ物しないようにお願いね。」


「後、教科書以外の備品をグランドで販売してるから忘れずに買って帰ってね。」


「保護者と一緒に来てるなら、保護者と一緒に購入するといいわ。両親がいない生徒も心配しないでね。ちゃんと新入生セットで販売してるから買い忘れることはないわよ。」


「あとは、これからくじで席順を決めます。視力とかでどうしても前が良い方は手を挙げてください。」


何人かが手を挙げたので、その生徒を前の席に座らせて、その席のくじを抜き取り。


「それではくじを引いてください。」


みんな席順が決まり、手を取り合って喜ぶ生徒や、残念そうにしている生徒がいましたが、それぞれが決まった席に移動しました。


「それでは、この席順で一学期を過ごします。二学期にはまた席替えするからね。次にクラス委員ですが、一年は学校側で決めています。二年からはクラスで選挙して決めます。」


クラス委員の発表後、クラス委員に選ばれた男女二名の生徒は教壇に出て挨拶をしました。


「それでは、毎日先生の手助けをする日直は右の席から順番に担当してもらうから。よろしくね。」


こうして、入学式当日のイベントはすべて終了しました。


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