第二百九十六話 買い物
今までは素材の良さを重視して、
シンプルなデザインが多かったsocietyRの商品、
本館の完成を基に、多彩なデザインの商品が並ぶ様に変わって行く
1階のフロアにはクリスマスツリーが飾られて、
周辺には関連の商品が並び、
着心地の良い綿のルームウェア、今回は白と赤のボーダーや、白と茶、
黒と茶、赤と黒、などのボーダー色の衣類が多数並べられていた。
ただ他所のお店と違うのは完全会員制を執っているので、
会員以外は入場出来ないし、特別室がいくつか設けられていて、
誰でもゆっくりと安心して買い物に集中出来る内装になっていた。
「流人! 色々あり過ぎだよ♪ 選べないよぉ♪♪」
「全部買ったら破産するよぉ〜」
「ねぇ〜流人! このツリーも売り物なの?」
「毎年アレンジしながら販売する限定品ですよ(笑)」
「「「限定!♪♪」」」
オープニング祝いに駆けつけたメンバー達が店内を散策しながら
商品を物色していた。
市場調査の結果、限定と言う言葉に弱い事が分かったこの国の民達に
流人達も限定商品を提供して、
購買欲を促進させる方針に少しずつ変えて行っていた。
「私、 このツリー買うわ(大笑)」
「和っ子ちゃん!」
「和っ子! これ10万だよ!?」
一番クリスマスに関心の薄そうな和っ子さんが、
いきなりツリーを購入すると言い出したのでメンバーがびっくりしていた!
「なによ! 私だってクリスマスを実感したいのよ(大笑)
たださぁ〜、組み立てたり片付けたりするの面倒じゃん、
これだったら出しっ放しでもインテリアとして置いて置けそうじゃん(大笑)」
「なるほどね・・・ちょっと大きいけどケースに入っているから、
埃とか気にしなくて良さそうだよね(笑)」
「そうなのよ、 掃除しなくて良さそうでしょう(大笑)」
「綿の雪とか絶対掃除機で吸い込んじゃうよね(笑)」
「ある♪ある♪」
「そう言う目的でケースに入れている訳ではないんですけどね(笑)」
毎年500個限定で発売して、
少しずつデザインや色合いなどを変化させて行くので、
いつか気に入ったツリーがあったら購入して頂ければと考えていた。
今年のモデルはクリスマスカラー、
樹木の緑と雪の白に、赤のクリスタルの装飾を
イルミネーションが美しく照らしている王道的なツリーだった。
匠ブランドでも限定販売を行っているが、
こちらは微細とは言っても本物の宝石を使い、
宝飾品全てを一つ一つ手作業で研磨した一品ばかり、
その為値段も1億円と破格の値段なのだが既に完売していた。
匠ブランドの限定クリスマスツリーは、
限定100個だが、高い研磨技術と高品質の宝石を使用しているので、
余裕のある富裕層には安価と思える値段だった。
「それでも1億円ですよ?」
「殆ど来年のツリーも予約しておったぞ!」
「噂を聞きつけて顧客以外からも問い合わせが来てたそうだぞ!」
「今では、匠の商品を購入出来る事が、
富裕層のステータスになりつつあるからのぉ」
ある国の石油王がダイニングテーブルと椅子を20脚を購入したのだが、
現物を受け取ると早々に椅子に張られている革の色が気に入らないとクレームが!
職人達が急遽現地へ赴き王様に伺うと、
自宅の壁や環境の中ではもう少し優しい色合いが良かったと言うので、
色の要望を細かく確認して僅か1週間で20脚全ての革の張り替えを行った!
王様はこの行為に大変満足と好感を抱き、
費用を全額負担すると申し出たが、職人達は意思疎通の至らなさを詫びて
代金は一切受け取らなかった。
この事が顧客達の間で話題となり、
一流ブランドとしての品位と対応を持っていると評価を受け、
認知度が高まり知名度も広まっていった!
「私だったら、その王様と国を消滅させてますけど(怒)」
「そう怒るな!」
「国王に悪気はなかったそうだ!」
「砂漠の中ではのぉ、微妙だったのだろう(笑)」
嫌がらせと言う訳ではなく、王族によくある我がままと言うだけで、
悪気も感じなかったしステータスで確認しても悪意は表示されていなかったので
職人達も誠実に対応したまでの事だった。
「限定100個、 富裕層には少ないのですかね?」
「そうだな、」
「1億程度の物なら容易く買える者など数多の数おるでなぁ」
「高級車と思えば安いし、女性は車より好むであろう(笑)」
「確かに・・・」
1個1億円、100個で100億円とかなりの収益に繋がるが、
希少性を重んじるのはこの国の民だけではなく富裕層にも当て嵌まる様だ。
店内の賑わいから上々の様子に見えるが、
流人は友里の意見を重視しているので、
友里に一つ一つ商品の確認と感想を聞く・・・
「ボーダー柄は受け入れられるでしょうかね?」
「幅が広いのは狙いなの?」
「パンツ系だと足が短く見えるそうなので、広めのラインにしてみました。」
「色合いは可愛いと思う、
特に白と赤のボーダーはクリスマスにぴったりだよね♪♪」
「他は地味でしょうか?」
「前に動物系の商品作ったでしょう?
あの時みたいに、パンダ柄とかの方が受け入れやすいかなぁ・・・」
「なるほど・・・でもボーダーではないよね?」
「そんなに拘るんだぁ?」
「師匠のコントでね、囚人コントがあってさぁ・・・」
コント内で来ている囚人服をモデルやアイドルに着せたら可愛いと思った流人、
開局前に市場の流れを生み出したいと思っていた。
「囚人服には見えないよぉ(笑)」
「なんとなくでいいんですよ♪ 可愛い囚人ですから(笑)」
「OK♪ 色々注目しておくぅ♪♪」
「お願いしますね(笑)」
友里にはもう一つ意見を聞きたくブランケットコーナーへ連れて行く、
「ボア生地なんですが、何種類か用意してみたので感想を聞きたいのですが?」
「モコモコね♪♪」
手で確認しながら感触を確かめる友里、
「ボアって下地がコットンやポリで上がアクリル製が多いけど、
流人のところだけ全部綿なんだよね?」
「品種改良の綿花は独占してますから、他では難しいでしょうね(笑)」
「そうなんだ・・・これ! これが一番気持ちいい♪」
「それですか? 世間ではプードルボアとかプードルファーとか言いますね?」
「プードルって犬の?」
「はい、その毛並みに似ているそうです。」
「たしかに、これ! いいよぉ♪♪」
久しぶりに友里の高評価だったので、流人がこの生地で
ルームウェアを作ったらどうか?っと聞くと「絶対買う!」の即答だった。
流石に今シーズンは無理があるので、春以降の生産を考え、
通気性の良い素材と発汗製の良い素材など色々配合を考えていた。
その他にも好評だったのがコートやジャケットで、
他社でもジャケットに注目を置いているそうだ!
「このコート可愛い♪」
友里が手に取ったのは、キャメルの8分コート、
背中や脇の折り目の記事がダークブラウンに色分けされている。
「ボタンが大きいね♪」
「悴んだ手でも扱える様に大きめにしました♪」
「実用性なんだね(笑)」
「大きい方が可愛いでしょう(笑)」
「うん♪♪」
太いベルトや大きいアクセサリーの流行りが来るそうで、
その流れにも十分似合うコーディネートが出来ると楽しそうに説明していた。
その他にも、スーツやダッフルコートなど、
友里の購買欲はまさにセレブだった!・・・(汗)
「それにしても一気に商品が増えたね?」
「はい♪ 本館の大きさに合わせて大変でした(笑)」
「そうだよね・・・」
数店から十数店は余裕で入れるフロアの広さ、
それを1〜3階全部societyRのショップで抑えている。
本館と言う名に相応しい店舗だが、普通のアパレル業者は絶対にしないだろ
流人の常識だから・・・友里も納得していた。
友里に付き添って色々意見を聞いて時間が過ぎ、
他のメンバー達の買い物が終わった様だ!
「流人!」
「気に入った物は買えましたか?」
「「「「「うん♪♪」」」」」
「ってか流人、メンバー特典で3割も引いてくれたんだけど?」
「うん、いいのかな?」
「大丈夫ですよ(笑) みなさん当社のメンバー扱いですから(笑)」
友里だけでなく、
他のメンバー達からも刺激を受けて商品開発の参考になっているので、
社内価格を適用させていた。
「前に聞きませんでしたか? 10万円の商品と3割引、
どちらがいいでしょうかってね?」
「「「あ!」」」
「言ってたね(大笑)」
「忘れてたわぁ(笑)」
「みなさん3割引の方が良かった様ですね(笑)」
「「「「(笑)」」」」
「(大笑)」
年数回のプレゼントを廃止して、好きな物を3割引で購入出来る、
流人としては複雑だったが、品揃えを充実した事で喜ばれていた。




