第30話 先に名乗り合うのが筋
(ジレイグという名前の人でいいのね。でも彼ならもう見つかったわよ。さっき精神世界から帰ったはずだから今頃は現実世界に戻っているはず…………)
(よかった!では早速、ジレイグさんのところに案内してください。よろしくお願いします。あっ、ついでといっては何ですが彼のランクを上げてもらえると…………ありがとうございます!感謝してます!!)
(ちょ、ちょっと待ってもらえないかしら。あなたのランクのことだけど…………どうしようか迷っているところなのよね。だって今のままでもいいと思うけど。その…………あまり無茶しすぎなければ…………あなたならすぐにSになれるんじゃないかと思って…………じゃなくて!!)なんだか必死さが凄かったが、それについては特に何も言わずジレイグのもとに連れて行くように頼んだ。
すると次の瞬間、白い光に包まれた。その眩しさのあまり目を閉じるとそのまま気を失ってしまった。しばらくして再び目が覚めるとそこには見たことのない部屋の中にいた。
(あ、目が覚めたのね)
黒髪の女性が隣にいた。私が目覚めるのを待っていてくれたらしい。
辺りを見回したが見覚えのない風景だった。ただ、ベッドの周りをぐるりと囲むように白い幕のようなものが張られており外の風景は見えなくなっているようだ。
(ああ、ここは私の神域にある神殿の一室ですよ。ここならば誰にも邪魔されずゆっくり話ができますね。それとジレイグさんですけど、今はもうここにはいませんよ。おそらくあなたが起きたらここに来るように言われていたと思うので伝えに来たところです。彼はすぐに戻りましたから今ごろは自宅に戻ってお茶でも飲んでいると思いますよ)
ジレイグにはすぐに会えることが分かったためホッとしたが、私は一番大事なことを聞いていなかったことに思い至り質問をした。
(そういえば自己紹介がまだだったですね。えっと名前を聞いていない気がするんですが…………?私はティアナといいます。よろしくお願いします)
私は自分から名前を名乗らなかったことが恥ずかしくなった。相手が私の名前を知っていたとしても礼儀としては先に名乗り合うのが筋というものだろうと思ったのだ。




