第三百八十三話 協力したい。
如月に入り、RN初の時代劇ドラマの制作行われる、
その前に制作発表を何故かしないといけない事になっていた。
主演の天はエリカで将軍家御用達の豪商大和屋の孫娘、
その他に、
火消組総括頭に辰五郎役に北大地三郎、
大和屋の御隠居伝右衛門に柄木明、
飯屋店主、元義賊の頭に東村けん、
その他にベイビーモスのメンバーや、societyのメンバーなどが
大勢参加している。
無名の監督に無名の脚本家、制作スタッフはある程度実績もあったが
ほとんど素人の寄せ集め集団、
もしくはsocietyの仲良し学園祭と揶揄さえていた。
「不快ですね(怒)」
記者会見に流人は出席しなかった、
揶揄される目的で会見を開いたのだから、そこで問題を起こされても困ると
流人はスケジュールの都合で欠席となって自宅で会見を見ていた。
今回の時代劇第一弾の他にも、的屋の主人公が活躍する物語で、
的屋の家業を継いだ娘が全国を周り、
祭りや縁日を私物化する寺の悪行を成敗する物語も何話か台本が進められていた。
プロジェクトRが全面支援、協賛企業も多数、
大規模プロジェクトに関わる事が出来ずにやっかむマスコミや評論家
役者の中にも批判的な意見を述べる者も居た。
「ウチって想像以上嫌われているんですね(笑)」
「少しでも注目を浴びたいのだろう」
「無能故、批判しか出来ぬのは政治家と同じじゃ」
「気にする必要もないぞ(笑)」
確かに監督も脚本家も素人ですが、実戦経験の豊富な北大地と
演出なども手掛けていた経験がある柄木が、
アドバイスを出して僕達の動きを向上させているので
当初より見応えのある作品になっている。
不快に思いながらも見ている流人にキットから知らせが入る!
「流人!」
「そうしましたか?」
「ゲームの話を聞きつけた者達が居てね、協力したいって申し出て来たんだ♪」
「協力って言っても、PCのスペックが足りないでしょう?」
「心配ないよ♪ 流人も知っている人だから♪」
「私も知っている?」
超高スペックのPCと超高速通信回線が必要な為、
テストユーザーが望めないのでゲーム内で問題が生じている開発中のゲーム、
そのテストユーザーに協力すると申し出て来た人達がいるとキットが説く。
「キットが薦めるんですから人選に問題は無いのでしょうけど・・・」
「全然問題ないよ♪」
希空達からこのゲームの推奨スペックが異常な程高スペックと聞いていた流人、
心配ないと言うキットに戸惑っていたが答えは簡単だった。
「え! Knight Brothers !! あの二人?(汗)」
「はい♪ 他にもRed Rockも申し込みがございました。」
「レッドロックってあの?」
「はい♪ 豪傑女帝です。」
「♪♪」
対極神様の気まぐれで行われたゲーム大会、
100名近いメンバーが参加していたそうだが、
殆どは国家の情報機関や国防機関に所属してチームで協力していた、
その中で個人参加は希少で、
わずか5名?流人を合わせても6組しか居なかった。
ゲーム初心者で場違いな流人に見兼ねて手を差し伸べたナイトブラザーズ、
兄のナイトと弟のルークは米国の元天才ハッカーで、
CIAの監視対象に入ってはいるが、希空達とも交流があり面倒見の良い兄弟だ
オース◯◯リアのレッドロックは、気立てのいい現役ハッカーで、
国際手配されてもおかしくない程の注意人物、
ただ、彼女の逆鱗に触れて大惨事を起こされる事を恐れた政府が、
彼女と取引し、自由を保証する代わりに協力を求め合意、
国家のシークレットメンバーに入り保護を受けている。
そんな三名がゲームの協力を申し出て来た。
「どうして?」
「本人達に聞いてみれば?」
「出来るの?」
「簡単♪」
PC画面が変わりテレビ電話へ・・・!!
「なんだよキット! 今何時だと思っているんだ?」
「あ! ごめんなさい。」
「?? !! 流人? 流人か♪」
「はい♪ お久しぶりですねナイトさん(笑)」
「わぁ! おぃ!ルーク起きろ! 流人だ! わぁ〜お♪♪」
仮想空間だが、各国の情報機関などが凌ぎ合っている中、
無知の素人流人が紛れ込んで、プレイヤーの格好の標的となり
瞬殺、リスキルなど、流人は格好のいじめ対象になっていた。
普通なら折れてゲームを辞める筈だが流人は本当の無知だったので、
この待遇がこのゲーム内の常識と割り切って遊んでいた。
それを不快に思うプレイヤー達とその行為に不快を感じていた兄弟、
圧倒的なレベル差で、一方的に攻撃しているプレイヤー達から流人を庇って、
流人を護り、流人が優勝する要因にもなっていた。
「年末の生配信見たぞ!」
「俺も見てたぞ!」
「(笑)」
「楽しそうな事しているらしいじゃんか!」
「俺らも混ぜろよ!♪♪」
「♪♪(笑)」
セキュリティー上の安全と、CIAへの情報流出の心配をした流人、
希空達から特殊プログラムを受け取っており、
そのOSなら流出は心配無いとキットが説明した。
「レッドロックさんにもプログラムは渡しているの?」
「はい♪」
「なに! あの豪傑も参加するのか?」
「(笑) 兄貴は女帝苦手だもんなぁ(笑)」
「苦手じゃねぇ〜よ! 脳筋が苦手なんだよ!」
「「(笑)」」
「誰が脳筋だい!」
「わぁ!」
「「居たのかよ(汗)」」
1対1のテレビ電話は光回線を繋いでいれば可能だが、
流人達が使用している通信回線は複数と同時会話が可能な設計になっており
緊急時などは電話会談も行える。
「私も参加させてくれるんだろうね?」
「お久しぶりですレッドロックさん♪♪」
「本当にそんな顔だったんだね(笑)」
「(笑)」
オンラインゲームでは、身元が判明する様な事は極限避けるのが常識、
それを知らない流人は、本名?そして本当の姿で参加していたので、
余計目立つ存在でもあった。
ゲーム内の注意事項を説明して承諾を取り協力を要請し、
ゲーム内にプレイヤーのキャラが現れる!
騎士の格好のナイトと傭兵スタイルのルーク、
そして巨大な大剣を背負った赤髪の女傑が流人の前に立っている。
「なんだ、流人か?」
「随分おじいちゃんなんだな(笑)」
「年齢による補正は無かった筈だけどね?」
「「あぁ 無かった」」
キャラ設定で年齢を上げるとスキルや経験値が加算される様な
+設定が存在しなかったので出来るだけ若く設定するのがゲームあるあると言う。
「この格好が好きなんですよ♪♪」
「まぁ、いいんじゃないか、 今回はちゃんと姿を変えているんだからな(笑)」
「身バレに繫る行為は注意しねぇとな(笑)」
「そうだね、 よろしくお爺ちゃん(笑)」
マップ探索を行いながら、魔物を退治して部位を回収し売る、
空腹になると回復が低下し飢餓状態になると体力などの全てのゲージが低下
更に放置すると死亡する。
基本死んでも能力値などへのペナルティーはないが、所持金が半分に減る、
所持金が無くなるとリスポーン出来ず、近くの教会もしくは自宅まで移動され
ミッションなどは失敗になるのである程度の所持金は持参して置いた方がいい
基本メインの軌道線が存在しないので自由に遊べるゲームと流人が説明すると、
「やり込みゲーだね♪」
「おっしゃぁ♪ 俺の得意分野♪♪」
「魔法なんかもあるんだね?」
「ありますよ♪」
魔法取得には二つの方法があり、
精霊から属性を付与して頂き魔法を使う精霊魔法と、
自分の魔力を解き放つ事で魔法を使う闇属性魔法がある。
「闇と言っても精霊魔法と殆ど変わりません。」
正統の魔法を精霊魔法とするなら、
己の魔力だけに頼り放つ魔法を非正統(闇)として扱う処から
名前の由来が来ていると流人が説く。
「随分、確りとした設定だね・・・」
「細かいな・・・」
「まぁ〜いいじゃねぇか♪」
精霊に出会えなくても、街などに居る魔法使いに頼めば
有料で魔法を教えてくれるので自分の魔力次第で魔法も使える。
「「なるほど」」
「私は、こいつがあれば十分だよ♪」
レッドロックさんが嬉しそうに大剣を振り回していた♪♪
ナイトとルークは兄弟で仲良くゲームを始め、
レッドロックさんは独りで何処かに拠点を構え、
日常生活でバグが無いか?確かめて見ると言って移動していった。
初めての人間の参加に喜んでいた流人達、
プレイヤー人口が更に4名追加していた事には気がつかなかった・・・。




