表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
340/2662

第三百四十話 処刑

 群馬県の赤城山麓で毎年行われる鎮魂祭、

今年も大勢の見物客が来場して賑わい楽しいイベントとなり、

大勢の出演者との交流も出来、満足の流人だった・・・


 音楽祭も鎮魂祭も若者向けのアーティストが多くを占める

悪い事ではないけど、年配層の参加率が心配になっていたが、

驚く事に、この一帯のRN配信局の登録率が、

6区についで2番目に多かった。


「此処いらはよぉ、 山が邪魔して中々電波が来んのよ(笑)」

「デジタルになったからって映る局が増える訳もなぇ〜からな(笑)」


「ぐんまっこから回線工事してくれるって言うからよぉ、

ネットワークってぇの繋いだらよ、色々見れるかんな(笑)」


 プロジェクトRの設備が在る神◯川と群◯、

各市のご協力でRNが周辺地域に回線網を引かせて頂き、

6区と同等の通信回線を提供出来るうえ、レンタルサービスも受けられる。

 料金は6区と同額だが、優遇措置がないので一般回線より高額になっている

それでも地元住民達からは手続きが簡単な上、

アフターサービスが丁寧で充実しているので好意的に受け入れられていた。


 4で先に放送された夏のバカンス特番が好評で、

フル配信を見たいとRN配信局に加入する世帯が全国で急増していた。


 加入料は基本無料でアーカイブを視聴するにも費用はかからないが、

生配信は負担がかかる為に一部の地域では、

視聴出来ないことを確認の上加入をしていただいる。


 それでも加入数は数千万を超え、流人達も驚いていたが、

多くの加入者は欧米に在住する人達で、言語の壁を気にしていた流人の為に、

希空達が自動変換言語システムを開発!

編集された映像から出演者の音源をAIが読み取り、

英語・フランス語・ポルトガル語に自動変換して吹き替える

出演者の音質にまま、其々の言葉で流れるので字幕がいらない、

国内の視聴者より外国の方々に喜ばれていた。


 「フランス語?」

「カ◯ダなど一部の島国で使用されております。」


 「ポルトガル語?」

「ブ◯ジルなどの日系人コミュニティーがある国で人気です。」

 「なるほど・・・」


 勿論生配信には適用出来ないので、アーカイブの視聴回数が増えた。


 元々時差などがある為に、アーカイブの試聴はすんなり受け入れられ、

日◯のバラエティー文化が海外でも人気となっていた。


 流人が気にしていた画質も、海外の人達はあまり気にしないのか?

ADSL回線でもアーカイブなら視聴出来るので苦情も少ない

その流れで4以外の放送局が保有する番組なども視聴出来る様に契約が進み、

敵対している放送局とも配信契約を結び、

通信回線でのRNの立場を確立した。


 加入者数が増えると企業からの支援も増えるが、

流人がアーカイブにCMを入れる事を嫌い、

ワイプで差し込む形になったが、今度はその場所の絵が見えないと流人が批判、

結果、番組内で宣伝する形式を取り入れ、事実上の生CMを行っていた。


 特に、雅子を起用した大手酒造会社は、懐かしい雰囲気と雅子の魅力に大喜び

商品を無料提供して頂けるほど喜んでいる。


 その他にも、車やファーストフードなども支援企業に参加、

番組内で宣伝出来る企業が増える事で宣伝時間も減少する事に流人が危惧、

協力企業のアーカイブを作り、個々の商品の宣伝などを明菜や雅子が行っていた。


 企業CMだけのアーカイブを誰が見るのか?

不安であったが、明菜や雅子のファンだったり、

民放で流れているCMの撮影風景が収録してあったりするので、

一部の層には好評で、

視聴回数が企業側に直接伝わりCM制作の糧となり企業からも好評を得、

徐々にRN配信局の認知され始めていた♪♪


 そんな順調な日々は長続きしない!!


 いつもの様に朝食を取りながらテレビを見ていると、

エリカバッシングが行われていた!!


 なんでも主演映画の舞台挨拶でのエリカの態度が許容限度を超えていると

マスコミが一斉に叩き始めていた。


 メディアと事務所が意図的に作り上げた女王様キャラ、

それをいきなり掌を返す様な批判に流人は信じられなかった・・・


 「エリカさん、ちょっと調子に乗っちゃったのでしょうかね(笑)」


 そんなお気楽な感情だった流人を他所にバッシングは連日続き!

あろうことか、事務所の代表までエリカを◯◯する始末に、

流人の不快指数も限界を超えていた!


 「大人が面白がって作ったキャラをいきなり・・・不快ですよ(怒)(怒)(怒)」

「流人様・・・」

 「クロウ?」


 クロウが一つのICレコーダーを流人に差し出す!

「プライバシーと言う問題がございますので公表は出来ませんが・・・」


 この音声は、舞台挨拶の控室近くのトイレ内で、

録音された音源をダビングしたものだと言う。


 「トイレ内って駄目でしょう?」

「学生の虐めなどは、大半トイレ内で行われる事が多いので・・・」

 「なるほど・・・」


 流人の近くにも虐めでトイレに誘い込まれ、

バケツの水を掛けられた少女が居た事を思い出していた。


「今回映像はございませんが、お聞きになれば・・・」


 レコーダーを再生するとドアの音が、

これは先にエリカが入って来た音だと説明を受け、

その後の女の声が問題と言う・・・

 

 「なんなんだ! この馬鹿(くそ)は!(怒)(怒)(怒)」

「司会を担当していた◯◯です。」

 「(怒)(怒)(怒)」


 トイレ内にエリカが居る事を知らないのか?意図的なのか?

洗面所で、ず〜っとエリカの悪口を吐いている!

「なんであんな餓鬼がチヤホヤされるのよ!」

「エリカ様〜ってキモいんですけど!」

「見た目が可愛いだけで才能も無いくせに、

なんでそんな餓鬼の司会を私がするのよ!」


 5分以上、◯◯の罵声は続いていた。

これをトイレの個室でず〜っと聞いていたのだと思うと、

流人の怒りは限界を超えて冷静に戻り自己嫌悪に落ちていた。


 「辛かったでしょうね・・・ず〜っと耐えて聞いてたんでしょうね」


 エリカは番組や共演者を批判しない、

一緒に作り上げた仲間だから、仲間を売ったり見捨てたりはしない。


 そこが流人がエリカに好意を持っている原因であったのに、

テレビの報道を見て、

エリカを信じ切れていなかった自分に罪悪感が芽生えていた。


 昼過ぎに事務所がエリカを無期限自粛処分とした事で、

大きく事態が変わった!


「流人様!」

 「分かってます!」


 転移してエリカの自宅マンションの玄関前に移動する!

マンション周辺はゴシップ誌のカメラマンが相変わらず集まっているので、

直接玄関前まで転移した。


 鍵が掛かっていないドアを開け、部屋の中へ入る流人、

リビングで必死に何かと葛藤を続けているエリカを見つける!

 

 「無用心ですよエリカさん?」

「!!」


 いきなり部屋の中に流人が現れびっくりするエリカ、

慌ててテーブルを隠す様に立ち上がり流人との壁になる!


「ど!如何して此処に? 此処に流人がいるの?」

 「あれ♪ いつでも歓迎って言ってませんでしたか? エリカさん♪」

「言った・・・けど、 テレビ見ていないの?」

 「朝から見てましたよ(笑)」

「だったら・・・」

 「(笑)」


 流人はその場所を1歩も動かずに、ただエリカに

朝からの出来事をゆっくりと説明する・・・


 「最初はね、エリカらしいって思ったんですけどね(笑)」

「私ってそんなに酷いイメージなの?(笑)」

 「エリカ様だからね(笑)」

「(笑)」

 

 思い詰めていたエリカから笑顔が見えた、 それを確認してエリカに問う


 「それで? エリカは何使用としてたの?」

「・・・」


 諦めた様にテーブル脇のソファーに座る、エリカが動いた事で、

テーブル上にある大量の薬とワインが確認出来た。


 「身体に悪そうですね?」

俯き髪を掻き揚げ深いため息をつくエリカ・・・


 流人が再び話しかける、

 「専門学校に通っている友達は元気ですか?」

「専門? あぁ〜♪ あ〜ちゃんね(笑)」

 

 興味がないモノは覚えられない、

名前は覚えられなくても(エリカ)の友達の情報は覚えてくれていたと

少しだけ安心し、嬉しく思った。


「来年、専門学校を卒業するんだ、そしたらアメリカに行って働くんだって♪」

 「アメリカ?」

「うん・・・あっちの方がレベルが高いから、

基礎知識を上げて人脈を作るんだって。」


 専門学校を卒業しても、国内のアパレル企業は狭き門、

その為知識力とスキルの向上を目的に数年の間、武者修行をすると言う。


 「夢に向かって歩んでいる親友は眩しいですか?」

「・・・うん、 眩しいね。」

 

 声が少し震えて聞こえるエリカの声に流人は切なく愛おしく思うが、

現状の事実だけは認められない。


 「約束を覚えてますか?」


 流人の言葉に、胸を張って答えるエリカ!

「覚えているよ♪ 辞めたもん(笑)」

 

 テーブルの上にある錠剤は全て薬局で売られている痛み止めや、

医師の診断で出された睡眠導入剤だった。


 「言いませんでしたかね? 私ドラッグアレルギーなんですよ(笑)」

「聞いたぁ〜 市販薬も駄目なんだね(笑)」

 「はい・・・これ以上は近寄れませんからね? 貴方(エリカ)次第です。」


 流人の言葉を理解したエリカ、考える間も無く立ち上がり流人の元へ向かう!

強く抱きしめる流人に安心したのが、頑張っていた堰が切れた様に泣きじゃくる


「頑張ってたのに・・・」

 「知ってます。」

「一生懸命・・・」

 「分かってます。」


「わぁぁぁぁっ・・・・」


あくまで、架空のお話です、

実在する登場人物とは一切、一切関係ございません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ