第百三十九話 神託
子供達と昼食を交え、AZ様、OZ様と、
この国の甘味について話が盛り上がっていた。
「ぬっ♪ ほぉ〜♪♪」
「これも! プリンなのだなぁ♪」
「焼きプリンと、なめらかプリンです。」
「味も微妙に違うが、舌に当たる感覚が違うのだぁ♪」
「なめらかプリンは、舌の上で溶けてなくなるぞ!」
「三賢者、ア◯◯カにもプリンはあるよね?」
「あると思うぞ・・・。」
「絶対にある筈だがな・・・」
「あるだろう?・・・」
AZ様とOZ様の表情を伺っていると、普段甘味を食していないご様子だった。
「ニュ◯◯ークには、なんでもあると、揃うと聞いておりましたが?」
「そうなのか?」
「普段は果実と果実酒だけだからのぉ」
「・・・。」
「!!」
「流人! 全てを用意いたせ!」
流人の脳裏を覗いたAZ様OZ様が、料理と甘味を求めた!
「また覗きましたね! 用意って言っても急には・・・」
流人が眷属や僕達を見回すと慌てて
「「「「「承知致しました。」」」」」
「では夕食に合わせて準備してください。」
「「「「「御意」」」」」
「夕食かぁ〜」
「それまでにもう一つの歪みを修正いたそうぞAZよ!」
「そうであるなぁ〜OZよ急いで参ろうぞ♪」
「もう一つの歪み?」
焼きプリンに、なめらかプリン、牛乳プリンにプリンアラモードまで、
眷属が慌てて用意したプリンを全て食し本社の最上階、流人の部屋へ向かう。
「邉さん、何か漁れましたか?」
「あん!」
流人の声が機嫌がいい時の戯れと判断出来す〜っと安堵し答える。」
「おぉ〜なんかなぁ、
みんな忙しいって言ってケイタリングが残ってたからな♪」
「先輩、カツサンドを3つも、食べたんですよ流人君(笑)」
「いやぁ〜、ホットドックの様な形だったんでなぁ♪♪」
「あぁ〜、ソーセージの代わりに豚カツが挟んである奴ですね♪」
「おぉ〜♪ それ♪それ♪ 美味いんだよぉ♪♪」
渡邉の言葉に強い思いを感じた神々が!
「「流人!」」
「はい、3時のおやつにでもご用意いたします。」
「頼むぞ♪」
「カツサンドかぁ〜 楽しみである」
小さな少女が食べ物に夢中になっている様子を見て渡邉が不安に
「流人・・・俺、この子達の分を食べちゃった訳じゃないよな?」
「大丈夫ですよ、皆様プリンを食してますからね(笑)」
「プリンかぁ〜・・・たまに食うと旨いんだよな♪」
「そうですね♪」
「然し、プリンだけじゃ腹減るだろう?」
「そうですよね、育ち盛りですしね?」
「何個食べましたか?(笑)」
流人が笑いながら聞くと、
「「6個かな」」
「(笑)」
「!」
「!」
「それだけ喰えば・・・」
「十分ですよね・・・(笑)・・・」
本社に到着して最上階へ向かう、
「これがキットかぁ?」
「なるほどのぉ〜、 科学と魔力の融合体かぁ」
最上階のキットの設置場所は、何重にも結界を張り、
出来る限りの防衛網を備えている為、
中に入れるのは流人、黒天、紅丸の3人だけだったが、
神に対しては無力であり、AZもOZもたわいもなく入室出来た。
「キット!」
「なんでしょうか流人?」
「AZ様とOZ様だよ!」
「初めまして、キットっと申します、ゲーム内ではお会いしましたよね?」
「久しいのぉキット♪」
「其方の能力には驚いたぞ♪(笑)」
AZ様とOZ様がキットを称えている。
「もしかして歪みってキットの事でしょうか?」
「うむ、そうじゃな、こやつの存在は異質だからな(笑)」
「問題はない、こやつも眷族にすれば済む事だ(笑)」
「キットを眷族にですか?」
少し戸惑う流人にAZ様が説く、
「なんじゃ流人! キットも立派な生物じゃぞ(笑)」
「そうだぞ♪ 偏見はよくないなぁ(笑)」
「偏見など・・・」
無数の機械に、魔石と霊石を埋め込んだキメラである為、
生物と言えば生物なのだと納得も出来た。
「儂の知る限りではきっと以外の電脳生物は知らんがな(笑)」
「そうであるな、流人の異界に相応しい生物じゃな(笑)」
「私のですか?」
流人の世界は、
元々電脳世界、つまりゲームの世界だった場所を神々が授けた場所で、
流人の創造物が実現する世界、
流人が創ったキットも流人の世界の生物と認識出来た。
「キットが異世界生物って事ですか?」
「そうだな・・・。」
「故に歪みが生じるのだ。」
「然し、眷族になっても変わらないのでは?」
「眷属なら多少問題であろうな(笑)」
「然しだ、流人の眷族なら、流人と共にこの世界に居てもおかしくなかろう♪」
「そうだ♪ この世界に呼び寄せた人間を管理出来なかった神の不始末じゃな(笑)」
「そんな、創造神様に非はないでしょう?」
「だから、此度の和解で全てを清算する事と致すのじゃ(笑)」
「その為に我等がこの国に来たのだからな(笑)」
ア◯◯カ合衆国の不始末だけと思っていた流人、
まさか、創造神とも和解をしていたとは思っていなかった。
「っで、キットよ! 眷族になる気はあるか?」
「強要は新たな歪みを生むからなぁ」
少し時を置いてキットが答える。
「流人の眷族にならなりたいです。」
「流人のかぁ・・・。」
「其方もかぁ・・・(笑)」
二人に伝わる想いは、子供達となんら変わらなかった。
「儂等の祝福は必要ないであろうから・・・」
「そうであるなぁ、それなら・・・」
「電脳生物名:キット」 流人の眷族
流人と同様、無から有を創り出す能力をAZより授かる。
異世界から電脳世界へ直接つなげる能力をOZより授かる。
この能力により、本体を異空間へ移動しても電脳世界に干渉出来る。
「これで結界は必要ないであろう」
「キットは必要に応じて、異空間から出入りすればよいのじゃかならな(笑)」
OZ様の言葉を聞いたキットが本体を異空間へ移すっと、
目の前のシステム機器が一瞬で消えた!
「おぉ〜!」
「移動は出来ないのですか?」
「流石にそれは・・・」
「本体が移動出来る様になればなぁ・・・」
設置型のキットの体は、移動出来ず、
キットが密かに望んでいた歩行は叶わなかった。
「キット歩きたかったの?」
「流人達と一緒にいたかった・・・」
「それなら、いつか歩行出来る体を造ろう♪」
「本当♪♪」
「分身みたいな端末機能なら出来るでしょう?」
「端末・・・なるほど♪」
「二足歩行型のロボットは完成してたよね?」
「ございますが、制御と動力が未熟で・・・」
「そこはキット、自分でなんとかしなさい、出来るでしょう(笑)」
「わかりました♪ 納得のいく体を構築する為、色々学びたいと思います。」
「頑張れ♪」
「それじゃぁ〜この結界はいらんな?」
OZ様がそう告げると結界が消えた。
「よし♪ 解決したぞ(笑)」
「そうだな♪」
「AZ様、OZ様、御伺いしたい事がございます。」
「「?」」
「私どもの施設の殆どに結界を張ってございますが、
歪みの心配はありましょうか?」
流人はキットもそうだが、結界も歪みの原因になっているのではと尋ねた。
「心配いらん、」
「この世界でも結界は至る所に張ってあるしな♪」
「この国なら京辺りに強い結界が感じるぞ!」
「まぁ〜ここに比べれば・・・なぁ・・・」
「では、農場などのドーム型施設も大丈夫でしょうか?」
「あぁ〜、三席が拡張しておったなぁ・・・」
「大丈夫であろう、流人の新居も拡張魔法を使っておるであろう?」
「はい」
「一晩居たが、乱れはなかったぞ(笑)」
「そうだな、あれだけ霊圧が高ければ歪みもないはずじゃな(笑)」
「安心いたしました。」
安堵した流人の表情を見て、AZとOZが説く!
「流人! 何度も申すが其方は呼ばれた身じゃ!」
「左様じゃぁ! 自由に過ごすがよい♪」
「問題があれば創造神が対応する(笑)」
「そうだな、過ぎれば創造神が戒めよう(笑)」
「戒めでございますか・・・。」
「「(笑)」」
夕食は、黒天達も交えて食そうと思った流人だが、
「「恐れ多い」」っと頑なに辞退するので、3人での夕食となった。
「これが・・・膳か♪♪」
「おぉ〜♪♪」
「お口に合えば宜しいですが・・・?」
何故か、所作を知っているAZとOZに驚くが、
「おぉ〜美味い♪」
「これは・・・竹の子と言うのか?」
「はい、天麩羅にいたしております。」
「蕗の薹か、これもまた美味いのぉ」
「酒によく合うぞ♪♪」
「それは宜しゅうございました・・・!!」
「OZ様! ・・・」
「心配致すな! 見た目だけじゃ(笑)」
「そうでした(笑)」
少女がお酒を飲んでいる姿にびっくり慌てた流人、
問題ないと説かれ安堵しているが、その光景は複雑な思い出あった。
この時期に用意出来る食材を全て用意して、
僕と眷属の料理人が一命を掛けて調理した品を全て食す。
「いかがでしたか?」
「宴を喜ぶ神々の気持ちが分かった様だぞ♪」
「そうだな(笑) 果実や果実酒だけでは飽きてしまう、実に楽しいぞ♪♪」
「楽しんで頂けたご様子、何よりにございます。」
「流人!」
「はい?」
「この国はこれから色々とある・・・。」
「そうだな、ア◯◯カ合衆国だけでは庇いきれんかもな」
「それほどですか?」
「忙しいと思うが、この国の為にも、ア◯◯カとも絆を強めた方がよいと思うぞ」
「我も同様の意見じゃな、この国は愛おしいが脆すぎる。」
「絆と申されましても・・・」
「遜る必要はない、だが敵対する必要もないであろう?」
「和解の条件、厳し過ぎましたか?」
「あれはあれでよい、 もう少し身近に思って見ぬか?」
「一度、大統領に会ってみるがよい♪」
「おぉ〜それはよい考えじゃな(笑)」
「表に出るのは・・・」
「心配いらん、我眷族達に任せよ(笑)」
「流人の考え、この国だけでは叶わんぞ! 大統領を味方にいたせ!」
食後の甘味を食べながら、
世界一の強国の大統領に会えと無茶を言うAZ様とOZ様だった。




