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第二百四十九話 一時の安らぎと一瞬の備えの為に

 台風14号や国政選挙など、国内で大きな話題となっていた数週間、

流人達が活動する事はなく放置状態、

幸い近県では大災害はなかったが、流人の指示が無いまま時が過ぎ、


 与党が圧勝で第三次内閣が発足、郵政民営化という愚行を促進していた。


 生霊との出会い以降、

流人は大人しく、1人で警備を担当している渡邉は、

暇でのんびり出来るが、陣内の事を考えると複雑な気分だった。


 そんな感情も知らずに、流人はただ毎日ぼ〜っとしていた。


 「名前・・・聞いておけばよかったです。」

「今からでも調べればよかろう?」

「病院名は分かっておるのだから」

「そうじゃ! キットに命令すれば直ぐ判明するであろう?」

「そうですよ!♪」

 「「「「キット!」」」」


 「駄目ですよ、完全なストーカーじゃないですか!」

「自覚はしておるのか(笑)」

「自分だけの思いだけで暴走するのがストーカーじゃ!」

「今の流人となにが違うのだ?」

 「自制心があります(怒)」


「「「いつまでもつかのぉ(笑)」」」

 「(怒)」


 キットは既に情報を得ているが流人には教えていない、

眷族として主人の意思を尊重する事が忠義だと漫画で学習しているから、

余計な親切はあえて行わなかった。


「流人! 鎮魂祭には行かないのか?」

 「鎮魂祭ですか・・・どうしましょうかね?」


 どうしましょうかねっと言う時は興味がないと言う返事に等しい

渡邉も時を経てその位の事は理解出来ていた。


「何かあったのか?」

 「人の道理とはなんでしょうね?」

「ちょっと待て! そう言う難しい事は俺に聞くな!」

 「えぇ〜! 邉さんが先に振ったのでしょう?」

「そうだけどよぉ、 そう言う重いのは苦手だから・・・ごめん。」


 あの身体では、保って2〜3年酷使すればそれ以下

浄化と再生と治癒で回復は可能だが、神の意思に背く行為に

魔力は反応せず、霊力も発動しない。


 自分の命を投じれば・・・無駄な考えでしたね。


「其方は所詮モノだからな」

「今ある命はお二方の御意思によるものだからの」

「二方の所有モノである以上、出来ぬ相談だの」

 「分かってます。」


「気分転換に鎮魂祭に行ってみてはどうかな?」

「そうじゃ! 心を鎮めて来い!」

「そうじゃ! 邪念を払って来るがよいぞ!」

 「人を悪霊みたいに言わないでくださいよ!」


 「って事で、邉さん! 鎮魂祭行きますので準備お願いしますね?」

「! 行くのか・・・承知した、 準備しておくよ・・・行くのかよ?」

 

 部屋でピアノを弾く流人、

あの時のMを、色々とアレンジを変えて、あの生霊に合わせる様に・・・


 そんな姿を見兼ねたサラ様が現れた!

「流人!」

 「サラ様! お久しぶりにございます。」

「なにが久しぶりだよ流人!」

 「・・・」

「あの者は、しばらく待て! よいな!」

 「ですが・・・」


「順番を守る事も大事だぞ流人!」

 「順番?」


 愛おしい流人に甘いサラ様とサーシャ様、それでも容認出来ない事もある

この世界は、この世界の神々の領分それを度々侵しては、

流石に対極神とて良心が痛む。


「あの者の救いは、命が未だあると言う事だ!

だが、それが問題でもあるのだよ。」


 「問題?」


 彼女を取り巻く大勢の人間、身内同様のスタッフや実際の家族だっている、

そんな中、彼女を救う事が正しいとは判断が出来ないとサラが説明する。


 「どうしてでしょうか?」

「あの場所に、親族はいたか? おらぬであろう? なれば何故おらなかった?」

 「さぁ・・・」

「あの医師も同様に、何故治療に専念しない?」

 「・・・」

「スタッフも同様じゃ、 何をしておった?」

 「・・・私欲の感情が伝わって来てましたが?」

「そうじゃ! あの者達にとっては商品でしかないのだあの女はなぁ」

 「商品・・・そんなぁ?」


「もうしばらく待っておれ! さすれば状況が変わるからのぉ」

 「状況がですか?」

「そうじゃ、あの女、流人が興味を持つのも頷けるほど健気だからな(笑)」

 「待てと・・・」

「そう長くではない、流人と出会いあの者の中での葛藤が大きくなったからなぁ」

 「葛藤が?」


「年内であろう、流人、受け入れの準備だけは仕手置くといいぞ(笑)」

 「年内、サラ様?」

「そなたの悲しい顔は妾もサーシャも見たくはないからのぉ(笑)」

 「ありがとうございます。」

「まだ早いぞ流人、 此度は神の意思は使えぬからな(笑)」


 そう告げてサラ様が去って行く!


 「年内・・・あと3ヶ月ですよ? 受け入れ準備とは?」

「そっちの準備は既に黒天とクロウが動いているよ♪」

 「黒天とクロウが?」


 現事務所と協議して、移籍金を払い彼女をプロジェクトRが引き受ける、

その為の協議を黒天が行っていた、

そして彼女に救うハイエナの処分はクロウが・・・


 「キット・・・いつから?」

「サラ様の命令でね♪」

 「彼女をウチで引き取るの?」

「うん、治癒や治療は出来ないけど、眠り続ける事は可能だよ♪」

 「眠り続ける?」

「サーシャ様がね、苦痛なく身体を永眠させる事は許される行為だって♪」

 「サーシャ様が?」

「そう、そして生霊に新しい身体を与えればいいってね♪」

 「生霊に・・・新しい身体?」

「可能となるその一瞬に備えよだって♪」

 「その一瞬が来るのですね! 一瞬でも出来ると言う事ですね!」


 呆けていた流人に生気がみなぎり覇気が湧く!

 「その一瞬を! 必ず成し遂げましょう!」

「♪♪」


 

 

 ・・・数日後、鎮魂祭当日です。


 流人は赤爺の麓で花火を見る為に車で向かっている、

去年上空を飛行出来ない事を知らないでヘリで移動出来ず、

車の中で花火を見上げた教訓を生かして早めに移動していた。


 「邉さん・・・大丈夫ですか?」

「大丈夫だって!」

 道路はまだ、混雑していないので順調に進んでいるが、

流人達は朝早くから出立した為お腹が減って、

途中で昼食を取る事にしたのだが、

どこが美味しいのか?

先に到着した方がいいのか? 

全く分からず、ただ目的地に向かって走っていた。


「しょうがねぇだろ流人! 陣内が居ないんだから・・・」

 「群馬の美味しい郷土料理くらいは調べておいてくださいよ(怒)」

「・・・すまん。」

 「ぐんまっこに行けば、なにか食べられるんでしょうが・・・」


 最終的に目的地に到着後、近場で探す事にしたのだが、

ぐんまっこの周辺には、お洒落なカフェやお洒落なレストランはあるが

流人が望む様な郷土料理店は記憶になかった。


「確かにあの辺りは、若者向けのお店しかなかったよなぁ・・・」

 「ウチに集まる若い子目当てのお店ばかりですよ(怒)」

「そう怒るなって、大体流人だってPCどうしたんだよPCは?」

 「色々準備してたら壊れちゃったんだもん!」

「だもん!じゃないだろう、こういう時の為にPCだろう?」

 「む〜 そうですね・・・ごめんなさい。」


 キ〜!

「謝るなよ! びっくりして事故るところだったろ!」

 「なんですか! 反省して素直に謝ったのに(怒)」

「柄にない事するな! (笑)」

 「もぉ〜!」

「おぉ〜流人! 牛肉食おう牛肉♪ 

上州牛って言やぁ昔っから有名だからな(笑)」

 「お肉の美味しいお店は?」

「・・・到着して地元の人間に聞いて来るわ(汗)」

 「お願いします。♪♪」


 そんな中、車内のテレビに芸能ニュースが緊急で入って来た!

「臨時ニュースです、 歌手◯◯明菜さんの事務所が、今月7月より・・・」


 今月7月より行われていたライブツアー、

そして、カバーアルバム3作をもって解散、ファンクラブも同日をもって解散、

入会している会員の皆様には、

入会金と今年度の年会費を全員に返却すると発表が知らされ、

◯◯明菜さんの引退が緊急で報じられていた。


「まじかよ・・・俺、ファンクラブ入っていたのによ!」

 「邉さん、知っているのですかこの人?」

「知っているって、前に言ったろ! 俺は明菜ちゃん派だ!ってな」

 「そんなん事昔言ってましてね♪」


 師走の都内の道を、白バイに先導していただきながら移動していた時に

そんな話を3人でしていた事を思い出していた。


「免疫不全症でよ、

コンサートは無理が重なるから心配していたんだけど引退かぁ」

 「ごめんね」

「? なんで流人が謝るんだ?」


 流人が出会った生霊が、まさか邉さんが大ファンだったとは知らず、

サラ様の状況の変化を待てっと言う意味、大勢の彼女のファンの為、

二度とファンを裏切らない為に流人に待てと諭していた事を知った。


「それにしてもよぉ・・・ファンクラブだけは存続してくんね〜かな

維持する人がいるかぁ・・・」


 間近で彼女のファンの声が聞け、

流人は出来るだけ希望に応えたいと思っていた。


 しばらく元気が消えていた渡邉だったが、到着早々どこかへ行き

しばらくして戻って来ると元気が戻っていた!

「流人! 聞いて来たぞ! ◯◯屋だ!◯◯屋!」

 「さっきまで元気なかったのに・・・げんきんですね(笑)」

「別に死んじまった訳じゃないしよ、前の時よりいいしな♪」

 「前の時・・・ですか」

「あぁ・・・」

 彼女だけでない、大勢のファンの心にも自殺の事は、

深い傷として残っている、それでけ彼女のとった行動は大罪に等しい・・・。


 車で数分の駅の近くにそのお店はあった。

予約をしていな方が中に入れ注文する事が出来たので、

すき焼きと味噌田楽を注文した。


 お店のテレビには、彼女の引退報道が流れていた。

「芸能界追放みたいな圧力を掛けていたくせに、引退報道は盛大にするんだな(怒)」

 「追放?」

「あぁ〜噂だけどな、どっかの企業が圧力掛けて、

テレビに出演させない様にしているってなファンの間では周知だったよ」

 「三賢者?」

「「「待て!調べる!」」」


 免疫不全の為、体調を壊しやすいので、スケジュール調整が難しい、

キャンセルが頻繁に続いた事もあり、スポンサーが否定している事があったが

圧力らしい圧力は見られなかった。


「噂の様じゃ」

「我らもマスコミに踊らされておるぞ!」

「渡邉ゴシップじゃ!」

 「なるほど・・・複雑ですね。(苦笑)」


 複雑な気分だったが、テーブルに出されたすき焼きと味噌田楽は、

単純に美味かった♪♪


あくまで架空のお話です。

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