第百三十八話 子供達の選択
本社別館のゲストハウスを御使い頂くよう願いでた流人、
即答で断られこの庭園で一夜を過ごした。
「なんじゃぁ流人! 元気がないのぉ?」
「腹でも減っておるのか?」
つい先程までお酒を飲んでいた流人達、
神々の酒に対する強さは異常なレベルであって、
付き合わされた流人は潰れかかっていた。
回復ポーションを飲み意識を正常に戻す流人、
「朝にございます。 本日は如何様になされますか?」
「朝かぁ♪」
「AZよ先にどちらへ向かうつもりじゃ?」
「おぉ・・・子供達だな、歪みを正すのが先であろう。」
AZ様の言葉に動揺する流人が慌ててお伺いを立てると、
元々は虐待で死に、来世への徳として糧となす筈だったが、
AZの気紛れで助けてしまった為、
この世界では歪みの元となってしまう恐れがあった。
「心配致すな! 子供達の意志もあるがな、問題はない。」
「(笑) あはぁ! はぁ♪ はぁ♪(笑) AZ・・・やめとけ(笑) 無駄だ(笑)」
OZ様が流人の心を読み取り笑いながら自重を説く。
「我とかぁ(笑) 面白いが笑えぬぞ♪ 第一其方に嫌われる覚えがないからなぁ(笑)」
「・・・」
「流人!抑えよ!」
「そうじゃ! 相手は神々の頂きに立つお方だぞ!」
「言葉を信じよ! 流人!」
三賢者が流人を抑えようと説く。
「あの子達は最後までAZのお声を信じておりました。」
「そうであるなぁ」
朝食を終えた後、子供達の住む世田◯の社員寮へ向かう、
「・・・流人! このお嬢さん達は?」
「気にしなくていいですよ! ロリ邉さん♪」
「ロリ! 誰がだぁ!・・・」
いつもより当たりが強い流人の言葉に、それ以上何も聞かなかった渡邉に
「ゴードンじゃ!」
「納得出来たか(笑)」
「!!」
「う・・そでしょう・・・。」
「本物ですよ♪」
なんでそんな大物が来日しているのか?
抑々そんな情報が一切入っていなかった渡邉は何故か笑みを溢していた。
「お忍びですからね邉さん」
「分かっている♪」
空き地だった場所には周囲の高級住宅に恥じない高級な外壁と趣を発する
5階建の集合住宅が建っており、
その最上階のフロア半分が子供達の生活居住区だった。
「ここも良い感じの場所じゃな♪」
「なるほどのぉ」
入り口には大きく育っている椎木が大きな影を地面に広げ、
満開の桜の木々の下には木製のテーブルと椅子が設置してあり、
休息の場所となっている。
「邉さん達は事務室で休憩していてください。」
「休憩でいいのか?」
「何かありましたら呼びますので、
ケイタリングでも漁っていてください(笑)」
「儂等は、漁れんのか?」
「お望みの物がございましたら用意いたしますが?」
「「プリン!♪♪」」
今朝朝食替りに頂いたプリンが気に入った様子でした。
眷属にプリンを用意させて、流人達は子供達の生活居住区へ向かう
「居るかぁ?」
「あ! 流人だ♪」
「おはよう流人♪」
「早いね、どうしたの?」
「お客さんを連れて来たんだ。」
「初めまして?」
「私は初めましてだね♪」
「・・・」
3人の子供達が、AZ様の声を聞いた途端涙した!
「え!」
「そっくりだね!」
「神様の声だ!」
流人が周囲に気づかれない様に結界を張る!
流石にAZ、OZのふたりは気づいたが流人の意図を理解し、
気にする様子も見せなかった・・・そして!
「すまなかったぁ」っとAZ様が子供達に詫びた!
その光景を見た流人と眷属達は動揺したが、OZが自重を説く事で
騒ぎにはならなかった。
「無駄な苦痛を長らく耐えたそうだね、本当にすまなかった。」
その通りだった、光の加護が無ければ堪える事など出来ない状態だった子供達、
どれほどの苦痛だったか、AZの配慮が欠けていたから起きた事だった。
「謝らないで・・・神様、」
「そうだよ、 神様のおかげで今があるんだらね♪」
「神様が、流人が来るまで頑張れって言ってくれたから頑張れたんだよ僕達♪」
「「そうだよ♪ だから謝らないで!」
涙を流しながら、少女の姿の神に縋り感謝の気持ちを伝えていた。
そして、重要な話を3人に始めたAZ様、
死ぬ筈の子供が生きる事で歪みが生じている事を告げた!
「僕達・・・死んだ方が・・・よかったの?」
「我慢したんだよ・・・」
「一生懸命・・・頑張ったんだけどなぁ・・・」
自分達の存在が否定された事で落ち込んでいた事も達に、更に告げるAZ様!
「歪みを無くすために、其方達を儂か流人のどちらかの眷族といたす。」
「!!」
AZ様の眷属になれるだけでも大変な事なのに、
眷族にすると自ら申し出た事で、流人達は将来が安堵されたと確信し喜んだ。
「「「流人の眷族?」」」
「!!」
確かにAZ様は自分か流人のどちらかと言ったが、
位や身分を考えれば選択肢などない筈なのに、子供達はあり得ない選択を選んだ!
「待って! 神様の眷族だよ!」
「う〜ん・・・でも、流人の側にいたいから(笑)」
「そうだよね♪ 神様には感謝しているけど、流人の方が好き(笑)」
「眷族ってよく分からないけど、選ぶんだったら流人だよね(笑)」
「「そうだよね♪♪」」
「「(大笑)」」
AZとOZが大声で笑い出す♪♪
「そうであろう♪ それでこそ助けた甲斐があるのだよ(笑)」
「これからも、流人を助けておくれ♪」
「「「うん♪♪♪」」」
「AZ様お待ちください、この子達は理解していないのです。」
「理解不足は其方だぞ流人!」
「そうだな!」
「私ですか・・・。」
頂きに立つ神の眷族より流人の方が好きなのだ、
流人の側にいたい気持ちが素直に伝わってくるから神々も笑っていた。
「でも・・・私の眷族など・・・」
「心配致すな! 其方も一応は創造神であるからな(笑)」
「まだ若いが一応神でもあるのだ!」
「・・・・」何か言おうとした流人が言葉を止めたがAZ達には伝わっていた。
「モノであっても神になる事は出来るぞ(笑)」
「そうだな、いきなり眷族を結ぶには弱いかもしれないがな(笑)」
「弱い?」
「それも心配致すな! 此度に限り、我等が認めよう♪」
「そうだ! AZとOZが流人の眷族と認めようぞ(笑)」
OZの声と同時に子供達の体が光、3人に流人の眷族として付与が与えられた!
「大した物は付いておらんなぁ」
「仕方なかろう、所詮は人間だからのぉ」
3人には、肉体強化と体内浄化の付与と、光と闇の祝福が与えられていた。
「普通の人間よりは長寿になるであろう(笑)」
「光と闇の祝福があれば、多少の災いには耐えるであろう」
3人の肉体的スキルが大幅に上昇した、
特に、耐久性は人間としては異常値だった。
「なんだろうね、 体が軽いよね♪」
「そうだね、感覚がいい感じだよね♪」
「自分の身体なのに、なんか楽しいね♪」
「「そうだね♪♪」」
この世界の人間なので魔力は無い、
然し、
霊力を僅かに発する事が出来る様になった為、自己治癒能力が常時発動していた。
「流人よ!」
「はい。」
「其方の初めての眷族だ、大事にいたせ!」
「そうであるな、我等が直に祝福をしたのだ、粗末にいたすなよ!」
「勿論にございます・・・ってか宜しいのでしょうか?」
「本人達が望んだ事だ(笑)」
「そうだな(笑)」
「分からぬ事があったら眷族か三席に聞くがよい♪」
「僕と違いはない(笑)」
「お! プリンじゃ!」
「おぉ! ワシも分もあろうな♪」
眷属が用意した数種類のプリンを早速頂いている神様だった。
「「「流人・・・」」」
「これからも宜しくね、希空、希海、希陸。」
「「「うん♪♪♪」」」




