第百六十七話 プレゼント
賑わい、大人達はお酒が入って和やかな雰囲気の中、
「「「ねぇ〜流人! プレゼント、開けてもいい?」」」
「いいですよ♪」
流人からいただいた袋を開けるとスタジアムジャンパーが入っており、
背中のマークが各々微妙に違っていた。
「希空は空をイメージして、希陸は大地、
希海は海をイメージして作っていただきました。」
パイロットの制服を着たゴリラ、迷彩服を着たゴリラ、水平の格好のゴリラが、
其々に描かれていた。
「凄い♪」
「かっこいいねぇ♪」
「ゴリラって泳げるのかな?」
「「・・・え!」」
子供達が流人の顔を窺う・・・
「私だって知りませんよ!」
「どうなんだろうな?」
「さぁ〜、泳いでいる映像を見た事がありませんからね・・・。」
「人間に近いんだから泳げそうだけどな?」
「どうでしょうかね?カナヅチもいますよ先輩?」
「う・・・ん・・・」
三賢者が流人に助言する。
「犬かきくらいは出来るだろうが、泳げんだろう?」
「そうじゃなぁ、あの筋肉と体脂肪率では無理だな沈むぞ!」
「筋肉の塊だからなカナヅチだ!」
三賢者の回答をそのまま伝える流人、
「筋肉が有り過ぎて浮かばないそうです、だから泳げない様ですよ。」
「「「そうなんだぁ。」」」
「!!」
「「・・・流人は?」」
「私? ・・・泳げると思いますよ? 泳いだ事がないですがね♪♪」
怪しい言い方だった流人に、日頃戯れて弄られていた渡邊が、
流人の弱点を見つけたかと思い突っ込む!
「泳いだ事がないのに泳げるのか?流人♪」
「根拠が薄い自信ですね? 先輩♪」
「水中でも十数分は我慢出来ますし、水に対しての恐怖心も無いですから、
大丈夫♪ 泳げますよ♪♪」
「「十数分?」」
実際は魔法を使えば呼吸の必要がないが、魔法のないこの世界の人間として、
異常でない範囲として答えたのだが、
流人はこの世界の人間の常識を知らなかった。
「「「希空達よ! 次は私達からのプレゼントを開けてみよ!」」」
「「「う・・・うん♪♪♪」」」
ティナ達精霊女王が、共同で3人に渡したプレゼントを開けると!
「わ!」
「凄い綺麗♪」
「宝石みたいだね♪」
「「うん♪♪」」
ダイヤモンド、サファイア、エメラルドの様に輝く水晶の腕輪だった!
「御守りの様な物だと思って身に付けて置くとよいぞ♪」
「そうだな、疲れや邪気を払う効果があるからな♪」
「少々男の子には派手かもしれんが数珠を付ける男達もおるそうだ♪」
ティナやサフィー、そしてエメルの思いが込められていた。
「「「ありがとう♪」」」
3人が腕に装着すると、一瞬だけ輝きが増す!
「凄い! 落ち着くね♪」
「なんでだろうね?」
「癒されるね♪」
「「そうだね♪♪」」
「三賢者・・・あれって!」
「間違いない大精霊石じゃな!」
「それも精霊女王自ら生み出した物だろうな!」
「とんでもない物をプレゼントするのぉ〜」
「ですよね・・・大丈夫でしょうかね?」
流人が三賢者と念話をしていると
「心配いらんぞ! 流人!」
価値をしらない者達にとってはただの水晶でしかない、
それが例え豆粒大の大きさで、
国が買えると伝えられている伝説級の宝珠であってもだ。
「次は、儂のを開けてみよ!」
「黒天さんの?」
「黒天さんのは・・・これだよね?」
「なにかな・・・!」
「「「!!!」」」
「わぁ〜♪」
「サイン色紙だぁ〜♪」
「それも・・・ぼくたちの名前入りだよ♪」
黒天は、某有名漫画家に頼み、
子供達が好きなキャラクターとサインを直筆で描いていただいていた。
「「「ありがとう黒天さん♪♪♪」」」
「中々やりおるなぁ黒天!」
「日頃から観察を欠かさずしておるからのぉ、好みは掴めておるわい(笑)」
黒天と紅丸が何故か競っていた!
当然の流れで次は紅丸のプレゼントを開ける事になったのだが・・・
「重たいからなぁ、台車ごと運んだ方がよいぞ!」
紅丸のプレゼントは3人で一つだったのだが、
巨大なタンスの様な大きさ包みに希空達は苦戦していた。
「「「!!!」」」
「水槽だぁ!」
「「海月だぁ〜♪♪」
幅90cm、高さ2mの長方形の水槽の中に、3匹のアカクラゲが漂っていた!
「このクラゲは不死と言われて長寿らしいのでな、
其方達も元気に長生きいたす様願いを込めてプレゼントいたそうぞ♪」
「「「ありがとう♪」」」
「照明が綺麗だね♪」
「そうだね♪ 海月も楽しそうだね♪」
「癒されるね♪」
「「うん♪♪」」
子供達が水槽を囲んで覗き込んでいた。
「3匹では少なのではないのか紅丸?」
黒天が茶々を入れるが、
「なに、1匹が2m近い触手を持つらしいのじゃ、十分であろう♪」
子供達が水槽の周りで喜んでいる中、渡邉と陣内の二人の様子がおかしい、
「どうしたんですか邉さん?」
「いやぁさぁ〜、どれもこれも凄いぷれぜんとでよぉ〜・・・。」
「そうですね・・・先輩・・・」
「気持ちの問題ですからプレゼントはね、大丈夫ですよ♪」
「そうなんだろうけどなぁ・・・。」
公務員の渡邉と陣内では少々引くプレゼントが続いて、
自分達が・・・なにか・・・寂しかった。
「渡邉さんのプレゼントは・・・」
「これだよね?・・・!!♪」
「わぁ〜ヘッドホンだぁ♪」
希空達がヘッドホンを見て喜んでいた♪♪♪
「ヘッドホンですか?」
「あぁ〜、前々からなぁ、中々いいのが見つからないって聞いててなぁ」
「わぁ〜! ぴったり♪」
「本当だ♪ 音が消えた♪」
「軽いから、これだったら耳が痛くならないね♪」
「「そうだね、痛くないね♪♪」」
軽量の小さいヘッドホン、小柄な希空達にはピッタリのアイテムだった。
「ゲームの音も聞こえるかな?」
「このメーカーなら大丈夫だと思うよ♪」
「そうだね♪ ネットで一番人気だけど試せないから・・・ね♪」
「「「ありがとう渡邉さん♪」」」
「おぉお♪」
ほっとした気分と想像以上に喜んでもらえた事で機嫌が良くなった渡邉に対し
不安が増す陣内だった。
「おぉ♪ 陣内はどうだ?」
「先輩! 好評だったからって・・・(怒)」
「え〜っと・・・陣内さんのはこれだよね?」
「そうだよね!」
「◯◯の限定シューズだぁ!」
「「凄い!」」
某有名メーカーと契約しているバスケット選手の限定シューズだった!
「陣内お前! 3つもよく手に入ったな?」
「知り合いに前もって頼んでおいたんです♪ サイズも大丈夫ですよね?」
「「「大丈夫♪」」」
「す・・・すげぇなぁ〜 ・・・陣内!」
「「「ありがとう陣内さん♪」」」
「♪♪」
ルームシューズとしては少々ごついが、3人は嬉しいそうに履いていた。
「最後は私で宜しいでしょうか?」
「先生さんはなにを?」
「私自身も、この世界は疎いのでな、この子達が喜びそうな物は、
一つしか思いつかなかったのでこれにした!」
先生が子供達に大きな段ボール箱を渡す。
「「「ありがとう先生」」」
「なにかな?」
「なんだろうね」
「微妙に重いよね♪」
「「そうだね♪♪」」
「「「わぁ〜♪♪♪」」」
子供達の表情が一気に変わる!
「お菓子だぁ〜♪」
「色々あるよ♪」
「凄ぉ〜い♪」
「「「いっぱいあるね♪♪♪」」」
外に出れない希空達、自分達でスーパーや駄菓子屋さんに行く事がない
なので、子供が本来食べている筈の駄菓子をほとんど食べた事がない、
それを知っていた先生は子供達に駄菓子の詰め合わせをプレゼントした。
「先生は普段から子供達に付いて居る為、
普段言葉にはしないが子供達の願いを知っていた様ですね。」
「「そのようですなぁ」」
「いっぺんに食べるんじゃないですよ!」
「「「はぁ〜い♪」」」
流人は、初めてと思うほど子供達の子供らしい表情と仕草を見つめて
ほっとした気分だった。
「なんだよ、駄菓子でいいのかぁ」
「深く考え過ぎましたね先輩」
「そうだなぁ」
「やはり、先生が一番の理解者ですね♪」
「そうですなぁ」
「お見事です。」
駄菓子を喜ぶ様子を見て、各々が思う。




