第25話 神の力
(ちなみに彼が生きている間は君が彼の身体を操れる可能性はあるのだがね、でも君が死んだことで彼の肉体は完全に僕の手中に入った。もう彼には自分の力を制御する術もない)
(ちょっと待ってください。さっきまであなたに肉体を奪われたと言っていた子がいたと思うのですけど?)
(そう。あれこそこの僕の仕業なのだ!)
(何でそんな真似をしたんですか!! その子も私の大切な友だちなのに!! あなたにとってはただの道化にすぎないんでしょう!)
(何を言っている! 神の前で道化は死んだ後でも生きていける存在なんだよ! そもそも僕は神だから道化であろうとなかろうと構わないのだよ!)
なんて自分勝手で非情で身勝手な存在だ。私は目の前が真っ赤になって思わず叫ばずにはいられなかった
(そんなこと…………!)
(じゃあこうしよう! その友人はこのまま君の中でこの先ずーっと眠り続けることになり君の魂の欠片となった存在は、いずれ君の肉体が滅びた時にこの世界で生きる権利を失うことになるのだ!そ、それでいいんだな!)そこで神様は思わせぶりな態度を取る
(それに、言ったはずだよ。君はまだ生きているとね。君たちがいうところの死とは精神活動が完全に停止することをいう。君の意識は止まっていないだろう?つまりその友人の方は精神的なものではあるが生き返っているというわけさ。もっとも、このままこの世界で生きていたらやがて消滅することになるだろうけれどね。それでも良かったかな?〉
(ひどい!ひどすぎる!)
(まあそういうわけなので、君は、彼を救う覚悟を決めないといけないのだよ)
(わかりました。でもどうやって救うんですか?)(簡単だ。負の感情をすべて消し去ってあげればいい。そうすれば彼は救われることになるだろう)
(でも…………)
(もちろん君の体にもちゃんと考えがあるから安心してくれて構わない。ただしそれをするにはある条件を満たしてもらう必要があるのだが)
(条件? 一体なんですか?)
(この世界では、神と人間の力の差があまりにも大きい。そのため、君には神の力を一部授けたいと考えている)
確かに神様が人間に何かをするというのは聞いたことがないような気がする。(まあ…………神様になるよりは遥かにましですよね?)と聞こうと思ったがやめておくことにした。きっとまた変な答えが返ってくるに違いない。それより重要なことがあるんだった。
(一応確認しますけど、私が神様の力を得るっていうのは具体的にはどういう意味なんでしょうか?)
(まあ大雑把に言うと今の自分の記憶を残して別の存在に生まれ変わるということかな。その代償として今の記憶は全て失うことになるし、これから先も輪廻転生を繰り返すことはできないし天国や地獄に行くことも叶わない)これは意外ときついデメリットかもしれない。別に悪いことをしてきたつもりはないが罪を背負ったまま別の人間になりたいと思ってしまったからだ。そしてそれは私だけじゃない。
(その程度の対価で済むのならむしろ幸運な方だと思います)
こんなことならもういっそのこと死んでしまった方がいいんじゃないかとも思えるが、それだとこの子たちは助からない。私以外の誰がこんな悲しい思いをしてもいけないのだ。それに何の償いもないまま死んでいくというのはやはり嫌だった。




