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第五十一話 献上品と取り寄せ品

「◯◯は、夕の膳を控えてお待ちになられております。」


 侍従の言葉は重く、少し冷たく感じたが仕方ない、

こんな時間に訪問する方が、おかしいのだから。


 「すみません、まさか当日に受け取りになられるとは、

 思ってもみませんでしたので。」

「私どもの初めてです、貴方様から連絡が来るから善処する様にと、

◯◯様自ら申し出られたのは。」


 「度々無い事はお約束致します。」

「そう願います。」


 初めて謁見した場所とは違い、一般的なリビングの様な場所に導かれた!


 「此処は?」

「◯◯様の私用部屋に御座います。」


 テーブルやソファーが設置してあるが、

勧められなかったので立ったまま待機する。


「◯◯様、◯◯様御入場に御座います。」

 「◯◯様!」

「奥方様じゃ!」「◯◯様の奥方◯◯様じゃ!」「美◯子様じゃ!」

 「皆さんよくご存知ですね?」

「当たり前だ!」「この国の国民なら皆知っておる」「特に美◯子様はな!」


 如何していいか分からない流人、

取り敢えず礼をしたまま待機した。


「急がせた様で申し訳ありません、流人君。」

 「この様な時間までお待たせした事をお詫びいたします。」

「構いません、美◯子に話したら喜んで頂けたのでね、

私としては出来る事をしたかったのですよ。」


 妻を思う夫として、言葉に出来ない思いが伝わって来た。


「流人さんですね、美◯子と申します宜しくね。」

 「こちらこそ、末長くよろしくお願いします。」


 何故か、二方様がお笑いになっていた。

 「失礼しました。」

「いえ、昔の出来事を思い出していただけです、気にしないで下さいね。」

 「はい。」


 美◯子様のお言葉に、◯◯様のお顔が少しだけ赤くなっていた。


「流人君、風が貴方に救って頂けると聞きましたが?」

 「はい、桑の畑が汚れているそうで、清めの水を持参致しました。」

「清めの水ですか?」

 「はい、山神様達が集う神聖な場所に流れる湧き水で、

 清める力を宿しておりますのでお試し下さい。」

「山神様の湧き水ですか!」


 流人は懐から化粧瓶を3本、テーブルの上に置く。

 「桑の畑がどの様な状態か分かりませんが、

 木霊達の意見では十分な効果があると申しておりましたので御安心下さい。」


「随分、綺麗な瓶ですね?」

 「それは、私共が開発中の化粧水を入れる為に拵えた切子に御座います。」

「瓶も頂いて宜しいのでしょうか?」

 「勿論、お使い頂けたら幸いに御座います。」

「桑畑は、美◯子が丹精込めて育てていますので、私も心を痛めておりました。」

 「春には必ず、良き葉が芽吹く事に御座いましょう。」

「流人さん、ありがとう。」

 

 小さな小瓶を持ち退出して行ったあと、

宮内庁の職員に湧き水の場所を聞かれたが、秘匿した。




 邸宅を出て邉さん達の待機している駐車場まで戻り、

車を見つけて一安心した流人。


 「ふ〜、終わったかな?緊張したぁ」

「おぉ〜い、要は済んだのか?」

 「はい、無事にお渡しできました、ありがとうございます。」

「それじゃ帰るだけか?」

 「ついでに、有楽町の量販店までお願いします。」

「量販店?」

 「予約した商品が届いているんです。」

「承知した。」

「先輩!時間!」

「!おい急ぐぞ!」

 「え!先導は無いのですか?」

「当たり前だろ! 私用で国が動くか!」


 「間に合いますかね?」

「1時間あるから普通なら間に合うが・・・。」

「先輩、この時間帯だとはっきり言って読めませんね?」

「あぁ、電車の方が早いかもな。」

 「それなら電車で行きましょうか?」

「心配するな、そこらのタクシー運ちゃんより熟知してるからな」

「そうですよ流人君、我々の庭ですから此処は、」

  

 細い道に入り進んで行く!

 「なるほど、狭い道を走る為に車も狭いのですね?(笑)」

「車? 一応普通車だぞ?」

 「もう少し大きい車をお願いしたいですね?」

「公用車はこのサイズなんだよ!」

 「公用車じゃなければいいんですよね?」

「そりゃ・・・そうだが?」

 「こちらで車用意しますので、これからは其方をお使い下さいませんか?」

「まぁ〜使えって言うなら使うけどよぉ・・・車種はなんだ?」

 「邉さん達の好みでご用意しますので、何がいいですか?」

「何って・・・何がいいんだ陣内?」

「先輩!(ぼく)に聞かないで下さいよ。」

「だってよぉ・・・」

 「運転し易く、安全性があって多少広い車だったらなんでも構いません。」


「運転し易いなら国産だよな、安全性って言ったらベ◯ツか?」

「先輩、其処も国産で通しましょうよ?」

「だってよう、金持ちは全員ベ◯ツだろ?」

「偏見ですよ、それ?」

「そうかぁ? アラブの石油王だってベ◯ツだろう?」

「先輩ひょっとしてベ◯ツに乗ってみたいだけ?」

「ば!馬鹿ちげぇ〜よぉ! 流人が安全性って言うからよ」


 細い路地を抜けたら一気に見覚えのある場所へ出る!

 「え!もう有楽◯駅?」

「当たり前だ! 俺様の脳ナビは完璧だからな(笑)」


 量販店の前に到着!

「陣内!流人に付いてろ、車止めて来る。」

「はい!先輩。」

 「家も近いですから大丈夫ですよ。」

「最後まで油断しない、後悔したくないからな。」

「そう言う事です流人君。」

 陣さんと一緒に店内に入って6階へ向かう。


 6階に到着早々見覚えのある係員が!

 「大根さん!」

「?」

 「1週間程前にスーツケースの取り寄せをお願いした異界です。」

「あぁ。」

 「昨日の予定でしたが事情があって来れなかったのですが、

 取り寄せた商品まだありますか?」

「少々お待ち下さい、確認しますので。」


 1週間程前にスーツケース20個を注文した担当者、

まさか3日も宴をしていると思わなかったので受取日を過ぎてしまっていた。


「異界様、ご注文の商品届いて居ります、お受け取りなさいますか?」

 「はい、持ち帰りますのでお願いします。」

「少々お待ち下さい。」

 お会計の為にレジの方で待っていると台車に大きな段ボール箱が!


「どうしましょうか? 全部確認しましょうか?」

 店員の言葉に、流人は鑑定魔法を使い異常がないか確認する

 

 「綺麗に梱包されているので大丈夫です。」

「そうですか、それではこのままお渡しいたしますね。」

 段ボール箱は5つ計20個のスーツケースを購入し支払いを済ませる


 「カードでお願いします、1回で。」

「はい、ポイントは?」

 「そのまま貯めておいてください。」

「承知致しました。 消費税込みで¥289,800です、ご確認下さい。」

 「はい確かに。」

「有難うございました。」


 流人が買った商品を男達数人が運び出そうとした時、

「おい!」

 「邉さん、その人達うちの社員です。」

「なんだそうなのか?」

 「はい、群◯の工場に運んで!」

「承知致しました。」

 

 男達が段ボール箱を担いで去って行く。

「流人、群◯に持って行くのか?」

 「はい、ペイントを塗り直してオリジナルのスーツケースにします。」

「それにしてもよ、20個は多過ぎねぇ〜か?」

 「クリスマスプレゼント用ですから私のじゃないですよ。」

「そうか、クリスマスのプレゼントにスーツケースか?」

 「変でしょうか?」

「いやぁ・・・俺には分からない。」

 「邉さん達の部署にも、カップ麺をプレゼントしておきましたよ」

「本当か♪ 去年貰ってな、みんな喜んでたんだぁ、

そうか、今年も届くのかぁ♪」

 「本当にカップ麺でいいのでしょうか?」

「いいに決まってるだろ、徹夜組は皆、大喜びだったぞ」

 「喜んで頂ければ良いんですけどね。」


 車で自宅まで送って頂いた流人、

 「邉さん、明日は群◯県の工場へ行きますので宜しくね。」

「おぉ、了解した。それじゃぁお疲れさん。」

「流人君また明日ね」

 「邉さん、陣さん、お疲れ様でした。」


 車を見送る流人、

 「大きい車が欲しいね。」

「バスと言う訳にはいかんぞ!」「細道に入れんしな」「少し調べるか?」

 「お願いしますね。」

「「「まかされよ!」」」



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