第二百十三話 ストレス対策
埋め立て開発で忙しい中、
マスコミを警戒して自宅でおとなしくしている流人、
自身が投稿している動画が、想像以上に不人気で落ち込んでもいた。
「そう気にするな流人(笑)」
「そうだぞ、まだ配信を始めたばかりではないか(笑)」
「そのうち視聴回数も増えてこよう(笑)」
三賢者に慰められているが、凹みが激しい流人だった。
「登録者数が少な過ぎません?」
「確かに・・・少ないのぉ」
「身内だけでももう少しはありそうじゃがな(笑)」
「まぁ(笑) そのうちじゃ(笑)そのうち(笑)」
「それよりもじゃ!」
「そうじゃ、今後はどうするつもりなのだ?」
「次のゲームの許可もいただいておらんのであろう?」
どうしても、ネタバレに繋がる為、
RPG系のゲーム開発会社は、配信許可がいただけないでいた。
「どうせね、視聴回数も少ないですから、
無理して許可をいただいてもね・・・。」
「そう考えると、フロムさんは良心的であったな♪」
「そうだな♪ 」
「忘れてはならぬ恩であるな♪」
「そうですね♪」
やはり表の世界は向いていないと自覚した流人、
配信する側より視る側の方が向いていると・・・思い。
そして希空達の、
自分で作る物では、楽しみが半減すると言う意味も、
なんとなく実感した流人でした。
societyRの代表を任せていたティナが急に現れ、
落ち込んでいる流人に絡む様に愚痴を吐き散らしていた!
「もうぉ〜限界じゃ! なんなのじゃ人間とは!
下等にも限度があるであろう!」
数カ国の企業から、支店もしくは合弁会社を行いたいとの申し出が、
何回も何回も繰り返し訪れているそうで、
ティナさんも最初の内は丁重に断りを伝えていたが我慢の限界が来た様だ!
「流人! 其方の会社であろう(怒) なんとかいたせ! 妾はもう嫌じゃ!」
「どこの国からの誘いが多いのですか?」
「うむ、 アジアじゃ! C国とK国じゃ!」
「あぁ〜・・・」
あぁ〜っと言ったまま、何も言わない流人に、
なんとかして欲しいと頼むティナ!
すると三賢者がティナに助言を伝える様に流人に説く。
「ティナさんも眷属を使えますよね?」
「当然じゃ! 現に使っておるであろう」
「それじゃ、ティナさんの役割を眷属に任せては如何でしょうか?」
「眷属に・・・?」
来客、会談、商談、全てをティナが受け持つのではなく、
間に眷属を挟んで、本当に必要な相手だけと対面する事にしてはどうだと伝えた。
「それは、妾も考えたのじゃ!
然し、相手の姑息さを見抜ける眷属はおらんのじゃ!」
「なるほど・・・。」
抑々、精霊とは純粋で穢れの無い種族、
ゴブリン並みに姑息な取引を持ちかけて来る人間に敵うはずがない
それを理解していた為にティナ自身が対応していたのだが、
ティナ自身も精霊である為に、穢れ過ぎる相手に嫌気を差していた。
「それだったら、僕を間に入れましょうか?」
「僕? 妾に従う事を許すのか?」
「そうですね・・・でも魔族ならどうでしょうかね?」
「魔族かぁ・・・あまり好かんなぁ」
「ティナさんが嫌っては仕える方も可哀想ですよ!」
「そうであるな、 二体程借り受けよう!」
「二体でいいなら、調度いいのが居ましたね♪」
結界を張り、魔法陣を開き召喚の儀を行う
「我が声に応えよ! Mの二人よ!」
魔法陣から2つの真っ黒い光が浮かび上がり爆ぜる!
「あれ?」
「「此度はこの様な貧弱な装いの方が流人様のお気に召しますかと・・・。」」
褐色の肌に、モデルの様な細身の長身に透き通る黒髪の女性が、
流人達の前に跪き、畏まっていた。
「ティナさん、どうでしょうかね?」
「見た目は上々だが、なんじゃこの異様な魔力は?」
「元々は邪神だった二人ですがね、今はとっても献身的な僕なんですよ♪」
「邪神・・・申し分ないが、妾に仕えるかのぉ?」
「二人はどうかな?
私の為に、暫くの間この精霊女王に仕えて欲しいんだけど?」
「なんと! 流人様のお望みでございましたら、
例えゴブリンにでもお仕えいたしましょう(笑)」
「同じく、此度は精霊女王様とお優しいお方を御指名していただけるとは、
流人様の壮大な慈悲を感じ、感謝いたします♪♪」
「るっ流人! だっ大丈夫なのか、この者達は?」
「大丈夫だと思いますよ(笑)」
「これは、これは、光の大精霊女王様にございませんか、
暫しの間、お世話になります。」
「我も同じく、なんなりと御申し付けくださいませ。」
「承・・承知した、よろしくな・・・。」
「そうだ♪ 二人に褒美として名をあげよう♪」
「その様な、褒美など」
「まだ尽くしてもおりませんのに・・・」
「大丈夫だよ、期待しているからね♪ 裏切れば・・・」
「「ひぃ!」」
「(笑)」
「小麦」 1985年11月11日
[国 籍] ア◯◯カ合衆国
[身 長] 170cm
元鬼神として、人々に恐れられていた魔神、
粗暴な行動を繰り返し邪神と化した時に流人に囚われる、
永い時をかけ改心流人に服従を誓い下僕となり解放された、琥珀の兄貴分
「琥珀] 1985年11月11日
[国 籍] ア◯◯カ合衆国
[身 長] 172cm
元鬼神として、人々に恐れられていた魔神、
兄貴分の小麦に同調して邪神となるが流人に囚われ、
小麦同様服従を誓い下僕となり解放された。小麦の弟分
「見た目も女性だからね、言葉使いも気をつけてね、
それと、殺しは駄目だからね、分かっているよね?」
「おまかせください、外傷など一切残しません♪」
「流人様より永きに渡り直伝していただきましたので♪」
「人聞き悪いですよ(笑)」
ティナ、仕事内容や、人間関係、そして要注意人物などを教授していただき
小麦と琥珀が、ティナの秘書として雑用をこなす事になった。
「魔族も女性の姿になれるんですね?」
「あの二人が特別なのだろう(笑)」
「そうだな、貧弱な容姿など本来はなりたくないはずじゃがな」
「流人が喜ぶなら、本当にゴブリンにでも仕えよう(笑)」
「少々、闇に沈め過ぎましたかね(笑)・・・」
ストレスが眷属や僕達に与える影響が、
思いの外ダメージとして積み重なっている事に不安を感じ、
黒天達の様子が気になる流人、様子を伺いに二人を覗くと
会議室で深刻な様子を見せていた。
「黒天、紅丸?」
「「流人様!」」
「身体の方は大丈夫ですかね?」
「身体? はい、至って良好にございますが?」
「如何なさいましたか?」
ティナのストレスを話し、下僕を二人召喚した事を伝え
改めて二人に異常はないか尋ねる流人だった。
「そうですなぁ、
確かに人間との取り引きは腹立たしいと思う事もございますが、
所詮は人間にございますから(笑)」
「左様にございます、 内面を少々・・・にございます(笑)」
「なんだ、二人とも理解しているんだね♪♪(笑)」
「法に触れぬ方法なら、重々承知しております。」
「流人様、その辺は我らは得意分野にございますよ♪」
「クロウだけじゃないんだね!」
「まぁ・・・」
「彼奴には、かないませぬが・・・」
「それじゃ・・・何悩んでたの?」
「悩み? あぁ〜・・・」
埋立地の現状を確認していた黒天と紅丸だったが、
基礎の地盤が脆弱過ぎて脆いと言う。
「これでは、建物を強化しても無意味に等しく、
周囲の地表が沈下、もしくは液状化して大事に使用できません。」
「津波に対してだけ考慮しておりましたが・・・」
「それも、大規模の津波なら1〜2mの水没が予想されます。」
「その上、地面の沈下が起こりますと、車は移動できません。」
「ありゃ〜・・・不味いね(汗)」
流人も想定外の事、
土壌が廃棄物なので、汚染物質や汚水の処理が必要で、色々規制も監視も厳しい、
魔法で一気に解決って事が出来ないので困っていた。
「・・・一掃の事、公表しましょうか?」
「「え!」」
流人がとんでもない発想を提案した。
地盤を強化する為の対策として、地盤強化魔法を使いたい。
しかし、監視の目を潜って行う事が不可能なら、大々的に公開して、
工事をオープンで行えばいいと伝える。
「勿論、魔法陣や詠唱を公開するつもりはありませんよ、
似せた機械を作れるでしょう? 形だけの?」
「形だけ?」
「効果は、宜しいのでしょうか?」
「効果は、我々の魔法ですから・・・出来るよねキット?」
「魔法の発動機って事なら可能だよ♪」
「うん♪ それでいいじゃないですか?」
「なるほど・・・」
「我らにも理解出来ましたぞ♪」
「では、必要な装備の製作と、都への申請をお願いね?」
「流人様、もう一つ宜しいでしょうか?」
「紅丸、其方も同じ意見か、 これは・・・」
工事工程だけでなく、
その他の浄化施設なども魔道具を使い独自の製品に換える事を進言する。
「いいんじゃないの、都への説得が出来ればね♪♪」
「お任せください♪」
「御隠居様並みに説き伏せ見せましょう♪」
「ストレス溜めない様にね(笑)」
「「御意」」




