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第五十二話 後れ馳せながらのサンタクロース

 師走の26日、


 元々異教徒の流人、クリスマスに然程興味もないのだが、

世間では、24〜25日をイブとクリスマスとし、

家族やカップルで祝う日だと聞いた流人。


 家族やカップルと祝えなかった寂しい者達との間に、

遅れて来たサンタクロースの日としてパーティーを26日に開催していた。


 ドレスコードは、サンタクロース!

単純なコスプレでもあったのだが、予想外な事が!

たった2日過ぎただけで、世間ではクリスマスの面影が全く無くなっていたのだ!


 「うむ、困りましたね。」

「会場のホテルでお着替えになっては如何でしょうか?」

 「なるほど、部屋で着替えれば良いか。」


 大きめのベンチコートを着て車でパーティー会場のホテルへ向かう

 「ごめんね、みなさん年末休暇に入っているのに」

「残念ながら、畜産関連の職員は無休ですので、我々も休めません。」

 「紅丸も休んでないの?」

「紅丸は、畜産関連の視察と激励に向かっているはずにございます。」

 「黒天は?」

「我は、流人様のお側に仕えておりますので。」

 「黒天も寂しいね。」

「我は流人様のお側い居るだけで幸せにございます。」

 「ありがとう。」


 フロントで手続きを済ませて部屋へ向かい中へ!

 「早くない?」

「あ! おはよう流人。」

「おはようございます、流人さん。」

 「おはよう恭子、流人で良いからね、」

「はい。」

 「それと、なんで友里がおるん?」

「え! 居るに決まってるじゃん!楽しいそうだもん。」


 勝手な思い込みで遅れて来ると思っていた友里が居てびっくり!

冷静に考えたら楽しい事に関しては積極的な性格だった事を思い出す。

 

 「着替えたいんだけど部屋空いているかな?」

「メインベットルームは、もえちゃんと京ちゃんが使ってるよ。」

 「じゃぁ、バスルームで着替えるかぁ」

「流人! バスルームはありささん達がメイク中です。」

 「ひょっとして、全員来てるの?」

「「当然です。」」

 「マジかぁ〜! まだ15時だぞ?」

「「もぉ〜、15時ですよ」」

 パーティーの開始は17時と話していたが、こんなに早く来るとは・・・。


 彼女達の着替えが終わるまで待ってから、ゆっくりと着替え終わる流人!

「「え!」」

「「「ずるいぃ〜」」」

「似合ってます(笑)」

 「なにがずるい?」


 サンタの衣装を参考に作った甚平にクレームを言い出す!

「可愛過ぎる!=ずるい!」

「欲しい=ずるい!」

「私が着たい=ずるい!」

 「なるほど、甚平スタイルは問題ないんだな?」

「問題ない! 可愛い 何処のブランド?」

「見た事ない 欲しい 」

 「自社ブランド? 売り物ではない」

「「「欲しい=ずるいぃ〜」」」


 真っ赤の生地に白の縁取りをした少し厚めの甚平、

背中にサンタクロースの顔が大きく刺繍されMerry Xmasと刺繍してあった。


 「出来栄えは気に入っているけど、商品化は無理だろう。」

「どうして?」

「可愛いから売れるよぉ」

 「値段の折り合いがつかないよ、木綿生地に天然染料を重ね染して、

 背中の刺繍は手縫いだし。」

「・・・ちょっと高そうだね。」

「・・・そうだね。」

 「俺のコンセプトは自分を裏切らないだからね。」

 自分で使いたい物、着たい物、欲しい物を作る、

そこに一切の妥協はしない、自分の要求に嘘をつかない事を概念している。


 「海外に委託すれば安価になるけど、それは求めている物じゃないからね」

「あのタオルのコンセプトも同じなの?」

 「タオル? あぁ一畳タオルね、そうだよ。」

 吸水性と肌との摩擦を考え求め、

大きさは全身を包み込める大きさから一畳になった事を説い、

 「洗濯機に入るでしょう?」

「大きいからタオルだけで一回する感じだよね。」

「そうだよね。」

「でも丈夫だよね?」

「そうそう、殆ど毎日使っているけど全然保ってるよね?」

 「そりゃ〜・・・。」

 軽い劣化防止の魔法を掛けてあると言いそうになった流人、

少し慌てていた。


「化粧水も凄いよね?」

「あれは魔法の薬でしょう?」

 「魔法! なんで?」

「だって、料理中に火傷した手に塗ったら傷がなくなったもん」

 「へぇ〜、友里でも料理するんだ(笑)」

「ひどぉ〜い、そっち?」

 「まぁ、あれは限りなく医薬品に近いからね、

 ただ医薬品として認可は受けていないから薬じゃないよ。」

「あれは販売するんだよね?」

「え!そうなの欲しい。」

「買う。」

 「販売・・・って言うかエステで使う業務用だよね、

 ただ、濃度を薄めた化粧水は、群◯で売り出す予定だよ。」

「群◯で!」

「なんで群◯なの?」

 「工場と販路の条件がいいから」

 越◯山脈から空っ風が吹き乾燥する群◯県内は、

全国でも有数の化粧水消費量県民なので、販路として優秀だと考えていた。


「そんなの東京で売ればいいじゃん」

「そうだよ、私達が宣伝するから」

 「それは嬉しいけど、どんな商品でも非適合者がいるんだよ、」


 肌が敏感な人やアレルギーがある人などにとっては商品が合わない事がある。

なので、自分で納得して購入して欲しい、

誰かの宣伝や、流されて購入は避けたいので、今回は協力を否定する。


 「言っておくけど、全員に販売するつもりはないよ、

 我が社が認めたお客様だけに販売するんだからね。」

「どう言う事?」

「え!」

「買えないの?」


 街中でリサーチを掛けて、お礼状としてサンプルと招待状を配る。

サンプルを気に入って頂いたお客様には、

工場へ来て頂き商品を見て試して頂き購入してもらう。


 なので、一般の入場は行わないし、

リサーチは美に関心がある人を選ぶのでオープンではない。


「そんなんで来るかな?」

 「来なくてもいいんだよ、最初はね。」

「商売にならないんじゃないの?」

 「赤字でもいいんだ、僕が使うからね。」

「流人個人の為のお店なの?」

 「お店って言うより会社全てがそうだよ」

「「「「え!」」」」

 

 「化粧品も衣料品も家具や調度品も、僕が必要な物をこれから作って行く、

 その為の会社であってブランドなんだよ」


 流人の言葉に全員がドン引きしていた!

「石油王だよ! もえちゃん」

「それに近いね(笑)」

「でも、そう言う商品、私も欲しいなぁ」

「そうだね、安心出来るからね」

 「その為に作るからね色々と、

 いい物を周囲の人達にも御裾分けする感じだね(笑)」


 会話を交えながらいつの間にか始まっていたクリスマスパーティー、

全員で改めてコールをする。

 「未成年はお酒は駄目だぞぉって忠告したからね?」

「はぁい」

「ジュース、いただいています。」

 「真面目やなぁ(笑)」

「流人! 早くぅ!」

 「ほい、 それじゃぁ、遅れ馳せながら!メリークリスマス!!」

「「「「「メリークリスマス!」」」」」

 

  ホテルからオーダーした料理の他にも、各自持ち込みで料理を持参したり、

 お気に入りのお店から買って持ち込んだり、予定より多くの料理が並んでいた!


 「美味しそうだな、この唐揚げ!」

「私の手作りです。」

 「流石! もえちゃん。」

「ちょっとぉ そう言うのは最初に言ってよねぇ、私も作って来るから」

 「いやいや、観ちゃんに求めてないから、大丈夫だよ(笑)」

「そうそう、私達に料理は求めちゃ駄目だからね(大笑)」

 「いやいや、和っこさんは少しはしましょうね(笑)」

「えぇ〜! それは差別よぉ(大笑)」


 大きな笑い声を発した後に和っこさんが急に、

「あのさぁ〜 悪いんだけど、お酒に集中したいから、

さっさとプレゼント渡しちゃわない?」

「いいね」

 「プレゼントかぁ・・・って!俺だけ?」

「決まってるじゃな、手作りマフラーだよねみんな」

「「「はい」」」

「「「編んできました。」」」

 「えぇ〜! 2〜3本でよくない?」

「何言ってるの、ちゃんと受け取りなさいよね!(大笑)」


 全員からマフラーを受け取る流人、何故か顔が赤くなっていた。

 「!友里も編んだの?」

「編んだよぉ〜、優ちゃんに教わってね♪」

 「彼氏にあげたよね?」

「あげる訳ないじゃん!」

 「なんで?嬉しいと思うよ」

「こんな手作りのマフラーなんかあげたら勘違いするでしょう。」

 「いやいや、彼氏だよね?」

「そうだよぉ、だけどぉ、尽くすタイプと思われたくない!」

 「よく分からんわぁ、友里の思考回路、・・・ありがとう。」


 編み慣れているのか、優の編んだマフラーが一番落ち着いていた。


 「お返しって訳じゃないんだけど、

 みんなにクリスマスプレゼントを用意してある。」


「やったぁ〜なんだろう?」

 タイミングを計って入り口を開けると、黒天達が並んで入って来る、

大きな袋に入ったプレゼントを人数分置いて去って行く。


 「公平に、どれも中身は同じです、お好きな物を受け取り下さい。」


「なに?硬いよぉ?」

「ケース?」

「スーツケースじゃない?」

「重くない?」


 全員が選んだところで中身を開けさせると!

「やっぱりスーツケースだぁ〜!」

「でも可愛くない♪」

「なにこのゴリラの絵?」

「ベ◯プ?」

 リアルにデフォルトされたシルバーバックのゴリラのデザイン

 「うちのオリジナルキャラクターだからそれ!」

「このゴリラが?」

「可愛くないよぉ流人!!」

 「可愛さは求めていない、安心感の象徴としてだから」

 

 群れを守るボスゴリラ、背中が白毛で覆われシルバーバックと呼ばれる。


「そう言われると、ちょっとカッコいいかも?」

「イケメンかな(笑)」


 スーツケースに中には、市販用の300mlの化粧水と乳液、

50g入りの保湿用美容液と20g入りのエイジングケア用美容液、

そしてハンドタオルとフェイスタオルそしてバスタオルと一畳タオルが、

ケースの中に綺麗に入っていた。


「欲しかったぁ、小さいサイズのタオル♪」

「化粧水も大きいね♪」

 「それは市販用だから普段使う化粧水と同じ感覚で使って大丈夫だからね。」

「市販って事はいくらなの?」

「ちょっと気になるね」

 「化粧水が一本¥2,000で乳液が¥3,000かな」

「思ったより安いね」

「これだったら手頃で使えるよね」

 「試しに使って、よかったら贔屓にしてください。」


「来年からは、みんなでプレゼント交換したいね♪」

「でも流人のが人気になりそうだよ」

「確かに」

「じゃぁ〜流人は全員分ね」

 「構わないよ。」

「そこは否定しないとね(笑)」 

 「なるほど、 でも、感想を聴きたいし、生の声は必要だからね。」


 利用者の生の意見や感想が聞きたい、

信頼出来る相手からの素直な情報が欲しいと流人が熱く語ると

機嫌が悪くなった友里であった。



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