第三百七十八話 保護団体? テロ集団でしょう
音楽祭の前日、
今年も行われるイベント前に流人は御隠居様に挨拶をしていた。
年末の生配信、
その時のアクシデントには流石の御隠居様も呆れ、
皇室に苦言を申し入れようか迷ったと言う。
「私だって慌てましたよ!」
「大分気に入られている様だね流人?」
「ありがたい事ですが、 揶揄われておられるのではございませんか?」
「それでもだよ、 足を運んで頂いたんだから感謝しな!」
「はい。」
音楽祭の後に、毎年恒例の拝謁が行われるので
その時献上する為、大晦日の約束の品を用意していた。
今年の音楽祭も葉山から見物されると言う御隠居様、
運営にあたり心配事は流人だけだと苦言が飛ぶ!
「今年はなにもしないだろうね?」
「最初の余興だけ参加するつもりですが・・・よろしいですよね?」
「決まりごとだからね、それはいいけど大丈夫だろうね?」
「はい♪ 重々に楽しみたいと思っております♪♪」
「(笑)」
今年も大勢のゲストが参加する、
地元の知名度もあって周辺からも見物人が大勢訪れ、
真冬のイベントにしては大規模なお祭りへと変わっていた。
大物アーティストやロックバンドなども参加し、
海上の舞台設置も年々大きくなる。
地元漁師組合のご協力で、舞台設置の3日間、
禁漁して漁場を空けて頂いているので感謝しているが、
その漁師達からの強い要望で豊漁を祈願して欲しいとまで言われる様に
「流石にそれは八幡様にお願いしてください。」
「あそこは豊漁の神様じゃ無いけどね(笑)」
「そうなんですか?(笑)」
眷属や僕達が楽しみにしているお祭り、
それに協力しているのだから、それなりの祝福はあるだろうとお思う流人、
イベントのプログラムを見詰めながら明菜やエリカの出番を確認している。
「今年の注目はエリカって子かい?」
「どうでしょうかね? 彼女次第だと思いますけど(笑)」
彼女の態度でバッシングを受けた事は耳に入っている御隠居様、
流人と馴染みな関係だったとも聞いていた、
そんな彼女を流人が受け入れた理由はどこにあるのか?
どんな子なのか興味があるが、
こう言う時に限って騒動になるので気が気でなかった。
「流人以上に問題児はいないからね(笑)」
「酷いですね(笑)」
「(笑)」
和かに談話が進んでいた居間に、クロウが現れ空気が変わる!
「いかがしましたか?」
「団欒中申し訳ございません、お知らせがございまして・・・」
日◯政府主導で調査捕鯨を行っている捕鯨船3隻に、
自然保護団体の船が妨害行為を行い、
船員に負傷者が出たとクロウが説くと流人の機嫌が!
「どういう事でしょうか?(怒)」
「捕鯨船に乗り込み暴行を繰り返したそうにございます。」
「クロウ! 貴方はなにをしているのですか?(怒)」
「は! 直ぐに行動に移りたいと思いましたが、
今回は知らせんが先かと思いました。」
「任せます! 徹底的に排除なさい!」
「国は一つ、二つ滅ぶ事になても?」
「構いません、不快な者達は必要ないでしょう。」
冷たく重い空気が漂う中、御隠居周りの黒服達は気を保つ事で精一杯、
御隠居自身もこれ程の重圧久しぶりで言葉が出なかった。
「では、失礼つかまりました。」
クロウがす〜っと姿を消して行く!
普通なら驚く光景だけど、
裏稼業や忍びなどを従えている御隠居には普通の光景であり、
それを理解しているからクロウも隠さずに消えた!
重苦しい中慌てて駆け込んで来た黒服の一人が御隠居に進言する。
「御隠居様! 大事にございます!」
「分かっているよ! 捕鯨船だろう?」
「・・・御意!(汗)」
国内なら最速最強の情報網と自負のあった黒服衆だったが、
自分達が伝えるより先に御隠居が承知していた事に驚いていた。
それでも説明を続け御隠居の指示を仰ぎたいと願っている黒服、
「政府の対応は?」
「国際法に則って侵入者を海域国へ引き渡したそうです。」
「海域国?・・・オース◯◯リアかい?」
「御意」
「まぁ、いつも通りの対応しか出来ないだろうね・・・」
「動けるモノが動けが宜しいかと?」
「さっきの子かい?」
「はい、あれでも一応フリーダムの責任者ですから」
「あれが・・・!!」
自衛隊との合同訓練以降、
自衛隊員の中では意識や姿勢が大きく変わっている。
自分達の役割や目的、
昔は国を護り国家の指揮の下に自分達が存在すると考えていた隊員、
フリーダムとの訓練でその考えに変化が起こり、
国民の安全と生命の保護を目的とした部隊であって、
最前線で殺し合う、昔の考えは薄くなって来ていた。
「温室育ちもここまで来ると呆れて笑えるよ」
「そうでしょうか? 彼らは十分、使える様になり始めていますよ。(笑)」
「そうなのかい?」
最前線で戦わない、
他人に変わって頂いている感謝の気持ち、
悔しさを教訓に彼らは支援援護の分野で貢献する考えを自覚し
その為の地味な訓練に明け暮れていた。
「へぇ〜、 知らなかったね?」
「まだ部隊の極一部ですから、それでも使えますよ(笑)」
言葉に何か含みを感じている御隠居、流人の考えなのか?
あのクロウと言う男の考えなのか?
理解に難しいが自国の軍隊が使えると評価を受けた事は嬉しかった。
「現地の人達には申し訳ないけどね、
それがこの国に向いているんだろうね?」
「無関心は少々困りますけどね♪」
「そうだね・・・そっちで少し騒ぐとしようかね。」
夕方のニュースでは各局が大きく取り上げ、
今回の行為に対して捕鯨船の正当性と自然保護団体の暴虐さを伝えた。
「まさか現場の映像まで流すとは御隠居様流石ですね♪」
「流人よ! クロウの動き、大丈夫なのか?」
「そうじゃ! あの者、国を滅ぼすつもりだぞ!」
「どこを狙っておるのかのぉ?」
三賢者がクロウの態度から心配して流人に警告するが流人は聞き流す。
「大丈夫ですよ、 クロウだって私の大切ね仲間なんですから♪♪」
「「「そうだが・・・」」」
敗戦後、牙を抜かれ大国の監視下に入り温々と育てられた国民、
他国から理不尽な行動をされてもただ耐え忍ぶ事が当然と思っているが、
流人は違う、 遣られたら遣り返す! 理不尽には理不尽で対応する。
それを理解しているクロウだから、今回の件、
三賢者は心配し、流人は黙認していた。
「明日の音楽祭で、少しだけ舞に感情を込めてみましょうかね♪」
「やめておけ!」
「御隠居に迷惑がかかるぞ!」
「国内の民には吐口が無いからな、爆発すると面倒だぞ流人!」
沖縄も、尖閣も北方の領土も竹島も、
国益として重大な問題なのに見ぬふりを続ける、
関心がないし関わり相方が分からないのだろうが、
不甲斐ない気持ちが流人には感じる。
特にその不甲斐なさは、
国民の吐口として沖縄で抗議集会や運動が連日続いている。
生活が苦しいから、 暮らしが裕福にならないから、
全ての国人が認識していても耐えている常識を基地と言う吐口に当たり散らす
牙の無い家畜の暴挙に、猛獣達がキレた時、
自分達の行いをどう認識するのか?
流人の知り合いには沖縄出身のタレントが大勢いる、
その殆どは都内で生活しているが、家族や親戚は沖縄に残って生活している、
その為沖縄再占領案に否定的である流人だけど、
一部の、県知事が主導して行う運動に、次第に否定的な感情も薄れていた。
エスカレートして行く自称自然保護団体を、
フリーダムがテロリスト集団としオー◯◯ラリアをテロ支援国に指名した!
これには豪政府も遺憾を表明、
たかが民間団体の発言としては異例な公式に訂正を求め謝罪を要求して来た。
険悪な対立下に入ったフリーダムと豪政府、
それを他所に流人達は音楽祭を楽しんでいた♪♪
21日0時より闇烏、異世界に導かれた闇の僕達を更新します。
クロウが捕鯨船保護の為に色々活動する回になってますので、
ご興味のある方はお試しいただけたら幸いです。




