第三百六十四話 そんなに簡単だったの?
忘年会も終わり大晦日までのんびりしているつもりだった流人、
昼からの打ち合わせまでゲームや漫画を読んで過ごしていたら、
打ち合わせが1時間程後ろにズレると言う!
「まぁいいですけど、何かありましたか?」
「はぁ・・・」
早朝から明菜と雅子が試験場に行っていたらしいのだが、
なんと合格した為に免許証を発行する為、
写真撮影など手続きを行うので1時間程遅れると言う!
「はぁ? もう合格したんですか?」
「はい、敷地内を数回練習しただけで、
試験場に直接受けに行った様ですが・・・受かったそうです。」
「・・・二人とも?」
「はい。」
「(汗)」
ついこの間、本当についこの間、免許を取りたいと言い出し
教習場ではなく試験場で合格するならと承諾したが、
まさか・・・
こんな早く・・・嘘でしょう(汗)
エリカは既に車の免許証を所持している、
明菜も雅子も所持はしていたらしいがブランクがあった筈なのに・・・
なんとなく、複雑な気分だった流人、
素直に待つ事が出来ずに漫画やゲームをしているとエリカが会議室に、
そして直ぐに明菜と雅子も入室して来た。
笑顔満々の明菜と雅子、その様子が面白くない流人の表情を見てエリカが笑う♪
「流人、見て♪」
「私も見て♪」
「・・・」
免許証に2つ記載が!!
「普通・普自二?」
ドヤ顔の明菜、
自動車免許証以外に中型二輪も取得していた!!
「バイクも?」
「そうだよ♪」
「「私も♪」」
「え!」
雅子とエリカの免許証にも普自二の文字が!!
「バイク・・・乗る気なの?」
「「「うん♪♪♪」」」
直ぐに流人の雰囲気を察知して、
大型自動二輪を取得するまでは公道は走らず敷地内で練習すると言う。
「バイクは危険ですよ?」
「でも、流人も持っているじゃん!」
「そうだよね?」
「危険なのは分かるけど、取れる時に取りたいよね?」
「「うん♪」」
バイクに乗りたいっと言う気持ちより、
一般人に混ざって国家資格を取得する事が重要な感じが伝わって来た。
そして雅子が付け加える様に説く、
「車だと前後で分かれて座るでしょう? 撮影時だと大変だよ、
でもバイクツーリングなら絵になるし楽しいと思うよ♪」
「なるほど・・・ロケで使えますね。」
「「「でしょう♪♪♪」」」
地方でのロケを想定すると、
移動時の撮影がバイクなら車の車内にカメラマンが乗り可能だ、
高速道路などの有料道路なら車とバイクが並走しても問題はない。
「バイクも楽しいけど、買い物とか出来なしね(笑)」
「荷物持てないもんね(笑)」
「車の方が安心するよね♪」
「「そうね♪♪」」
「それで、 肝心の車は決まっているんですか?」
約束だから車は流人が用意するが用意するなら希望に添いたいので、
個々の希望の車種を伺うと口籠る三人。
「どうしたんですか? 乗ってみたい車がないんですか?」
「私は、あるんだけど・・・」
「私は・・・ないかな・・・」
「そうなんだよね・・・」
明菜は昔っから憧れていた車があった、
実際過去に所有していたが不便で直ぐ乗らなくなったと言う。
「乗らない物をプレゼントしてもね?」
「そうなんだよね・・・運転が大変だったんだぁ」
「試験場の車って言うか最近の車ってあんなに楽なんだね♪」
「そぉう♪ 驚いちゃった(笑)」
昔の車はクラッチやハンドルが重く運転し辛かったそうで、
試験車の軽い操縦性に驚いていたそうです。
「それに流人が言った意味も分かったからね♪」
「そうよね、
教習場じゃなくて試験場で受けなさいって言う意味でしょう♪」
教習場ではルール通りに出来ているか?否か?が合格基準だけど、
試験場はルールに従って車を操作出来ているか?否か?が合否になる。
その為、運転が出来る人は試験場へ直接行った方が有利で、
教習場の様に一つ一つ学ぶ必要がない。
「バイクの話ですけどね♪ 試験場は乗れているか?否か?
それを判断して合否を決めるって聞きましたから(笑)」
三人は既に決まっていた、
ただ流人が否定したらどうするか? それが心配なだけだったが、
流人からの提案は三人の望んでいた方向だった。
「本当にいいの?」
「大丈夫なの?」
「3台だよ?」
「構いませんよ♪ リース契約ですから(笑)」
まさみと同様にジパングのリース契約を行い、
車はエクストリームのフルカスタムを採用する事でまとまった。
「あとは車種ですね、 改造するからなんでもいいんですけど?」
「明菜ちゃんはカレラにする?」
「私だけ? 私も同じがいいよぉ!」
「(笑)」
「同じ? 全員同じにするんですか?」
「「「うん♪♪♪」」」
「なににするの?」
「「「TUP15!!」」」
「・・・」
流人のお気に入りの車で、流人がまさみにプレゼントした車、
それを強請る三人に呆れた流人・・・
然しそれには理由があると言う
「まさみちゃんの車を設計した時に色々な案が出たらしいのよね?」
「そうみたいだね、エンジンを新調した方がいいとか、」
「操作性をもっと安定させてみてはとかね。」
「それで? ヨタハチ?」
「「「うん♪♪♪」」」
運転を楽しむ為と言う概念から考慮したら、
ガスタービンは不向きで、ガソリンエンジンの方が操作感は高い。
排ガスや燃焼効率を考えてガソリンエンジンは採用出来ないが、
僕達の中で新しいエンジンを開発してみたいと要望が高まっていた。
「新しいエンジンですか?」
「そう♪」
「完成したらエンジンを載せ替える様にするって」
「その為に同じ車種の方が簡単だってね?♪♪」
「でもTUP15じゃなくてもいいでしょう?」
「そうしたら、まさみちゃんがエンジン変えられないでしょう?」
「そうだよね?」
「かわいそうだよ流人?」
「・・・! ひょっとして・・・ひょっとしてですが、まさみに確認済み?」
「「「うん♪♪♪」」」
流石に同じ色だと抵抗があるので、
色や内装は其々好みに変えて指定する事を約束して承諾したと言う。
「それとまさみちゃんから伝言ね♪」
「伝言?」
「流人の女軍団みたいでいいじゃん♪(笑)」
「「(笑)」」
「世間ではそれをドン引きと言うと思うのですが?」
「「「(笑)」」」
「まぁ、本人達が納得しているならいいでしょう。(笑)」
「「「やったぁ♪♪♪」」」
手続きは既に仮まで行われていて、
その資料と契約内容の情報がPCに送られてくる!
「手早くないですか?(汗)」
「だって・・・ねぇ?」
「そうだよぉ♪ プロジェクトR所属だもん(笑)」
「スピードでしょう(笑)」
「迅速、丁寧、誠意を持ってですからね? 事故は勘弁してくださいよ!」
「「「はい!」」」
ベースはまさみの車体を三人とも選択、
サイドミラーを現代風にドアサイドへ移動させ、
ボンネットの吸気口も丸みを強調した感じに変更していた。
ここまでは三人同じ指定になっているが、
エリカは排気ダクトをサイドに2本出し!
雅子は後部左右から1本ずつの2本出し!
明菜は後部に大型の1本出し!
現行のエンジンなら音は変わらないが、新型に換装する時を考慮していた。
その他にも、バンパーの形や位置など細かい部分の変更が行われる予定で、
三人の完成予想図の車を見比べても違う箇所が多く驚いた!
「こんなに変更出来るんですね?」
「そうですよ♪」
「作業の担当者達も上げ上げだったよね(笑)」
「エリカちゃん上げ上げって(笑)」
「なるほど・・・」
僕達も新しい企画に興味津々なんだと理解した流人、
同車種と聞いて驚き戸惑ったが問題はない様子だった。
「色は・・・エリカが黒白ですか?」
「黒白って言わないでよぉ!」
車体はマッドブラック、
その上にボンネットと後部トランクフードの中央に
パールホワイトのラインが1本!!
「コブラみたいですね♪」
「私は、英国車が好きなんだけど、みんながアメ車のイメージがあるって言うし、
ママの車とは違う雰囲気にしたいから思い切ってみました♪」
「私のも見て♪」
雅子の車体カラーもマッドブラック、
そしてエリカがパールホワイトだったラインがマッドブラウンに変わっていた。
細かく見るとエリカのラインは太いライン1本ではなく、
両サイドに細いラインが入っていて3本になり、雅子のラインは中央に隙間があり
同じ太さのラインが2本になっていた。
「拘りましたね(笑)」
「「(笑)」」
そして明菜のカラーは流人と同様のパールホワイト、
そして中央のラインはマッドブラウンの1本線とシンプルだった。
「明菜さん?」
「だって仕方ないでしょう!」
「仕方ない?」
流人の眷属として明菜が長女、雅子が次女、エリカが三女になると言う、
「だから私は1本なんだって!」
「私が2本ね♪♪」
「私が3本(笑)」
「そう言う意味ですか(笑)」
ただ明菜の車には色々変更点があると言う、
フロントのエアダクトの形状やウインカーの位置が変更、
足回りの調節などがしやすい様に細かい箇所が二人と違っていた。
「私達の時代はストレス発散=車だったから」
「(笑) ストレスがあるって事ですね(笑)」
「そりゃぁ・・・0じゃないよね?」
「「(笑)」」
「お酒も同様ですが、
楽しむのなら歓迎ですが逃げ道に使うのは賛成出来ませんね?」
「うん、 だから楽しみたいのよ♪ 運転をね(笑)」
「明菜ちゃん大丈夫? スピード違反とかで捕まらないでよ?(笑)」
「そうだよ気をつけてよね?」
「大丈夫! 捕まらなければいいんだから(笑)」
「「ちょっと!!」」
「そうだよね? 流人?(笑)」
「(笑) その通りです♪」
ただ、人身事故などの事故は絶対に逃げない事、
相手の命に関わる行為、現場を放置して逃げる事は絶対に許さないと説き、
適切な対応として、事故を起こした場合は直ぐに連絡する様にと伝えた。
「念話で分かりますからね♪」
「「「はい!」」」
事故など起こさず楽しい運転を続けられる様に願った・・・。
偶然七夕だったので・・・願ってみました。




