第百九十六話 演技と表現
新年会、ゲームを通じてメンバー同士も打ち解けた様で、
酒を酌み交わしの交友より若者達には向いていた様子でした。
酒好きは席に戻り酒を楽しみ、話が広がり・・・
飲めない未成年達は順位を気にせずゲームを続けていた。
肴の一品に、師匠が気になっていた。
「流人よぉ〜、 これ! 煮込みだよな? こんな物もで出るんだな♪」
「女子は苦手かも知れないですけど、私の得意料理ですから♪」
「!!」
「流人の?」
「流人って料理するの?」
「これ! 流人が作ったのかよ?」
「はい♪♪ やはり、もてなしは手料理でしょう(笑)」
流人の手料理に興味を示す女性陣が、多彩に盛られた料理の中で一品、
地味な彩の煮込みを試していた。
複数のモツとこんにゃくに、薬味ねぎの緑が鮮やかに映えていた!
「初めてかも♪」
「変わった食感だね?」
「グミみたいだけど・・・お肉なの?」
「そうだなぁ、女性は喰わねぇよなぁ(笑)」
「牛と豚の内臓ですよ、苦手な人もいるでしょう?」
「内臓肉ってもっと・・・臭いがね・・・あるよね?」
「これ・・・臭わないって言うかいい匂いだよね♪」
「赤味噌使ってますよね?」
「さすが!のん♪」
愛◯県出身ののん、地元の赤味噌の味には敏感だったようだ!
生姜と大蒜、赤味噌を入れる事で臭いを抑えているんです。
「のんちゃん♪食べた事あるの、この・・・煮込みだっけ?」
「煮込みは・・・初めてです、こんな料理があった事も初めて知りました。」
「愛◯には無いかな、関東には色々煮込みがあるけど、
私が好きなのは、群◯型の改良版です。」
群◯の煮込みに赤味噌やザラメ砂糖をアレンジして加えた、
流人オリジナルの煮込みでした。
「流人! これ駄目だわぁ(大笑)」
酒好きの和っ子さんだから、女子の中でも唯一好みだと思っていたのだが、
まさか和っ子さんから批判だ出るとは思っていなかった。
「駄目ですか和っ子さん?」
「駄目、駄目、味が濃過ぎて酒が負けてる!」
「あ! ごめん忘れてた!」
流人が慌てて宴会場を出て行く、
しばらくして戻って来た流人の手には一升瓶が2本持っていた。
「おまたせしました、こちらのお酒で試してください。」
流人が少し大きめのグラスに酒を注ぐと白濁した液体が!
「にごり酒・・・かぁ?」
「へぇ〜♪」
「この時期だけの限定です、温度管理が難しいので忘れてました(笑)」
酸化が早い為、
低温で保管する必要がある為に冷蔵庫に入れたまま忘れていた。
「私は少し苦手なタイプですが、和っ子さん! 合いますよ♪♪」
「どれ♪どれ♪ ・・・いい! 凄いこれ♪」
「ほぉ〜おぉ♪ こりゃぁ〜♪ 酒だな♪♪」
「お酒が苦手な子は、少しにした方がいいぞ(笑)」
「「「はぁ〜い♪♪」」」
不安がりながら少しずつ試す仕草が愛おしく感じるほど、
警戒しながら飲むと様々な感想が出て来た!
「甘いよね?」
「見た目も甘酒みたいだけど・・・お酒だよぉ♪」
「・・・ちょっと苦手かな」
「分かる、ザラザラした感じが・・・苦手かな。」
「私はそこがいいかなぁ♪ お酒を飲んでいるって感じだよね♪」
「へぇ〜 全然違うよね、同じ流人の会社なのにね♪」
蔵元でもまだ試作品であり商品化は考えていないが、
この季節の伝統的な酒を造り手も試してみたく、
特別に感想を得る為に流人が持参していたのだが、評判がいい事に驚いていた。
「流人はこう言う酒は苦手かい?(笑)」
「私は、飲み易いお酒が好きですね。」
「まぁ〜だ、まぁ〜だ♪子供よのぉお〜(笑)」
「酒好きならこれは当たりだよね(大笑)」
「和っ子!気をつけないと、明日来る奴だよこれは(笑)」
「そう♪そう♪ あぶないねぇ(大笑)」
流人の作った煮込みによく合い酒が進んでいった。
お腹もいっぱいになって、ゲームを続けている子達もいる中、
流人が友里に問う!
「温泉入りますけど、一緒に入ります?」
「え!」
流人からのいきなりの誘いに照れて動揺する友里に対して、
してやったり顔の流人の表情を流石に友里本人は見逃して赤くなっていた!
「あんた達、いつの間にそんな仲になっていたの?♪」
「なってません!(汗)」
「(笑) だって毎度ね、奇襲を受けるんだったら最初からね(笑)」
ようやく流人の顔からから揶揄われた事に気付いた友里が悔しがると、
更に勝ち誇った様に喜んでいた流人だったが!
「私も一緒に入りたい!」
「え!(汗)」
なんと夏歩ちゃんが混浴を望んで来た!
「夏歩ちゃんいつもお父さんとお風呂に入っているの?」
「全然入った事ないですよ♪」
「あの・・・ねぇ、 異性と一緒は流石にどうなんでしょうかね?(汗)」
「友里さんはいいのですか?」
「う・・・。」
「しょうがないわねぇ〜(大笑) 私も一緒に入ってあげるわよ(大笑)」
「それだったら私も一緒に入りたい♪」
「岡部さんまで?」
「優香も入るのかよぉ〜♪」
師匠が迷っていた。
結局何故か全員で混浴する事となり、自爆した流人、
「師匠!」
「俺は、いいってぇ〜・・・駄目だろう?」
「もぉ〜だらしないなぁ! けんちゃんも入るの!」
「だってよぉ・・・」
岡部さんには逆らえない東村だったが、流石に混浴だけは拒んでいた!
「番組だと思えばいいじゃん!」
「番組でも優香とは入っていないだろよぉ!」
「なんでよ!」
「なんでって・・・」
戦術的核兵器並みに強力なスタイルに東村も流人も取り乱していた。
「流人から誘ったんだから逃げないよね♪」
形勢逆転し有利な立場になった友里が流人を追い込むが、
諦めた流人は素直に露天風呂へ向かって行った。
「貸切ですから、水着を付けたくない人は着けなくていいですよ。」
「は〜い」
「水着を着ると寛げないのよね(笑)」
「分かる(大笑)」
「鼻緒さんとかは無理しないでくださいね?」
「菜々緒です!」
設計にも関わっていたが、露天風呂がこんなに狭く感じたのは初めてだった流人、
もう少し大きめにすればよかったと後悔していた。
「流人! お前よく平気だなぁ?」
「ここまで豪華絢爛なら俗欲は湧きませんよ(笑)」
トップモデルから人気女優に若手女優など30名と一緒に温泉に浸かる
贅沢な景色に何故か冷静にいられた。
「っで夏歩ちゃん! 何か聞きたいことがあったのでしょう?」
「え!・・・」
「じゃなきゃ自ら混浴を求めて来ないでしょう、若い子が(笑)」
「・・・聞きたい事があって・・・」
「なんですか? 混浴のお礼になんでもどうぞ?」
すると・・・、
「流人さんはお芝居とかしないのですか?」
「お芝居? 役者って事?」
「はい、 あれだけ凄い舞が出来るのに・・・」
音楽祭の時に舞った能面の男が流人だと知り、役者にならないのかと問うて来た
「そんな簡単な職業ではないでしょう、役者や女優とは?」
「でも・・・圧倒的だったから・・・。」
「そうねぇ、恐怖に包まれていたけど魅了されたよね♪」
「引き込まれるんだよね流人の舞や歌って♪」
「確かに、役者としては重要な才能だよね。」
流人の舞や歌を褒めている女子達に嬉しく思うが、
抑々、自由に自分が思う事を表現しているだけなので、
演出家や監督の要求する演技は出来ないと伝えた。
「確かに・・・そう言うの苦手そうだよね流人って」
「うん、 自由だからなんでも表現が出来るんだろうね♪」
納得していただけたと思っていたが、夏歩ちゃんも頑固だった!
「じゃぁ、流人さんが全てを手掛けたらどうなんですか?」
「全て?」
「好きな、演じたい作品を流人さんが書き、それを流人さんが演じたら?」
「凄い面倒だよねそれって(笑)」
「でも・・・私は共演してみたいです。」
夏歩ちゃんの強い眼差しが求めている物を伝えていた。
「芝居の共演ですか?」
「はい・・・」
「夏歩ちゃんは凄いね、」
「私は流人とは共演したくないわぁ」
「私も・・・断りたいよねぇ」
「なんでですか? 深っちゃんと美紀さんが拒否るとは思わなかった。」
「流人の演技に付いて行けないよね?」
「うん、演技力に差が有り過ぎて纏まらないと思うよ。」
「そんなに・・・酷いですかぁ・・・」
「「話聞いてました?」」
流人が冗談を交えていたが、どうやら本気で思っている様子だったので、
流人が厳しい言葉を二人に伝える!
「私の目では、この国の女優で深っちゃんと美紀さんは、
トップレベルの才能を持っていると思ってますので会に招いたのですよ♪」
「大丈夫です、いつか共演しましょう(笑)」
「私は?」
不安そうに問う夏歩ちゃん、
「夏歩ちゃんは13歳だから7年後に・・・10年後に考えましょう」
「未成年は駄目ですか?」
「キスしたいじゃん♪」
「え!」
「(笑)」
「流人! 子供を揶揄わない!」
「そうだぞ!」
「揶揄っていませんよ、
本気で夏歩ちゃんと共演するならキスシーンを入れたいと思ってます。(笑)」
「未成年でもキスはできます。」
「出来るけど、大人の表現をする為にキスするなら
大人になってからでいいでしょう♪」
「立派な女優になって待ってます。」
「おぉ〜♪」
少し意思疎通がズレていそうだが、夏歩ちゃんのやる気は本物なので流した。
「他に質問ある人いますかぁ?」
露天風呂で、質問大会を行って新年会は幕を閉じた・・・。




