第三百五十七話 イブなのに和食?
流人達は車を駐車場に置きそのまま転移でまさみのマンションへ、
部屋の中へも転移出来たが、一応女性の部屋なので玄関ドア前に転移した。
リビングで待つ流人と、着替えに忙しいまさみ、
和食のお店っと聞いて一生懸命お洒落をしようと頑張っているみたいで、
流人はそこまでの意気込みが理解出来ないでいた・・・
「たかが食事ですよ? 何着ても同じでしょう?」
「そう言う問題ではないの!」
「そう言うものでしょうかね・・・」
転移して移動する為、他人の視線は気にならないと思うのだが、
流人の為のお洒落と言う三賢者に意味不明と思う流人だった。
「以前にアリスのパーティーに呼ばれて参加したであろう?」
「その時はお洒落をしたではないか?」
「相手を思う気持ちじゃな」
「あの時はアリスの友人達と初めて会うのですから気遣いしましたけど、
今回は二人っきりでの食事ですよ?」
「それでもなぁ」
「流人の馴染みの店だからのぉ」
「恥ずかしい思いはしたくない現れじゃな(笑)」
「女子って大変ですね(笑)」
「「「誠にのぉ(笑)」」」
彼此1時間近く経過してたっと部屋から出て来たまさみ!
「どっちがいい?」
落ち着いたキャメル色のハーフコートと、真っ白の8分丈コート、
インナーの色が柔らかい赤色なので白ならイブらしい色合い、
反対にキャメル色は落ち着きのある雰囲気にインナーのセーターが映えている。
「これが! 世間で言う、正解の無い問いかけですね♪♪(笑)」
「そんなつもりはないけど・・・」
「いくつか質問していいですか?」
「質問?」
流人が抑々どの様な気分でそのコートを選んだのか?
使い勝手の良さそうなキャメルのハーフと
普段使いするにはリスクがありそうな真白のロングでは、
購入した時の意図が違うのではないかと問う?
「まぁ・・・」
「って事は、そのロングは勝負コートなんでしょ?」
「・・・」
「大丈夫ですよ、
万が一汚れても職人組に任せればシミ抜きも完璧に出来ますから(笑)」
「そうなの?」
「職人組の中には眷属や僕も居ますから、
魔法も使えますからご安心ください。(笑)」
「・・・便利だね魔法って」
「便利ですが、使えない人達にとってはやっかみの元になり、
騒動の原因にもなりますからね、 昔の魔女狩りの様にね!」
「差別的排除・・・」
「抑々自分達が便利を求めて失ったモノなんですけどね(笑)」
「え!」
「魔力は元々無い様ですが、精霊や神々の力はこの世界にも存在しますし、
使えるって程でもないですが、
精霊達に愛されている代表として陛下達がおりますよ♪」
「天◯陛下って魔法が使えるの?」
「魔法は使えませんが、山神や土地神の神々に愛され、
木霊達精霊にも親しみをもたれていますから祝福は受けていると思いますよ♪」
「どうして・・・」
まさみが不思議に感じる事があった、
異世界から来た事は秘密にしてあるのに、
何故か?流人の周りには凄い人達が大勢いる、
その象徴的な相手が皇族との関係だ!
「(笑) たまたまですよ(笑)」
「たまたまで交流出来る相手ではないでしょ?」
プロジェクトRと言う会社が設立してあっと言う間に世界的規模に成長、
当然その蜜に集りたいと政治家や◯◯◯などが、
その排除に公安が乗り出すと上の社会の者達にも関心が集って
自然と今の状態になったと流人が言う。
「公安?」
「普段、私の移動車を運転している渡邉と陣内は公安職員ですよ」
「あの人達・・・そうなの?」
「はい、 色々問題があるでしょう?」
「問題?」
プロジェクトRの実質的支配者である流人、
何かあったら大事になりかねないし、流人自身が色々揉め事を起こすので
その対応の為に、国家安全と治安維持、その為に公安が派遣している。
「だから・・・家の前に交番があるんだ・・・」
「あれも(笑)・・・そうですね♪♪」
戦後この国を裏から支えてきた大御所、鎌倉の御隠居様と出会ってから、
皇族とも付き合いが始まったと説く。
「あのおばぁちゃん、そんな凄い人だったの?(汗)」
「そうですよ(笑) 今でも現役バリバリで政界や財界を支配してますから(笑)」
「支配って・・・(汗)」
御隠居様も昔は土地神や木霊が見えていた、
しかし歳を重ねるごとに見えなくなり見える流人に親しみと興味があって、
色々と尽力をしていただいて可愛がられていると流人が話した。
「花火を見る会や音楽祭は御隠居様のおかげです。」
「そうなんだぁ・・・」
まさみが思い出していた!
当時の総理大臣が花火を見る会を批判し人気が一気に低下、
今では悪者の代表の様な存在にまで落ちって、
地元が同じ県なのに、県知事や県民からの不人気は異常に高くなっていた。
地元のイベントを中止にしたとはいえ、
誰かの意思がなければあれ程急速に衰退はしなかった、
その原因がまさか流人であり、あのおばぁちゃんの指図だったと知り、
そう言う世界が実際に存在する事を実感していた。
「そろそろお店に行きませんか?」
「あ!はい♪」
転移で松濤の美食倶楽部へ移動する・・・
「お待ちしておりました♪」
「お待たせさせました♪(笑)」
「「(笑)」」
流人が普段使う奥の個室、
純和風で畳が敷いてありこの時期は掘り炬燵も設置してある。
まさみが興味津々で部屋の細部を見て回り、
隣の部屋への引き戸を見つけ中を覗く!
「流! 流人!」
「あぁ、 眠いなら寝ていてもいいですよ(笑)」
時代劇でよく見る高枕と厚手の布団が敷いてあった!
「そう言うとこなのここ?」
「(笑) 神楽坂と同じで、
ここに寝泊りして会議や執筆活動が出来る様にですよ(大笑)」
昔の文豪などは執筆活動をしたり、政治家達の会合が数日続いたり
その時の為に仮眠出来る場所として布団が用意されていた。
「え! まさか! イブだからってHな事考えてませんよね?(汗)」
「なんで女がそんな事考えるのよぉ!(怒)」
「♪♪(笑)」
ちょっと期待していたまさみだった・・・
世間ではクリスマスと言うとケーキやフライドチキンなど、
洋風の料理を食す習慣に変わっている様だが、
流人はこの時期の和食が好きだった♪
鰰と口子の一夜干し、虎河豚の白子茶碗蒸し、
お刺身は本鮪と寒鰤、水蛸、寒鮃、伊勢海老、
根菜の粗炊き、公魚の天麩羅と牡蠣フライ、鰻重と肝吸い、
「甘味は如何いたしましょうか?」
「そうだね・・・30分後にでも」
「お飲み物は?」
「私はお茶で十分です♪」
「それだったら私も大丈夫です。」
「(笑) 承知いたしました。」
誰が見ても緊張している様にしか見えないほど固まっているまさみ、
食事をするだけなのになんで?と思う流人だった。
「だって・・・こんな高級店初めてだもん!」
「またまた(笑) 大女優様が初めてなんてねぇ・・・(笑)」
テーブルマナーの勉強の為、
フレンチやイタリアンには事務所の偉い人に連れて行って貰う事があるが、
和食はないと膨れっ面で愚痴るまさみ、
「緊張しなくていいですよ、私の系列店ですから」
「流人の?」
美食倶楽部とSocietyRは元々流人が日常生活を過ごす為に出来た物、
その為プロジェクトRとは別の企業となっている、
どちらも流人の為の企業だが直接的支援企業と間接的支援企業の違いだけで
中身も内容も大差はないと流人が説く、
「派閥のsocietyも?」
「あれは偶然って言うか、みんなが勝手に名付けたんですよ(笑)」
芸能界には事務所の派閥や個人の派閥が主流だった時に、
IT関係の繋がりで集まったヒ◯ズ族と言う派閥があり、
メンバーの何人かが誘われ断る理由としてsocietyの名前が上がったらしい。
「どうして流人派って言わなかったの?」
「私の名前は秘匿事項ですからね(笑)」
大企業の最重要人物、政治や経済界にも影響が大きい流人、
彼の安全を守る為、公安や警察が警護対象として周囲を守っている、
その彼が、自分の為に公に出て来た事が異例な事だと気付いた!
「なんか・・・ごめん。」
「(笑) 気にしなくていいですよ、少々早まっただけですから(笑)」
「芸能界に入るつもりだったんだ?」
「だって、あなたと会うにはそれしかないでしょう?」
「たったそれだけで・・・」
「♪♪」
口子を齧りながら笑う流人でした。




