第百二十八話 順調ですね
本社の会議室で久しぶりに流人を交えて会議が行われていた。
議題は主に、流人のブランドと開発部署の報告が中心だった。
「・・・商品化として、
シャンプーとトリートメントの販売を計画しております。」
「それは・・・必要な事なのか?」
「専門家の領分ではないのか?」
紅丸や黒天からは疑念の声が出たが、流人が発言する。
「確かに私も、美容師や理容師の領域と思っていましたが、
認識が少し違う様ですね。」
「はい。」
紙の専門家であり、信頼関係が出来ている美容師から、
アドバイスを受けて整髪料やトリートメント剤を買うと思っていたが、
皮膚などの疾患がある患者以外は自分の好みで購入を決断していると報告する。
「なんと! どれが自分に合っているか分からんではないか!」
「不安はないのか?」
現実を知り呆れる黒天達だったが、
「それなら流人様の商品の方が、よいのではないか?」
「安心と言う観点からなら十分需要がありそうだが?」
最終決断は流人にある、
流人のブランドなのだから決定権は流人なのだ!
「友里達からも商品化の要望が出ていましたね、宜しいのではないですか?
ただ・・・価格は如何程になりそうですか?」
「サロンで使用している物を販売するのであるなら、
シャンプーが300mlで20,000円
トリートメントが300mlで30,000円にございます。」
「高過ぎ!(怒)」
「市販用は、付与効果を軽減させましたので、
双方とも5,000円で販売が可能にございます。」
「私は使わないので、皆さんはこの価格どうでしょうか?」
「・・・」
「・・・」
僕や眷属に、シャンプーもトリートメントも必要なかった。
「流人様! 一応、一般のアンケートでは、
1,000円〜2,000円代が全体の7割に当たり、
5,000円以上の使用者は全体の2割程にございました。」
「2割も居たの??」
「はい、・・・セレブの回答も含めてしまいましたので・・・。」
「なるほど・・・。」
「軽減って失望する程じゃないよね?」
「勿論にございます、持続性効果時間は8時間となっております。」
「短いね?」
「他社よりは、かなり効果時間が長く、これ以上は・・・。」
「そうだね、半日以上の効果になると付与のレベルを上げないとね。」
流人が決断する、
今回は最初に海外で販売し、様子を見てから国内販売をする事にした。
「流石に高額だしね、もう少し求められたら販路広げましょう。」
次の議題も流人のブランドだった!
「採用? 求人を出したのですか?」
「その様な事は一切行っておりません。」
流人のブランド、society Rに就職希望者が多数いるそうだ!
「注目のブランドでございますから、参加したい人間が多いのでしょう。」
流人が改めて宣言する!
「私の欲しい物、求める物を作る為のブランドですので、
関係者は全員、僕か眷属でお願いしています、
これは意思疎通が確りと行う為で、
トラブル回避の為でもある事を再承知して下さい。」
「「「「「御意!」」」」」
この流人の発言で、次の議題に移り辛くなった僕、
「何かあるのですか?」
「は!・・・はい!、じ・・・実は・・・。」
何人かの僕達が無許可で大手企業のキャラクターとコラボを持ち掛け、
相手企業から条件付きで了承を得ていた。
「条件とは?」
「個数限定と利益の20%にございます。」
「20%ですか?」
「はい、多少高い数値にございますが、
販売価格をコラボ限定価格とすれば十分可能と存じます。」
「浴衣ではなく甚平の方ですか?」
「はい、現在甚平の価格は¥48,000となっております、
ロイヤルティーを加えて¥60,000と致したいと思います。」
「1着しか買えない金額だね?」
「はい、その分他を調整致しまして、生産量を抑えたいと思います。」
「・・・抑えないでいいよ販路を広げましょう♪」
「宜しいのでしょうか?」
「因みにコラボの甚平は何着限定なの?」
「一応キャラクター側とは1,000着限定で合意しておりますが?」
「その程度なら抑えないで大丈夫でしょう?」
「品切れ状態が続いておりますので、問題ないと思いますが?」
「他に問題でも?」
僕の説明では、何処のキャラクター企業とコラボをするか?
人気ブランドとなっている流人のブランドとのコラボに、
前向きな回答が返って来ているが、
最初と言う話題性を狙っての反応だと僕に説明を受けた。
「抑々企画を申し込んだの1社だけじゃないの?」
「はい、駄目元でっと言う事で・・・3社に」
「3社かぁ! 全部一緒には・・・無理だよね?」
「納得はしませんでしょう。」
「だよねぇ・・・条件は同じなの?」
「大体は同じで、一社だけ・・・」
超有名なテーマパークの企業だけが、複数のキャラクターの使用を認めていた。
「複数のキャラクター?」
「はい、他社は、猫だったら猫だけですが、
この企業は自社で所有するキャラクターを好きな数だけ使用していいと、
契約段階で了承を得ていた。」
「ミ◯◯ーマウスとかド◯◯ドダックなんかも使えるって事?」
「はい、ただ事前にデザイン許可を求めてるそうです。」
悪意的使用だったり、イメージに合わない仕草だったり、
中々厳しいチェックと評判だった。
「甚平の生産数は1,000なのね?」
「はい、如何致しますか?」
「好きなキャラクターを使わせて頂けるってご好意に、此処に決定します。」
「デザインの方は?」
「そうだねこんな感じかな?」
念話で僕に大体のイメージを伝える。
「特に問題はないと思いますので、このまま相手先へ確認を求めます。」
「お願いね♪ コラボですかぁ・・・楽しみですね♪♪」
予想外に上機嫌だった流人に安堵した黒天や紅丸達、
次の議題は待望の畜産の出荷だった。
初年度に競り落とした仔牛達が無事成長して出荷を迎えるのだ!
「私、一度も見学に行きませんでしたね!」
「迎えた皆様全員が職人気質にございましたので、
毎日研修生との問答で忙しかったご様子でした。」
「されど、研修生達の成長には驚いていたなぁ♪」
「おぉ〜お、飲み込みが早く関心しておりましたなぁ♪」
「出荷前に一度挨拶に行きたいですね。」
「承知致しました。」
美味しいお肉をどの様に育てているのか? 興味があった流人だった。
「次で最後になりますが・・・」
議題は2つ、どちらも戦いに関する報告だった。
「人間達を実戦に導入したい?」
「はい、
出来ましたらテロや反政府グループなどに対して導入したいと思うのですが?」
「反対!」
即答で拒否した流人!
「然し、人質救出作戦の勢いが中々冷めない様子にございます。」
「死人が出るよ(怒)」
「それも考慮して入隊しておりますので!」
「反対!」
黒天と紅丸は既に悟ったが、僕の意見も無視出来ないでいた。
「給金を頂いて遊んでいると風評がございます。」
「その風評のせいで入隊希望者が増えております。」
「なるほどね・・・でも反対!」
静粛した時間が少し流れ流人が代案を説く
「地元の犯罪者を狩っては如何でしょうか?」
「地元の犯罪者にございますか?」
「多少は出来るんでしょう?」
「それなりの武装もしてますので、十分脅威にはなっております。」
「然し、いきなりでは大義がございません。」
「大義・・・他所の国で好き勝手をしている犯罪者では?」
「他所の国・・・でございますか?」
「そう♪」
ア◯◯カ合衆国は多くの移民を受け入れた多種族国家だが、
不法移民や、自国からの支援を受けたテロ組織に近い手段も少なくない。
「合法的に入国して国民としてのグループは対象外、
でも、テロ行為や犯罪集団は率先して狩りましょう。」
「合衆国内で戦争をすると言う事でしょうか?」
「荒れませんか?」
「勿論、味方と組んでから宣戦布告するんですよ♪♪」
「「味方にございますか?」」
流人は◯人を味方に出来ないか調べて欲しいと願った。
「◯人にございますか?」
「最も治安が悪く、凶暴と聞いておりますが?」
「ア◯◯カ最大の犯罪組織は◯人と聞いておりますが?」
「確かにね・・・だけど、」
奴隷として連れて来られた民族だが、
身体能力が高い彼らを何故奴隷に出来たのか?
「忠義心が強いんだと思いますがね私は♪♪(笑)」
「そうでしょうか?」
「紅丸や黒天は奴隷を使わないけど、僕を選ぶ時何を基準にするの?」
「僕の選択にございますか?」
「そりゃぁ・・・戦闘能力ですかね」
「いや、忠誠心であろう、どんなに強くとも靡かなければ消すのみだ!」
「そう言われればそうだな」
「◯人もそうなんじゃないのかな?
純粋で忠義に厚いから主人に従っていたんじゃないの?」
「武力で屈服させていた様に記憶しておりますが?」
「虫螻の如く扱われていたそうですぞ!」
「それでも共存を選ぶんだよね?」
「「確かに」」
「だったら、尊重して接すれば如何でしょうか?」
「馬鹿にされるだけでは?」
「圧倒的武力と恐怖を与えても?(笑)」
「なるほど・・・」
我々の意思に同調する組織と組んで、敵対勢力を排除する、
排除して得た縄張りは組んだ組織に任せれば流人達が仕切る必要もない。
「組織が強力になり過ぎませんかね?」
「相手を見極めて、私達が仲介し同盟を組ませればいいでしょう?」
「同盟ですか?」
「◯人同士なら、意思疎通も早いと思いますがね?」
「確かに・・・。」
「鑑定を使い組織の適正を探り、共闘させましょう。」
「愛国心と、正義心が強いといいですね♪」
「探しましょう♪」
「全ての犯罪を防ぐ事は出来ません、全ての情報を掴む事は可能でしょう。」
「その情報で、犯罪を狩れば宜しいのですね?」
「はい、警察に少々お手伝いを致しましょう。」
「それには先ず、有能で強力な組織と組みませんと?」
「そう言う組織は自尊心が強いですから、圧倒的にお願いしますよ(笑)」
「その任務、我にお任せ下さい、流人様♪♪」
お願いしますね♪
魔族と同じで◯人も悪い人達とは思っておりません、
スポーツ界や音楽業界では尊敬する◯人が多数おります、
ほんの一部の◯人が、全ての様に誤解される事がない様に、
敢えて◯人とさせて頂きました。
広い心で理解して頂けたら幸いです。




