第七話 助さん、角さんを求める。
「流人は一人で寂しくは無いのか?」「そうだな」「寂しいだろ?」
「三賢者が居るので大丈夫だよ。」
「そうか?」「それなら良いが」「孤独だな」
夕の刻にテレビで放送されていた時代劇ドラマを見ていた三賢者が、
夕刊を読んでいた流人に問うて来た。
「如何したんですか?」
「流人、一人では寂しいだろ」「助さんを呼べ」「角さんもじゃ」
「助さん?角さん?」
「おるだろ僕が!」「呼ぶが良い」「呼べるであろう?」
「この世界には、魔族は居ないんですよ、呼べませんよ」
「僕を人と致せば良かろう」「そうだ人として扱えば良い」「名を与えよ」
「名を与えても魔族は魔族です、駄目ですよ。」
「色々便利だぞ」「そうだぞ!」「この間だってなぁ・・・」
三賢者のこの間と言うのは、
街を探索していた流人が、街の不良に絡まれた事を述べていた。
大した問題には成らなかったが、救急車やパトカーが出動する騒動だった。
「確かに」
「だろう、流人が手を下すまでないのじゃ」「そうじゃ」「だな」
「然し、召喚された身ですから、僕を呼ぶのは・・・。」
「奴らも、待っておるぞ」「寂しいかもな?」「心配しておるかもな?」
前の世界で、僕の世話を全て行っていた僕の魔族2人、
そんな話をしていたら急に寂しさを覚えてしまった。
「呼んで騒ぎになりませんかね?」
「流人も呼ばれたが騒がれておらんだろう?」「大丈夫じゃ」「はよ呼べ」
地下室の秘密の間に入り亜空間の中へ
この世界に影響が無いよう亜空間で閉ざした儀式の間、
そこで流人が僕の2人を召喚した。
「我が声に応じて集え僕達よ!」
魔法陣が光り現れ浮かび上がる、 床に霧が漂い光りが爆ぜる!
霧が晴れるとふたりの男が服従の姿勢でいた!
「「主人様の声に馳せ参じました」」
「久しぶりだね黒と紅。」
「「はっ!姿がお若く成られた様で、お喜び申し上げます。」」
「召喚されてね、この世界で出直す為に姿を変えた。」
「なんと!」
「「主人様を呼ぶとは不届きな(怒)」」
「それで、2人にもこの世界で僕に仕えて欲しい。」
「「我等、主人様の僕、何処へでもお供致します。」」
「ありがとう。」
「「勿体なきお言葉にございます。」」
「じゃぁ三賢者、登録など宜しくね?」
「任せろ!」「っで名は?」「歳は如何する?」
「苗字は・・・魔族だから・・真乃で良いかな?」
「名は・・・黒・・・黒天と紅・・・紅丸」
「なんじゃ簡単に決まったな」「助と角で良かったのに」「そうだな」
「真乃黒点と真乃紅丸」
流人から一気に魔力が削られてゆく、
それと同時に2人の僕からは魔力が増幅されていった!
「真乃黒点に御座います。」
「真乃紅丸に御座います。」
「宜しくね黒点、紅丸♪」
「「はっ!更なる忠節を誓いまする。」」
「年齢は・・・」
「待て流人!」「そうだ」「意見があるぞ。」
未成年ばかりの集団では、印象が宜しくない。
2人には流人の補佐を行う為にも成人であった方が良いと三賢者が説く。
「政府の施しとかは如何するのですか?」
「そんなもん受け取らなければ良い」「そうじゃ」「だな」
「えぇ〜!」
「心配せんでも良い」「そうだ金はある」「国庫へ入金して置けば問題無い」
「じゃ〜如何するのですか、年齢は?」
「5か?10程増やせばよい」「そうだな」「そうじゃ!」
「「我等が長齢になっても宜しいのでしょうか?」」
「記録上の登録だから問題は無いよ」
記録上の事とはいえ、戸惑う2人の様子を面白く思う流人であった。
「2人は5と10どっちが良い?」
「「主人様のお好きな様に」」
「だから聞いているんだよ!それと、この世界では流人だからね」
「「はっ!流人様」」
「それでどっちかな?」
「「10で御座います」」
「まさか揃うとは思わなかったよ、じゃぁ〜1970年生まれで」
「月と日は如何する?」「そうじゃな」「同じではなぁ」
「黒点と紅丸は双子って事にして、7月10日生まれで如何かな?」
「双子かぁ」「問題無いのぉ」「ありだな」
「それじゃ〜2人も29歳の人間の姿になってね?」
「「承知いたしました!」」
「真乃黒点」 1970年7月10日生まれ
[身 長] 190cm
[髪 色] 黒髪
[眼 色] 黒眼
[肌 色] やや褐色
オールバックに髪を結ったイケメン風のアラサー男子
流人の僕で黒の魔族。
「真乃紅丸」 1970年7月10日生まれ
[身 長] 190cm
[髪 色] 赤髪
[眼 色] 褐色眼
[肌 色] 褐色
コンローヘアでちょい悪風のアラサーおやじ
流人の僕で紅の魔族。
「この間のヤンキーに似ているよね?嫌みかな?」
「「恐れ多い事、不快なれば直ぐに変えまする。」」
「いや良いよ、かっこいいと思うもん」
「「ありがたき幸せ」」
「三賢者、これで登録お願いね。」
「承知した。」「明日には出来ておるだろう」「出来ているぞ」
お互いに姿は変わったが、流れるオーラから懐かしさを感じる、
黒天と紅丸の存在が、これ程大事だとは思っていなかった流人。
戯れる相手がいるだけで、
安心出来る者が側に居るだけで、心が落ち着く流人でした。