第三百十二話 音楽祭2007 歌謡
幻想的な一時を会場の全ての人達で共感出来た喜びからか?
舞終わった二人に絶大な拍手と歓声が沸き起こる!
それを早々と断ち切り翁が説いた。
「みなさま、まだ祭りは始まったばかりにございます。
急かさず、ゆるりとお楽しみください(笑)」
笑い声と共に白煙が舞い始め、雅子と翁の姿が消える、
そして奥のステージには、2年連続出場の湘南◯◯達の姿が!
「なんか・・・すげぇモノ見た感じだけど、今年も俺達と盛り上がっていくぞ!」
「「「わぁ〜♪♪」」」
奥のステージから江ノ島側のステージへ、そして葉山側のステージへと
順番に歌い手が登場しては代わって行く。
若手のバンドから歌手やアーティスト達が歌を披露して行く中、
流人はステージを降りて観覧の場所へ移動していた。
「おや、奥さん♪♪」
御隠居様に挨拶しに来た流人、
関係者席に友里とまさみが座っていて驚いた!
「も?」
「いやいや、友里はなんとなく居そうな気がしたんですがね(笑)
まさみさんまで居るとは思いませんでした(笑)」
「お婆ぁちゃんにまさみちゃんを紹介しようと思ったんだけど、
知り合いだったみたいだね♪」
「そうですね(笑)」
「いいのかい? 彼女を放っておいて?」
「その程度で動じる様な女子を嫁にとは考えませんよ(笑)」
流人がまさみの顔を伺うと唖然としている(汗)
「大丈夫ですか? 奥さん?」
「は! はい、 え! 流人? え!いつの間に?」
「(笑) 本当に大丈夫ですか?」
翁の男が流人だと知ったまさみだったが、
それ以上にあの様な舞を見る事が初めてで衝撃を受けて放心状態だった。
「御隠居様、今年は順調の様子、なによりにございます。♪♪」
「なによりじゃないよ流人! 今年も派手に舞いおって!」
「葉山からの見物もございましたので、少々張り切ってみました(笑)」
「全く・・・」
「(笑)」
「ってか、まさみさんがなんで?」
「え!」
新年会が行われるのは夜の強羅、
昼から祭りに参加して来るとは思っていなかった流人、
なんでも移動様にヘリを用意するとの申し出に、
緊張するからみんなと一緒にと回答し、
みなさん音楽祭を見物してから参加する趣旨を聞かされ、
自分も同じ行動をしたいと願っていた。
「分からない事は全部、友里に聞くといいですよ♪♪」
「任せてよぉ♪」
「はい♪」
和やかな雰囲気の中で申し訳ないけどと前振りをしてから御隠居が流人に問う?
「今年は明菜は大丈夫なんだろうね?」
「どうでしょうか? 大分楽しげにしておりましたけど?」
去年のトラブルの原因でもある明菜に対して、
今年は、4つの総合病院から40名の医師団を派遣していただき、
病院の方も受け入れ態勢をとって準備を補強していた。
「そこまでしますか(笑)」
「当然だろう、 二度と文句は言わせないよ!」
「御隠居様もかなり憤慨なされていた様ですね♪」
「当然だろう!」
「今年は大事はないと思いますが、
そこまでの準備を折角なされているのなら・・・♪♪」
「流人は余計な事を考えなくていいよ!」
「(笑)」
「(笑)」
「♪♪」
「一舞、再び舞いたいと思っただけですよ♪」
「諦めな!」
「えぇ〜・・・折角、嫁が来ているのに?
いいとこ見せたいじゃないですか♪♪」
「うぅ・・・」
苦難な表情の御隠居に与してまさみが助け舟を出す、
「私はもう・・・大丈夫です。
これ以上は刺激が強過ぎるので・・・はい。」
「助かるよ、まさみちゃん!」
「だって♪ 残念だったね流人(笑)」
「えぇ〜・・・(怒)」
「「(笑)」」
楽しい流人、もう少し戯れたいと考えていたが願い叶わず、
少し不貞腐れている時に明菜の順番が来た!
「明菜だね」
「明菜ちゃんがんばれぇ♪♪」
音が流れると流人の表情が変わり機嫌が良くなる・・・
「いいリズムですね♪♪」
「懐かしい感じだね♪ 私も好きだね♪♪」
「♪♪」
御隠居様が懐かしいと思うのも当然で、作曲は陽水が行っていて
80年代に戻った様なリズムだけど、
今の若い子達には新鮮な感じに受け取られていた。
流人の歌詞に陽水が作曲をした作品、
今回新曲として初披露したのだけど、明菜は余裕ある歌い方で魅了している
勿論歌姫のスキルを発揮して、独特の声が観客の心を貫いていた。
一番が終わると急に陽水がステージに入って来て、
ギターを弾き始め、それに合わせて明菜も二番を歌う、
そして更に人が増えて行く!
達郎の奥さんや民生なども混ざりステージ上でコラボセッションが始まるが
演奏の僕達も一緒に盛り上がっていた!
「なんか楽しそうですね♪♪」
「あんたは大人しくしてなさい!」
「残念だったね流人♪♪」
「?」
「・・・涙」
明菜の順番がやっと終わると次のステージには2つのビックバンドが!
「え!」
◯zとG◯◯Yのコラボセッションが始まった!
曲は何故か中◯◯菜の飾りじゃないのよ涙はを演奏している!」
「どう言う事でしょうか?」
「私も聞いてないよ!」
「でも楽しそうだよ♪」
「・・・♪♪」
そしてそのステージに何故か明菜と陽水が加わり全員で熱唱する!
「飾りじゃないのよ涙は・・・HA HAN」
「好きだと言っているじゃないの HO HO」
楽しそうに歌う明菜、
「そうだね、もう一人の明菜さんも参加したかったんだろうね・・・」
「そうじゃな、二人で一人だからのぉ」
「自分だけ・・・では耐えられんのだろ」
「あの子らしい答えじゃな(笑)」
「そうですね♪♪」
三賢者の言う通り、
病室で結界に護られながら眠り続ける明菜に支えられて
今の明菜がいるのだから、
楽しいって言う気持ちが病室の明菜に伝わる様に、
彼女の精一杯の答えが今この現象を起こしているんだと思った。
「中◯◯菜の持ち歌も解禁しましょうかね♪♪」
「そうじゃな」
「もう誰もそっくりさんやものまねとは言わんであろう」
「彼女は彼女じゃな」
それを分かっているから、彼女の周りにいるあれ程のメンバーが、
一緒に共演しているのだと流人も胸が熱くなる思いを感じていた・・・。
「「「「わぁ〜!」」」」」
会場内の観客全てが、この夢の様なコラボに歓喜の声で応えていた、
明菜を中心に大勢のアーティスト達が持ち歌以外を演奏して共有し歌う♪♪
流人が音楽を通じて求めていた分かち合う共有、
音を通じて共に楽しみ、そして一つへと結ばれる仲間意識を、
明菜がここで実現させていた・・・。
「いいですね♪♪ 私も混ざりたいなぁ・・・♪♪」
「流人・・・」
セッションしたり個々の持ち歌を歌ったりっと、
何度か繰り返し楽しい時間が過ぎ、当然の如く予定時間を大幅に過ぎていた!
風も北風が吹き始め寒さも増して、
観客も辛そうに見えるので流人が決断する!
眷属達に念を送り盛り上がりを冷ます様に命じ、
繋ぎの合間に空白の時が生まれた瞬間!
白煙と共に翁が登場し場を沈めた。
「誠に、誠に、演者のみなさま、誠に申し訳ございませんが、
時も既に21時なろうとしております。」
「道止めも21時までとの約束、
此度はここまでと、切に願い申し上げます。」
翁の言葉に北から冷たい風が、海の上を抜け演者達に当たると
一気に冷静さを戻し、覚めた様に自分達が燥ぎ過ぎていた事を理解した。
「会場の皆々様、 此度の歌会はここまでといたしますが、
来年も引き続きご愛顧のほど、宜しくお願い申し上げます。」
「「「「「わぁ〜♪」」」」」
「演者の皆様も、どぉ〜か、来年もご参加頂き、この続きを、
楽しい一時を再び再現して頂けますよう、お願い申し上げます。」
「「「「「♪♪♪♪♪♪」」」」」
観客から拍手と歓声が、出演者達からは演奏で了承を得て、
2007年の音楽祭は時間切れと言う結末で終わったが、
全員が満足して語り継がれる話題へとなって行く・・・
「ふぅ〜♪♪」
「結局、美味しいところを持って行きよったな流人」
「あとは御隠居様にお願いいたします(笑)」
警察との調整で開通時間を30分遅らせ、観客を道路から避難させる、
無線では事情を知らない警官から入り口ではまだか?まだか?と
苦情の嵐と嘆きの声が伝わって来ていた。
友里やまさみ達はヘリで宴会場へ向かうが、
流人は乗らずに遅れるとだけ告げ、友里達に任せて何かを打ち合わせていた。
「それじゃぁ、行きますよ♪♪」
「「「「「はぁ〜い♪」」」」」
「こっちも出発しまっせぇ!」
「「「おぉ〜!」」」
2機のヘリが強羅の施設へ向かい飛んで行く、
流人は、後始末の状況を確認しながら今回の感想を黒天達に伝えていた
「願う形になり、大変楽しい時でしたね♪♪」
「それは何よりにございます。」
「少々、尻切れ感がございましたが、来年に向けて調整いたしまする。」
「お願いしますね・・・それと、
あの様な雰囲気の音楽番組って不可能でしょうかね?」
流人は演者達が時を忘れて楽しそうにしていた、
その様な音楽番組を創りたいと願う・・・
「流人様の望みであるなら我らは如何様にも」
「流人様の御心のままにお求めなさいませ。」
「ありがとう♪♪ 黒天、紅丸、クロウ、よろしくね(笑)」
「「「御意!」」」




