第二百九十九話 イブの過ごし方
宴も楽しく終えて都内に戻った流人、
クロウに願い、山神達の苦言の解消を頼んで駆除を命じた。
流人にとって、知らない国民より山神達の方が大切であり
その山神達を軽んじる者達に慈悲などなかった・・・。
流人を不快にさせている事は他にもあった、
今年を表す漢字として「命」が発表された!
これは、皇室に男子が誕生した意味の他に
小中学生の虐めによる自殺が多発していたからでもある・・・
そんな世情なのに行政は一切関心を持たず、
監督的立場の教育者達の責任放棄が流人の不快にさせ、
社会自体に興味が薄れていた。
そんな流人の不快を晴らす雅子の仕草が愛おしいが、
流人の中で戸惑いもあった・・・
「本当に、大手事務所に行かなくていいのですか?」
「明菜ちゃんと一緒でいいよ♪」
身体を動かす事が好きなのか?
毎日ハードなトレーニングを重ねて身体能力だけなら明菜を超えていた!
「女優としての活動なら大手の方が発揮出来ると思うんですけどね?」
「そうだけどね、 事務所の柵って大変なのよ♪」
「柵ですか・・・」
ドラマなどなら、多数の事務所から1枠ずつ割り当てられたり
ライバル事務所の作品には参加出来なかったりと暗黙のルールがあるそうで、
プロジェクトRなら大手事務所の作品にも問題ないと雅子が説く
「それに、流人の眷属だし、流人の側に居る方がいいでしょ」
「考えているんですね・・・」
ネット経由のテレビ局ではあるが、放送局を保有し制作会社もある、
そんな事務所は国内ではプロジェクトRだけだった。
「今後、ドラマや映画も制作するんでしょ?」
「そうですね、演出と監督次第でしょうかね(笑)」
「流人がすればいいじゃないの(笑)」
「難しいですね(笑)」
マスコミに態々知らせる必要もないし、
険悪な関係を維持している以上告知する義務もないので、
事務所のホームページ上にお知らせ程度で掲載しのだが騒ぎになっていた!
「夏◯雅子の再来ですか・・・。」
「若い頃の映像が残っておりますので・・・」
「我も確認しましたが・・・」
「そりゃ〜そうだよね(笑)」
明菜の時は、身長や肌の色、
そして体型もある程度動ける身体にしてからデビューさせたので、
直接接していなければ雰囲気から怪しまれる事はないが、
創造神様から頂いた霊核は全盛期の夏◯雅子そのままだった。
「まぁ、本人は既に亡くなっているのですから、問題ないでしょう(笑)
ただ、警備はお願いしますよ。」
「「御意」」
似ていると言う事で、出演のオファーが何件かあったが、
雅子が出る必要はないと拒否して急速に騒動も収まっていった。
一見、ただの我がままの様にも見えるのだが、
彼女の視線は核心の様なモノを見据えている感じがする気がした。
一方、明菜の方には大物と呼ばれる作詞家や作曲家から打診が来ている!
本来なら明菜からお願いする立場なのに、
相手側から提供の誘いを受け、明菜自身も光栄と喜んでいた。
「どうでしょうか?」
「どうでしょうかって、光栄で選べないよ?」
「独りに決める必要はないでしょうが、手当たり次第って言うのもね・・・」
「そうだよね・・・」
雅子と違って明菜は謙虚と言うか、我を出さないと言うか、
何かを恐れているのか?怯えているのか?決断力が薄い様に見えてしまう。
「黒天!」
「は!」
「今回だけ、全員にお願いしましょう。」
「全員にございますか?」
「多少、問題事もありそうですが宜しくね♪」
「承知いたしました。」
打診を頂いてはいるが、レーベルも所属も違うので契約事が難儀する
それを承知で流人は黒天に纏める様にお願いした。
「全員で8名ですから、アルバムと思えば可能でしょう、
でもね明菜さん、今回だけですよ?」
「はい。」
今回だけと言う意味、
結果を出しなさいと言う意味でもある事を承知している明菜だった・・・
「流人が曲を提供すれば宜しいでしょう?」
「私の色に染めたくないんですよ」
「明菜さんも眷属なのだから望んでいるのでは?」
「お遊びではないですからね・・・」
雅子が明菜の本心を汲み取って流人に伝えるが、
流人は自分の限界を理由に拒み続けていた。
「一時的な流行歌を歌わせるつもりはないんですよ、
何年、何十年と続く曲、
後世の歌い手が歌いたくなる曲を明菜に歌って欲しい。」
「それを流人が作ればいいのよ?」
「私には出来ないですよ、そこまでの才はございません。」
「あの8名なら作れるの?」
「どうでしょうかね? 多分無理でしょう・・・今回はね」
「今回は?」
「どの様な曲を提供したいのか? 抑々明菜をどう思っているのか?
分かりませんから、本気なのか?冷やかしなのか?」
打診を出した者達は全員、明菜に提供したいと言うだけで
どんな曲なのか? サンプルも思いも伝わって来なかった、
曲作りの違いとも考えられるが、前の達郎の様な強さを感じ取れなかった。
「まだ早いですけど、有力な作詞家は何人か目処はあるんですけどね♪」
「そうなの?」
「まだ強引にお願い出来る程の仲ではないのでもう少し時間が欲しいのです。」
「なんだ、ちゃんと考えているんだぁ」
「当然でしょう、私の眷属なのですから(笑)」
「それなら、 私も考えて欲しいよね?」
「雅子さんは・・・」
「楽しみにしてます♪」
考えていない訳ではない、ただ元大女優だった雅子を遊びで使っていいのか?
その気持ちが戸惑いになっているが、
明菜の思いに載せて雅子の気持ちを伝えていた雅子に安堵し、
どうやって遊ぶかを色々思案し始める流人でした。
「紅丸、ウチと友好的な企業ってどの程度あるの?」
「友好的にございますか?
連盟に署名している企業数は100を超えておりますが?」
「その中で、飲料メーカーってあるの?」
「ございます。」
「そこに、CMを作らせて欲しいってお願い出来ないかな?」
「流人様自らCMをお作りになられるのでございますか?」
「私は出ませんが、雅子を使いたいと思ってます。」
飲料メーカーに雅子を起用したいと告げる流人、
紅丸は流人の望みを聞き入れながら協力企業の選別を始める・・・
「私のお披露目はCMかしら?」
「お披露目は、音楽祭ですよ(笑)」
「音楽祭?」
「はい、私と一緒に舞いましょう♪」
「急なのね(笑)」
「「「(笑)」」」
どういう流れで急にそうなったのか?
先程迄の余裕が嘘の様に消えた雅子が慌て、その様子を明菜や紅丸達が笑う
「雅子ちゃん(笑) それが流人なのよ♪♪」
「流人様らしゅございます(笑)」
「って事で、紅丸、私も出演しますから音楽祭の方お願いね?」
「御意♪」
クリスマス前の打ち合わせを終えて身内だけの宴を行う・・・
希空達にプレゼント、
革製のマジソンバックとMA-1風ジャケットとキャップ!
本来のマジソンバックはビニール製だが、
環境に配慮し長年使い続けて欲しいと言う思いから、
MA-1もナイロン製ではなく敢えて革製に戻したジャケットだけど、
超極薄で軽量の強化革製の特注品で、
背中にはシルバーバックのキャラ、
バックとキャップには大きくZipanguのロゴが書かれていた。
相変わらず外出する様子が見られない希空達だけど、
ゲーム関係のイベントなどへ出向く回数も増えてきているそうなので、
安全面も兼ねのプレゼントにしていた。
PCゲームを中心に、家庭用ゲーム機なども好んで遊んでいる希空達、
特に国内対応が行われたCOD2は色々トラブルが多発、
誤訳などが多くて意味が理解出来ない程酷く、
希空達が匿名でMODを提供する程のお粗末さだったが、
それでも楽しく遊んでいた。
「需要の少ない日本語対応だからね・・・」
「仕方ないよ、コスト掛ける需要がないもんね」
「でもMOD対応は早かったよね♪」
「「そうだね♪♪」」
ゲーム人口は少なくないがPCゲームとなると格段に少なく、
態々日本語対応などしても需要が望めない為、
国内販売を行わない企業も現れていた。
「ガラパゴス現象ですか?」
「うん・・・」
「でもね・・・大丈夫だよね♪♪」
「うん♪♪ 僕達がカバーするからね?」
「「うん♪♪」」
海外企業も日本を無視して事業展開を考えてはいない、
ただ、コスト面で採算が薄い為に敬遠している・・・そこで、
プロジェクトRがサポート協力を申し出ると数社の企業が承諾、
MODなどで対応出来る様にプログラムを公開したり提供して頂けるので
数日で日本語対応が可能になった。
「流人♪ 来年かな?」
「そうだね♪ 発売延期も考えられるけど夏迄には発売されると思うよ♪」
「4人で遊べるね♪」
「「うん♪♪」」
なにやら楽しいゲームが発売される様子、
動画配信も兼ねて一緒にプレーするみたいでした。
「来年は忙しそうですね(笑)」
「「「「「(笑)」」」」」
クリスマスケーキを食しながら、プロジェクトRのCMを見て、
雅子の感想や希空達の意見を受けて、年一回のCMを夏にも行う事として
夏は雅子を主にCMを作る事にした・・・。
「本当に、来年から忙しいですが皆さんお願いしますよ♪♪(笑)」
「「「はぁ〜い♪♪」」」
「「(笑)」」




