第二百八十四話 諸事情
北大地さんの男気とプライドに感服、
楽しい花見を終える事が出来た流人が音楽の楽しさをもっと理解したく、
イベントを行う為にも島の状況が気になっていた。
噴火は落ち着き、キットの説明では、
地脈からのエネルギーの供給も無くなったので分類上は死火山に当たるそうだ。
ヘリで現地へ向かう流人達だったが、早々に流人は認識を改めることとなる!
島の面積は86k㎡、諸島の中で一番大きい大島より一回り小さい感じで、
サラ様に頂いた秘匿島よりはるかに小さいからなにも問題がないと思っていた。
しかし現実は、途中上空から見た大島よりはるかに大きく、
とても民間の所有島の大きさではなかった!
「86でしたよね?(汗)」
「島の面積はその程度にございます。」
「島の面積・・・なるほどね(汗)」
流人が選んだこの場所は、北東と南東、そして西側に海底火山が眠っていたが、
中央の突起物の様だった岩礁に、流人が無理矢理地脈を繋げた為、
周囲にあった3つの火山も目覚め誘発し噴火した!
その為海上には3つの噴火口らしい場所が確認出来る、
一つは大きな山の様な形をしていて、
もう一つはドーム情の円形上に盛り上がっている、
そしてもう一つはカルデラ大地となって大きく凹んでいた為、
海水が入って湾の様な地形になっていた。
「凹んだ為、面積が減ったんですね?」
「はい、 ただカルデラの地形が良い具合に浅瀬となっておりまして、
海水浴なども可能になっております。」
カルデラの深さは浅いところで数m、深場でも数十mの深さなので
波も低く、流れも穏やかなので安心して水遊びが楽しめる。
「当然ですけど岩ばかりですから、砂浜は無いですよね?」
「それも製造する様にございます。」
「砂浜を?」
海流に流されない様に、海底に返の様な加工を行い、
セラミックで人口の砂を造り砂浜を造る計画であると紅丸が説明していた。
「凄い量だよね・・・」
「はい、潮の流れや海流を考慮しますと、
カルデラの中でしか砂浜は維持出来ないそうです。」
「って事はここ1箇所って事だけど・・・それでもね(汗)」
「はい、かなりの経費が掛かると思います。」
海をゆっくりと見渡すと沖合に3隻の船が止まっている!
「なんでしょうかね? あの船は?」
「海上保安庁の警備艦と、政府が調達した視察船、
そして国際火山研究チームの調査船にございます。」
「乗り込んで来るの?」
「それを防ぐ為に警備艦が見張っているのです。」
後に歴史的やらかしと称される官僚の怠慢と失態が、
この噴火の軽視と職務怠慢だった。
本来なら噴火し新たに出現した島は国に所有権があるのだが、
再三のプロジェクトRからの問い合わせに対して冷遇と暴挙を行い、
本来なら国に権利がある利権を放棄してプロジェクトR譲渡してしまっていた。
「返却を求めてこないのですか?」
「来ましたが・・・断りました(笑)」
「あの様な傲慢な態度を繰り返していたくせに、どの面下げて返せと申すか(笑)」
勿論、買取も申し出て来た様だが、当然折り合いなど付くはずがない、
元々小さな島が欲しかった流人達だから、
少々・・・かなり大きくても、手放す気は無かった。
「因みに、買い取り値っていくらだったの?」
「島の購入価格の10倍6億円にございます。」
「冗談でしょう?」
「「(笑)」」
黒天も紅丸も笑っていた♪♪
もう一つ気になる船、国際火山研究チームの調査船、
何故態々調査しに来たのか?流人には理解出来ないでいたが、
キットが分かりやすく説いてくれた。
流人の魔法の影響もあるのだが、
この島にはいくつもの奇跡的現象が残っていると言う、
一つは、この島の形で、これだけ密接な状況下で三種類の火山が存在すること
山のままの形の火山と、溶岩ドーム状の火山、そしてカルデラとして崩壊した火山
別々の場所なら多々あるが1箇所に集まっているのは世界中でここだけらしい。
次に、火山の威力だと言う。
火山の威力も、地震の様にレベル分けしてあり、
今回の噴火はカテゴリー7以上と推測していた!
その理由は、これだけの島が誕生しているのだから当然なのだが、
普通ならこれほど急速に終息する事が珍しい上に、被害がほとんど皆無だった点だ!
「カテゴリー7だとね、地球規模の大災害で種の絶滅もありえるんだよ。」
「それが起こらなかったから珍しいって事?」
「そうだね、流人の魔法と神々の加護のおかげって言っても
科学者には理解出来ないでしょう♪♪」
「確かにね・・・そのカテゴリー7とは?」
生物の全滅またはそれに近い状態の噴火をカテゴリ8とし、
7は人類史上記録で確認出来る大災害を7としていた。
「過去1万年で5回、カテゴリー7の噴火が確認されて今回が6回目って事だね」
「1万年で6回・・・」
「研究家達が存在してからは初めてのカエゴリー7だから、
研究者達も集まって来ているんだよ♪♪」
「なるほど・・・因みにキット、研究調査を認めたら?」
「こんど100年は使えないよこの島は、もしかしたら永久にかな♪♪」
「うん、却下だね(笑)」
残念だけど直ぐにでも利用したくて現地に赴いた流人、
これから数百年もお預けを喰らって我慢出来るはずがなかった!
「キット、この島の開発計画はどうなっているの?」
「それだけど・・・」
キットが流人の脳裏に直接イメージを送る、火山の山を残して、
溶岩ドームの方角に2kmの住居用の施設ドームを建築、
その他にも、農業用のドームを2つ設置して作物の生産を行う。
また、カルデラの海底には珊瑚を繁殖させて海中散歩などが楽しめる場所、
セラミックの砂浜を敷き海辺で遊べる場所を設置、
海流や風化対策の為に、魔石の使用と、溶岩を加工して浸食を防ぐ工事を行う。
「2kmの住居用のドーム?」
「台風や災害対策で野晒しはリスクが高いんだ♪
ドーム上の防御壁で守る事が必要だと思う。」
「なるほどね・・・それは高額なんだ?」
「うん」
「施工は何時って考えているのかな?」
「シミュレーションでは来年の八月以降かな?」
「早いけど・・・夏には間に合いませんかね。」
「流人、夏にこの場所は暑すぎるよ?」
「そうにございますね、30度以上40度近くになりましょう?」
「・・・そうかぁ、少し後の方がいいんだね?」
「流人がしたいと思っている番組配信の開始は年末を想定しているから♪♪」
「年末、 色々と重なりそうですが?」
「クリスマスの前だったら?」
「24日ですか? 無理がありますね?」
「それだったらイブイブの23日なら大丈夫でしょう?」
「イブイブ・・・面白いですね♪♪ イブイブの音楽祭ですか?」
「早めにメンバーを抑えておくといいよ♪♪」
「抑えて無理でしたは通用しませんよ? 大丈夫なんですね?」
「僕は流人の眷族だからね♪ 流人の望みを叶えるよ♪♪」
流人だけでない、黒天も紅丸の既に来年の23日に合わせて動いていた。
「お願いしましたよ(笑)」
「「「御意♪」」」
もう一つキットから提案があった、
火山調査チームを1ヶ月間だけ受け入れてはどうかと言う
「ず〜っと、あそこに居られても困るでしょう?」
「それはそうだけど、居座られても・・・ねぇ?」
「契約書を書かせて厳守させる、それと資源調査はさせないこと。」
この島に資源があるかは分からないが、恐らくかなり有力な資源が眠っている
それは、溶岩の質などを見ればキットなら簡単に割り出す事が出来ていた。
「研究チームも分かるでしょう?」
「あらかじめ、紛争の火種を作るのかって警告するんだよ♪」
「火種・・・尖閣ですか。」
国連が勝手に調査して海底に豊富な資源が眠っていると発表!
その結果、隣国が次々と領有を主張し始め争いの火種となっていた。
「◯◯な調査団が調査さえしなければ穏やかな地域だったんだ、
それを無視して研究したいって言うなら排除すればいい♪」
「なるほど・・・3ヶ月ではどうでしょうかね?」
「大丈夫だよ、動ける様になるのは選挙の後、
通信回線の設置が完了した後だからね♪♪」
「では黒天、3ヶ月譲歩しますので、宜しく御願いしますね?」
「我にございますか? 紅丸の方が・・・」
「紅丸には都と国の方をお願いします。」
近隣の島の人口は多くて2,000〜3,000人、
此処にプロジェクトRの関係者が定住すると人口が大きく変わり
島民達は不安になるだろうと言う。
「選挙では我々に勝てないですからね3,000名では?」
「確かに、」
「だからと言って、長になって島の運営を行うつもりもございませんから
その辺の協議を紅丸任せましたよ(笑)」
「・・・は! 黒天! 代わってやってもよいぞ!?」
「馬鹿を申せ! 流人様がお決めになった事だ、我は研究チームを担当する♪」
どう見ても、大変な任務は・・・。




