第六話 自重を知らない三賢者。
ある日、郵便物が届いた!分厚い封筒だ!
送り主は、証券会社からでした。
それも3社から、同じ厚さの封筒だった!
中身を確認すると数十枚の利用明細書が同封されていた!
一枚目には僕名義の口座番号などが記載してある紙で、
二枚目以降は全て、取引記録が記載された用紙だった!
それも用紙が数十枚も成っていた!
僕が寝ていた間に、これ程の取引を行っていたとは・・・。
そして驚愕したのが、資産額だ!
「なんですか?!この数字は??」
「金だ!」「そうだ利益だ!」「面白い様に増えるでな」
「増えるって!増え過ぎでしょう?」
「心配するな」「そうだ全て証券会社が代わりに行ってくれる」
「便利な世界だ」
売買手数料や利益に対しての税金など、
必要な手続きを証券会社が代行するので安心と言うが、
3社全てが似た様な履歴になっていた!
「これ!大丈夫ですか?」
「大丈夫だ!・・・。」「問題無い・・・。」「なんとかする。」
「なんとかするって大丈夫っじゃないって事でしょう?」
「それなのだが、頼みがある」「そうだ流人なら出来る」「頼む」
「嫌ですよ、汚れるでしょう?」
「汚れはせん、」「そうじゃ汚れは無い」「そうだ」
健全な企業を選んで口座を開設したから多少手数料は高いと言う、
そして、源泉徴収やその他サービスの厚い企業だから違法な事は一切無い。
然し、問題に成る、成りそうなのは納税額だと言う。
「自動なら心配ないでしょ?」
「心配は有るのじゃ」「そうだな」「確かにな!」
一般の社会人の年収は数百万から数千万で、
累進課税で各々定められた税を納めるのだが、
「この前、学習したから分かりますよその位はね。」
「問題なのはこの後じゃ」「そうだな」「そうだこの後じゃ!」
この国の国民全てが納める税より流人が納める税の方が多いって事だ!
「調べに来ますよね普通?」
「普通なら調べるだろうな。」「普通でなくても調べるな」「異常だしな」
「調べられたら色々困りますよね?」
「心配するな、騒ぎになるだけだ」「そうだな騒動になるだけだ」
「流人が世間の注目を浴びるだけだな」
「嫌!ですよ!」
「分かっておる」「「そうだ我等が流人の嫌がる事をする筈なかろう。」」
「そこでじゃ!継続魔法を使って欲しい」「それで解決だな」「大丈夫だ」
「違法では無いのですか?」
「違法では無い」「そうじゃ見よ、手数料や税が納めてあろう」「そうじゃ」
「確かに」
「証券会社も手数料が入り潤っておる。」「国も税が増えて安泰じゃな」
「前例が無いから騒動になるが、誰にも害はないぞ。」
「確かにそうですが、継続魔法を続ける事は反対です。」
「そうだな、」「今回限りだ!」「最初で最後にしよう!」
「仕方ないですね、・・・で何時魔法を掛ければ良いのですか?」
「2月だ!」「確定申告が有る期間じゃ!」「その間だけ頼む!」
「半年後ですね、分かりました。」
半年後、確定申告を済ませる流人、
受付の税務署職員から周囲の担当者全てに魔法を掛けた。
「継続魔法・能力上昇」 :上位魔法、
掛けられた者達の能力が一定期間上昇する魔法。
術者の能力、熟練度によって効果、期間は変わる。
職員達は疑問に思うも、与えられた職務を遂行する事に集中し
違法性の無い今回の件を迅速に対応し了承した・・・が!
この後の政府関係者や大臣達には魔法を掛けていなかったので大問題に成る!
野党やマスコミに指摘されるのを恐れて政府は隠蔽して秘匿した。
そんな大騒動になる事を、この時の流人達は知る由もなかった。
「其れにしても、こんなにお金を集めて如何するんですか?」
「流人の好きに使うが良い」「其方の金だ!」「好きに使え!」
「ありがとう。」
なんとなぁ〜く良い雰囲気になったところで、
「よし、それじゃもっと稼ぐのだ」「そうだな今以上に取引を増やすのだ」
「流人の為だ頑張るぞ!」
「ちょっと!、なんで私の為に成ったんですか?」
「流人が沢山使える様にだ!」「そうだ、金を売らんでも済む為だ!」
「安心せぇ〜、儂らが稼ぎまくってやるでなぁ」
「反省してませんよね?」
「反省はした。」「そうだしたぞ」「二度とせん」
「今しようとしてますよね?」
「これは別じゃ!」「そうだ!」「今稼いでも治める期日は同じだかなら」
「そうだ同じなら稼いでしまえ!」「そうだ折角魔法で解決するんだからなぁ」
「・・・、仕方ないですね、今回だけですよ、
それとこれ以上騒ぎが増えない様にして下さいね?」
「分かっておる。」「おぉ!許しを得たぞ!」「稼ぎまくれ!」
大事有れば、救いの手として使えば良い、
既に限度を越えているのだから、多少は増えても許容範囲でしょう。
この時の甘い考えを、半年後に後悔する流人でした。