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第八十二話 戦の前の腹拵え

 「この設計図だとうちの生産用ドームより大きいですよ?」

「心配致すな! 工期はそれ程掛からぬから希望を申せ!」

 

 ニュ◯◯ークにある、ゴードングループが所有する物件というか島!

イー◯ト川とハ◯ソン川の合流地点に1k㎡の小さな島がいつの間にか

流人達の目の前に出来ていた。


 「自由の女神の近くにこんな島がありましたか?」

「気にするな、これからも増えるかもせぬぞ(笑)」

 楽しげに対応をするサーシャ様、

反対に相手がサーシャ様で気苦労が絶えない流人達であった。


「流人よ!AZ様とOZ様の勅命じゃからな遠慮は要らんぞ!」

 「遠慮はしませんけど・・・」


 島の殆どを覆い尽くすドームを作り、内部には植物を沢山育て庭園風に

建物は新雪の様に艶のある白で統一して、

屋根はドーム型でドームと同じ様にガラス張りする。


 「温度や湿度も調節できる様にしたいから、

 外壁のドームは二重にして下さい。」

「二重か、承知したぞ!」


 「植物ですが四季を感じたいのでこの国の紅葉樹はなんでしょうか?」

「楓や紅葉はあるぞ! 桜もなぁ」

 「それだったら、日本風庭園にして頂けたら嬉しいです。」

「日本風庭園に西洋風の建物か?」

 「西洋風と言うか、温室の様な感じかな?」

「温室じゃな! 側面はガラス張りでなくて良いのじゃな?」

 「はい、大きい窓は欲しいですが、

 白い建物だと認識出来る部分を残して下さい」

「残せば良いのじゃな! 広さはどの位じゃ?」

 「そうですね、個別対応が出来る部屋が10も有ればいいでしょう?」

「個別対応とな?」

 

 顧客同士が合わずにサービスを受けられる様に動線を考えて頂きたいと、

サーシャ様に説明したのだが!

 「サーシャ様? ご理解頂けましたか?」

「妾に聞いておるのか流人! 分かる訳なかろう(笑)」

 「そうでしょうね・・・(笑)」

「心配致すな!眷属が対応しておるからな、安心致せ!」


 その他にも、内装で、トレーニングジムの機器や温水プール、

サウナに岩盤浴など世界一の街にふさわしい設備を求めた。


 「こんな感じですかね?」

「遠慮がないのぉ(笑)」

 「はい、求めるなら納得のいく物をね♪」

「そうであった(笑)」


 同じ様にフ◯◯ダへ向かいマ◯◯ミにあるマングローブの森の中に

違和感が漂う4k㎡の綺麗に整地された物件にも同じ様なドームと建物を求めた。


 「ア◯◯ナの物件は如何なりました?」

「既に工事に入っておるぞ!」

 アメリカ支社として建てた建物を改築してサロンとして使える様にし、

側には新たに製造用の工場を併設していた。


 「反対運動とかは大丈夫ですか?」

「心配いらん! 一部だが連邦最高裁判所の判決も下っておるからな」

 「もうですか!」

「そうじゃ! スピードが違うぞこの国はなぁ(笑)」


 訴訟対策も事前に判断を仰いで置き、不要な争いを避けていた。

この国では前例は一つの参考として扱われるのだけなので、

絶対ではないが、我々の好材料になる事は間違いない判例だった。


「流人よ、いつ公表する気なのだ?」

 「マスコミに対して私達の企業名の使用停止と

 取材禁止命令の処分が出たら直ぐに♪」

 

「あえて宣伝はしないのだな(笑)」

 「元々、salon of sister'sは富裕層向けのサロンですから、

 一般庶民向けのimportant salonと一緒にされては困るんです。」


「地域に根差す・・・本気であの国と共にするのじゃな?」

 「国に興味はございませんが、守りたい場所なんですよ♪」

「地元の神々にも愛されておる様だな(怒)」

 「異人と分かっていても同じ様に接して頂いております。」

「の・・・様だな(笑)」

 「はい(笑)」

「好きに致せ! 妾にとって其方は変わらぬからな(笑)」

 「ありがとうございます。」




 転移で戻り自宅で邉さん達を待つ、

待っている間にテレビを見ていると、相変わらずの我が社への非難が続いていた!


 「再び火種が大きくなって来ましたね!」

「多少騒いで頂きませんと、禁止命令も出して頂けませんから・・・」

 「ひょっとして、やらせなの?」

「やらせではございません、情報を偏って流しているだけにございます。」

 「そう言う行動って黒天の方が得意と思ってました。」

「彼奴は実行主義にございますから・・・(笑)」

 「紅丸は陰湿なんだね(笑)」

「流人様! 我は陰湿などでは・・・(笑)」


「お!紅丸さんも居たのか!」

「おはようございます、流人君」

 「おはようございます。」

「おはようございます、それでは流人様の面倒を御頼み致します(笑)」


「おぉ!おぉ〜・・・?」

 「気にしないでいいですからね(笑)」

「あぁ〜! で今日はどこへ行くんだ?」

 「都内の銀行巡りですのでよろしくね♪」

「銀行か?」

 「はい、マスコミによると資金不足らしいのでウチはね(笑)」

「御隠居に大見栄切って冗談まで言えるんだな・・・。」

 「昼食は何処か美味しいお店を紹介して下さい、陣さん?」

「僕ですか?」

「なんで陣内なんだよ?」

 「邉さんより美味しいお店を知っていそうだしね(笑)」


「俺だって美味い店くらい知っているぞ!」

 「牛丼屋以外では?」

「牛丼だって美味いだろう!」

 「輸入規制が入りましたからね、我々は他に行きましょう。」

「なんだ、嫌なのか?」

 「制限が掛かってしまった以上、必要な人達に優先して頂きたい、

 我々は他の料理も頂けるんですからね。」


 懐の事情が厳しいサラリーマン達の憩いの場所、

財布に優しいお店を流人達は、輸入規制が解除されるまで避け続ける事とした。


「陣内!定食屋だ! 探せ!」

「先輩が希望出して如何するんですか! 流人君が優先でしょう?」

 「定食屋さん♪ 美味しいなら是非行ってみたいですね♪♪」

「決まりだ! おばちゃんの処に決まりな!」

 「おばちゃん?」

「先輩まだ決まってませんよ!」

 「あそこより美味い定食屋はないぞ!」

「そうですけど、昼食時間が何処か分からないですから?」

 「そのお店に今から行って先に食べましょう?♪♪」

「今から・・・いいのか?」

 「陣さん、紅丸に連絡して会談を14時からにして頂いて下さい」



 某大学の近くにある、学生相手の定食屋さん、

量が多く、手頃な値段、そしておばちゃんと呼ばれる女将さんの愛嬌が、

代々学生の中で人気となっていた。


「おばちゃん♪ 日替わり定食ね!」

 入店早々邉さんが注文していた!

「いらっしゃい! あら懐かしいい顔ね♪」

「こんにちは、おばちゃん!」

「あら、こちらも懐かしいわね、いらっしゃい!

 ごめんなさいあなたは・・・」

 っと流人の顔を見ても覚えがない事を謝る。


「おばちゃん、この子は初めてだから当然だよ!」

「あらそうだったの! 歳による物忘れかと思ったわぁ(笑)」

 明るく笑いあげる女将さんに、親近感を抱く流人だった。


 「初めまして流人と申します。」

「はい、初めまして、宜しくね♪」


「流人はなににするんだ? ここはなんでも美味いぞ!」

「先輩!注文早いですよ!」

「終いって事もあるからな(笑)」


  壁に掛かったメニューの札を見ながら考える流人、

大体理解は出来るが分からないメニューがあった!

 「特盛り定食ってなんですか?」

「お! そこに行くのか?♪」

「流人君ではちょっと量が多いと思うよ?」


「特盛り定食って言うのはね・・・」

 女将さんが丁寧に説明してくれた!

 運動会系の子供達用で、

揚げ物が16個とチャーハンの大盛りにラーメンが付いたガッツリ飯だった!


「流石に流人じゃぁ無理だな(笑)」

「って、僕達だって一度も完食した事ないでしょう先輩」

「まぁ〜な!(笑)」

 「揚げ物16個とは?」

「毎日違うけど、本日は鳥唐4つとコロッケ2つ・メンチカツと、

アジフライ・エビフライ・イカフライ・ささみフライ2つに、

コロコロポテト2つと一口カツが2つだったかしら」


 「タルタルソース付きますか?」

「タルタル! 勿論付くけど・・・大丈夫かい?」

 「はい、嫌いな物は無さそうなので、それをお願いします。」

そう言う意味で聞いたんじゃないっと言いかけそうになったが、

同席の二人の様子を見ると言葉を止めて承知した。


「流人! 一応この定食屋ではルールがあってな、

食べ残しは御法度だからな(笑)」

 「多分大丈夫ですが、ラーメンって何味でしょうか、聞きそびれましたね?」

 量を全く気にしていない流人に呆れながらも、

「昔ながらのあっさり醤油味だ!」っと答えた邉さんだった。


 注文をして、料理が出来るまでBGM代わりに流れているテレビを見ていると、

プロジェクトRの申し立てで、15社に対して取材と接見、

及び企業名プロジェクトRの掲載、報道を禁止する命令が受理され、

裁判所から禁止命令が出た事を伝えていた!


 「早かったですね♪」

「完璧に敵対するんだな流人?」

 「御隠居様は理解して頂いたと思ってますよ。」

「それは理解するが、マスコミは完全に敵対するぞ!」

 「♪♪ 楽しみですね♪♪」


「これからは一切宣伝が出来なくなりますね。」

 「そうですね、ありがたいことです。」

「企業が宣伝出来なかったら困るだろう?」

 「普通の企業ならね(笑)」


「よく分からんが、勝つんだよな?」

 「負けてもいいんですよ♪ 求めている結果が出たらね♪」

「求めている結果かぁ」

 「はい、それに賠償金が全額認められちゃったら、

 この国のメディアは潰れますよ(笑)」

「金じゃないって事なんだろうが・・・なぁ」

 「今夜辺りが楽しみですね(笑)」


 流人の言葉に今夜何かがある事を知った二人だった。




 ・・・ごちそうさま♪


 全部!喰いやがったぞ!・・・

 先輩・・・。



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