第四百二話 送り主
申し訳ございません、
今回かなり長い投稿となりました。
差出人不明のプレゼントを受け取った流人、
差出人が誰なのか?気になる・・・
「だって〜、 途中で返せってか言われたら困るでしょう?」
「「・・・」」
黒天と紅丸が呆れ返る
意図や罠を警戒せず、貰った天が心配と言う流人。
「この可愛さは全てを癒しますよ♪♪」
「はぁ・・・」
「それでしたら、探してみては?」
紅丸が探索を勧めるが手紙や天から送り主が察知出来ない!
「多分・・・人ではないでしょうね。」
「妖狐など人が飼える相手ではない」
「恐らくは・・・」
「神だろうのぉ」
三賢者の推測に納得する流人だけどこの世界、
土地神や山神、付喪神など神々が多過ぎて誰だか判断できない。
山爺や桜爺なら直に下げ渡して来るだろうし、
文の言葉からかなり上目線だと伝わって来ていた。
創造神様に関わりがあるので創造神様に問うことが叶えば分かるが、
流石にこの世界のトップの神に易々と会ったり問うたりは出来ない・・・
すると目の前に手紙が現れる!
「!!」
中を確認すると・・・
「日本酒2本で、かまわぬぞ♪」
「創造神様?」
「「なんと!」」
「そう言えば、最近創造神様を・・・忘れてましたね(汗)」
山爺達と同様に創造神様にも供物を捧げていたが、
最近は山爺達が勝手に庭まで強請りに来るので創造神様への供物を忘れていた。
慌てて、酒と肴を用意して供物として捧げる流人、
「お世話になっておりますのに大変申し訳ございませんでした。」
深く詫びをし供物を捧げると供物が消えなくなる!
無くなった供物の代わりに供物台に手紙が置いてある!
「気にせんでよい♪」と書かれてその後に天についての説明が・・・
古来神獣として育てられた天、
無邪気にすくすくと育ったが我がままな邪心を抱き地上に堕とされた。
地上に堕ちた天は欲するまま地上を荒らし、人々の災いと恐れられ、
見かねた大天狗が天を封印し閉じ込めた。
封印された天は世の流れを見つめながら己の過ちを悟り、
大天狗の下で地鎮に協力していたはず・・・。
と書かれていた。
「大天狗?」
「その様なモノもおりますのでしょうか?」
「妖狐がおるなら天狗もおりましょう。」
黒天と紅丸が天狗の存在を気にしていると強い霊気が飛び込んで来た!
「山爺?」
「よろ? 流人?」
山爺の意思ではなく誰かに飛ばされて来た様子で、
流人達を見つけてびっくりしていた!
酒を出し事情を説明する流人・・・
「そりゃぁ〜高尾山の山神の事じゃろう・・・」
「高尾山の山神・・・」
代理としての流人を認めず、宴に参加していない山神、
畜産場などがある八◯子付近を鎮座する山神でもあった。
「あやつが人里に降りる時、姿を天狗に変えていた事から、
この一帯の天狗伝説の源となっておる。」
「人嫌いと思っていましたが・・・人里に降りてもいたんですね。」
「うむ、 事情は知らぬが最近は姿を現さん様だな」
人を避ける様になった・・・それだけで何となく流人は理解出来た、
都合の良い時は神と崇め、不用の時は魔物や妖魔と忌嫌う、
山神も例外では無かったのだろうと流人は感じた。
「しかし・・・どうして急に?」
「なんじゃ?」
天を見せて山爺に相談する・・・
「結界ではないか?」
「結界?」
最近は地熱調査や資源調査と大義を振りかざし、
人々が地脈を傷つけ流れを乱している、
そんな衝動を嫌う山神が、
汚れを受ける前に天を流人に天を渡したのではないかと山爺が説く。
山神なら多少の汚れにも耐性と免疫を持っている、
長き人の世を見詰めていれば自然と醜いモノも見え経験となって耐性がつくが、
情の沸いた天にそれをさせまいと過保護に対処したのではないかと・・・
「面倒じゃな! 一度おうてみてはどうかのぉ?」
「人が会えるんですか?」
「(笑) 流人代理であろう(笑)」
「そうですけど・・・」
山爺が光の玉に変わり飛ぶ!
「「流人様!」」
「二人は待っていてください!」
「「御意」」
流人も急いで後を追う!
飛翔と迷彩・認識阻害を重ね掛けして山爺の後を追う!
「久しぶりの飛行は気持ちいいですね♪♪」
「みなが飛行機を嫌う気持ちもわかるのぉ」
「開放感が違うからのぉ(笑)」
「魔法は使ってなんぼじゃからなぁ(笑)」
「なんぼって、売りませんよ(笑)」
八王子方面へ飛んで行くと急に山爺が急停止!
「高尾の奴め・・・」
「わぁ! 山爺! 急に止まらないで!」
ぱ〜ん!
高尾山の山神が張った結界を流人が破壊してしまった!
「なにか・・・破りましたね(汗)」
「結界じゃ! 心配いらん 行くぞ!」
「はい・・・」
山頂を越え奥の山林の中へ入って行く山爺、
「おるのであろう高尾のぉ〜よ?」
「儂の山だぁ! おるに決まっておろう!」
「おぉ、 久しいの高尾のぉ(笑)」
「なにが久しいじゃ! 儂の結界を壊しおって!」
「(笑)」
「すみません、壊したの私です。」
「・・・そなた、 誠に人間か?」
「一応・・・人間です。」
「・・・」
プレゼントの感謝を伝えると共に、
何度も何度も返さなくて良いことを何度も何度も確認する流人に
呆れる山爺と諄いと不快にキレれる高尾の山神だった。
「あんな可愛いんですよ♪♪ 頂いたんですから返しませんよ♪♪」
「気に入ったのならそれでよい。」
「それじゃぁ〜♪♪」
流人がお返しとして酒と肴を差し出す!
「これ!流人! 儂達より多いのではないか?」
「山爺はいつも飲んでいるでしょう(笑)」
「相変わらず箱根殿は酒好きよのぉ」
「うるさいわい! 高尾のだって飲むであろうが!」
「うむ・・・」
「創造神様も御所望の酒ですから、美味しいですよ♪♪」
「「なんと!!」」
「最近供物を忘れててね、
本当気がつかせていただきありがとうございます。」
「儂はなにもしておらんぞ!?」
「天を頂きました♪♪」
「・・・」
流人から嬉しい感情が強く伝わるのでこれ以上は何も言えない高尾の山神、
悪意は感じないし感謝と言うよろ嬉しさの感情表現が強過ぎるほど伝わり、
善意と理解出来る為対応に困っていた。
「箱根殿・・・此奴はいつもこの様なのか?」
「まぁ・・・(笑) 気にするな(大笑)」
「これを・・・創造神様が・・・」
「はい♪♪」
山神とて一度も面識がある訳でもない創造神様が、
何故この人間に興味を示すのか? 大主様といい、何故人間に興味を持つのか?
不思議でならなかった高尾の山神、
流人の単純な反応に懐かしさと心地よさを感じ悟る。
「あ! それと、畜産の方々への見守りありがとうございます。」
「見守りなど・・・山神の務めだ気に致すな!」
「そうでしょうかね・・・」
一体に住民の数は多く人の流れも賑わいも感じる、
それでも畜産ドーム周辺の木霊達に比べれば弱い気がした。
開発の手は入っていないが、人の決めた計画内の話で、
地脈や風の流れなどは荒らされ見た目美しい木々達も何十年保つ事やらと思う。
まるで動物園の檻の中、
人間が勝手に決めた空間を与え主の意思や環境を考慮していない、
いくら巨大な信仰と賑わいがあっても、地力が弱ければ限界がある。
流人が周りの木々にも酒や肴、甘味を配る!
「高尾の木霊達よ!
これからも仲良くしておくれ!
力を貸しておくれ!」
「・・・」
木霊達の霊圧が高尾の山神に集まって行くのが感じ取れる。
「供物を貰って挨拶も出来ぬとは、情けない木霊よなぁ」
「いいのか?」
「山神様・・・いいのか?」
「代理様・・・だけど人だぞ・・・山神様傷つけた人だぞ・・・」
木霊がこれほど嫌うのだから、人が何をしたのか大凡の想像は出来る、
だがそれを受け入れいる山神に対して流人はなにも言わなかった。
小さな光が大きくなって人の・・・天狗?が現れた!
「此奴らの粗末、代わりに詫びようすまない。」
「・・・子供?」
「な! 誰が童じゃ!」
流人の前に現れた天狗、
姿が1m程の・・・小天狗の姿に思わず流人が口走ってしまった。
「これでも貴様より・・・そなた本当に人間か?」
「一応、人間です。」
流人の年齢を見極めようと流人の内面を覗こうとした山神、
人とは思えぬ長き時の流れを感じて自身の過ごした年月の短さに動揺した。
「流人、高尾はのぉ・・・」
山爺から高尾山の誕生から山神となるまでの過程を説かれ、
見た目より威厳ある山神と説明を受けた。
地脈から少し外れている為噴火などは起こらない、
人々が安心して暮らせる場所として山頂付近まで人々に侵されているが、
人々の信仰と賑わいでの力が源となっている。
地脈からの力が望めない場所なので人々に頼るしかないが、
その人からの理不尽な行為に・・・耐えている山神が哀れに見えた。
「この場所・・・いいですね♪」
「どうしたのじゃ!急に?」
地脈から離れていて、山神を奉り人々の侵入が少なく制限されている、
地盤が硬く地揺れにも強いし木霊達もいる、
流人が求めているある場所に適した場所と気付いた途端、
流人が山林を詳しく見極め始めていた。
「箱根殿・・・」
「すまん、こうなると流人は止まらんのじゃ(汗)」
・・・
「なんじゃと! もののけの洞穴じゃと!」
「ダンジョンです♪」
「「ダンジョン?」」
「はい♪♪」
ダンジョンを設置する事で、地脈の代わりにエレルギー源とすれば、
人とは距離を置けるし不快な人はダンジョンの中へ送り込めばいいと説く。
「天狗の住み山ですから、もののけが居ても不思議ではないでしょう?」
「里の者達が危険であろう?」
「氾濫さえ注意していれば外へは出てこれませんからご安心ください。」
「氾濫?」
定期的に魔物を駆除しないと数が増えダンジョン外へと魔物達が溢れ出るので、
流人達や山神様達が間引く必要があると伝える。
「何故じゃ! 何故態々その様な事をせねばならぬ?」
「暇でしょう?」
「・・・」
ダンジョン内の魔物は下層へ行けば行く程強くなるが、
基本階層を越えて魔物が出て来る事はない。
「地下1階は比較的弱い魔物なので暇つぶしにいいですよ♪♪」
「暇つぶしと申しても、魔物も生き物であろう?」
「まぁ〜・・・」
ダンジョンそのものが生き物で、
そのダンジョンが成長する為に寄せ餌として魔物が湧き出す。
「便利じゃのぉ」
「ダンジョンは訪れる冒険者を糧としますから、
魅力的な寄せ餌を湧き出す事で冒険者を集めるんです。」
「だが罠なのであろう? 危険ではないか?」
「危険ですが、魔物から貴重なアイテムが落ちるんですよ♪」
自然かの動物と違い、
ダンジョン内では魔物を討伐すると魔物が消えてアイテムを落とす、
落としたアイテムは多種多彩でごみ同然の様なアイテムから国宝と称される物まで
魔物の強さやダンジョンの大きさでアイテムも変わって来る。
「人が来ねばダンジョンは死滅するのであろう?」
「来なければね・・・でも、不快の人や獣達はどうでしょう?」
「どうでしょうと言っても・・・」
天狗の神隠しと言う言い伝えや迷信があるこの一帯、
不快な人間を駆除しても誰も気にしないだろうと流人が冷たく説く。
「儂に攫えと申すのか?」
「どうしても、直接下したいのでしたらお好きにどうぞ、
ただ、ここにいる木霊達が誘い出せば・・・十分でしょう(笑)」
「迷惑者を糧としてアイテムを求めるのか?」
「それほど多くの糧は来ないと思いますので、数百年は放置したいですね」
新しいダンジョンが成熟するまで気長に待ちたいと流人が説明し更に、
成熟したダンジョンからは力が漲り発する様になるので、
その力が高尾の源として山神に力を与えると言う。
「なるほど・・・」
「山神様がダンジョンの糧にならないでくださいね?(笑)」
「「・・・」」
「♪♪」
下位層へ進めば強い魔物が現れる、
その強さはこの世界の動物とは比較にならない程強力で強い、
力試しやお遊びで不用意に立ち入る事は危険と流人が説明した。
「其方が居た異世界の魔物か?」
「ちょっと・・・興味があるのぉ」
「山爺、 糧にならないでください。」
「箱根殿でも・・・無理なのか?」
「なんじゃとぉ! 儂はこう見えても大主様の次力が・・・」
ダンジョン攻略の基本事項として、
チームを組んで慎重に攻略する事が最善と流人が説明すると、
山神達でチームを組チャレンジしたいと山爺が高尾の山神に提案し、
押し流される様に高尾の森林深くに結界が築かれ、
ダンジョンを創る事になった・・・
「これでこの一帯の汚れも纏めて掃除出来るといいですね♪♪」




