第百二十七話 高裁判決で騒動に
御隠居様の御尽力もあって、順調に裁判は進んでいた!
一審の簡易裁判所の判決は原告側の勝訴だが、
賠償金が600万円と呆れた金額だったので即日上告し、
二審の地方裁判所の判決も原告側の勝訴だが、
賠償金が各企業毎に30万円となって流人が激怒していた!
直ぐに上告したのだが、
此処まで酷い判決が出るとは思わなかった流人達!
新たに裁判所を訴える暴挙に出た!
直ぐに判決が出て、簡易裁判所も次の地方裁判所も同じ判決
原告の訴えを棄却した!
こちらも直ぐに上告して其々が高等裁判所で審議が行われていた。
・・・そして判決!
マスコミを訴えた訴状は勝訴、
然し各企業に対しての賠償金が60万円と流人達は呆れ上告する。
そしてもう一つの訴状、裁判所の怠慢については案の定棄却となった、
こちらも即日上告したのだが、
この時高裁判事から流人達に対して激怒に値する言葉が言い渡された!
「売名行為に裁判所を使用する行為は法を冒涜している!」
「そう怒るでない流人よ!」
「そうだぞ! 目的を果たせるのだからな(笑)」
「そうだぞ♪♪」
「次の最高裁で好ましい判決が出ると思いですか?(怒)」
「出ると思うぞ!」
「そうだな!」
「あやつだしな(笑)」
「あやつ?」
三賢者があやつと言う人物は、裁判官のトップで、
最高裁の裁判官の◯◯だった。
「知っているのですか?」
「過去の判例を無視し、独自の視点で判断する真面目な判事じゃ!」
「そうだな、かなり庶民よりの判事じゃな」
「そうだ! あやつが居るから訴状を起こしたのだからな(笑)」
然し二つの訴状を一人の判事が判断する事はなく、
別々の判事が判断するので流人は不安であった。
そして、最高裁の判決が出た!
残念ながら期待していた判事は、
マスコミの訴状の裁判は担当していなかったが、
もう一つの訴訟、裁判所の怠慢の方を担当していた。
先に判決が出たのはマスコミに対しての訴状だった!
「判決! 審議不十分で高裁へ差し戻す!」
思い掛けない判決で流人達は慌てた!
今まで全て勝訴だった判決を差し戻したのだ!
これには、マスコミの弁護士団が大喜びし歓声を上げていた。
直ぐに臨時ニュースで最高裁の判決を伝える、
当然だ、差し戻しって事は自分達に有利な判決になる可能性が大きいからだ!
「流人様!」
「仕方ありません、もう一度上告すればいいだけでしょう(怒)」
「然し・・・御意。」
暗く落ち込む流人達と違い、勝ち誇った相手側の弁護士団!
暗い雰囲気の中、次の判決を聞く為に移動する。
「次は期待していた◯◯だぞ流人!」
「そう暗い顔をするな!流人!」
「そうだぞ!」
「失望しかないでしょう?」
宥めながら黒天と紅丸が流人を導くが不安が過ぎる!
「流人様、宜しければお待ち頂きますか?」
「おぉ〜お、それが宜しいでしょう。」
もし流人の不快が爆ぜる事になれば大惨事になる事を恐れて、
二人が外で待機しているよう勧める。
「「「余計な事をするでない!」」」
三賢者が黒天と紅丸を戒める!
「「申し訳ございません。」」
「僕達を信じよ!」
「そうじゃぁ! 奴らが掴んで来た情報は確かだ!」
「仲間を信じずに如何する!」
「そうですね・・・参りましょう。」
法廷に入り黒天達は原告席に、流人は傍聴席で判決を待つ・・・
裁判官達が入室して来た・・・
そして静粛になり裁判長の◯◯が語り出し判決が!
「原告の訴えを認める!」
「!!」
「原告の訴え、
裁判所は判例に拘り職務の怠慢な判決を出しているとの事に対して、
最高裁裁判長として事実を認め此処に代表して謝罪する。」
裁判官達が一斉に立ち上がり、原告側に向かって謝罪した。
その後に再び裁判長の◯◯が説く、
「此度の訴訟は、先ほど◯◯号法廷での訴訟が原因である、
従ってもう一度、審議を為直す事にした。」
更に◯◯は付け加える。
「法とは人々に対等であって平等である必要はない、
価値観を一方的に押し付ける様な判決は有ってはならない。」っと説いた。
誰が見てもこれは画期的な判決である、
時代にあった判決を信念にする◯◯らしい判決だった。
直ぐに臨時ニュースになった!
最高裁判所が身内を非難し否定したのだから当然である。
ニュースは広がり直ぐに法務大臣のコメントが求められ答えていた。
「最近の報道の中には、
利益だけを目的に誹謗・中傷記事が多く使われている、今回の判決で、
その様なジャーナリズムに反した行為に一石が投じられただろう!」
法のトップが判決を支持して一気に流れが変わった・・・
「見たか!流人よ! あれが◯◯の裁きじゃ(笑)」
「愉快であったのぉ流人よ(笑)」
「安心したか?」
「はい、一時は如何なるかと心配致しました。」
「戯け! 計算済みじゃ!(笑)」
「そうじゃ! その為にもう一つ訴訟を起こしたのじゃかなら(笑)」
「保険じゃ(笑)」
現在、病気療養中の一人を覗き最高裁の判事は2人しかいない。
もし、◯◯に担当が行かなかった場合を考えて2つの訴訟を起こしていた。
「全て想定内だったんですか?」
「当たり前じゃ!」
「勝たねば意味がない!」
「そうじゃ! 戦は勝ってこそ楽しいのじゃ!(笑)」
・・・そして今日、
差し戻された高裁の判決が出る!
「判決! 原告の訴えを認め、賠償金を1,200億円とする!」
「!!」
訴えた額より高額な判決が出た!
「原告の訴えでは1,000億円であったが、その後の企業の成長を考慮し
増額の1,200億円とする。」
まだ裁判長の話が続いていた。
「今回の判決は今までにない高額な賠償金となっている、
これはマスコミの安易な憶測で利だけを追求した結果であるが、
今までの判決がその様な憶測を思わせる結果を指し続けた事が原因でもある。」
自分達裁判所の判決を此処でも否定した事で、時代が大きく変わった。
「最後に、出来る事なら双方の和解を望みます。」
っと付け加え、支払い切れない賠償金を和解で解決して欲しいと説いた。
マスコミ側弁護団は即日上告するが、勝てる見込みが完全に消えた。
「大変だろうね?」
「今回の上告は、和解への時間稼ぎと思います。」
担当した弁護士の僕が流人に進言した。
告発した全てのマスコミの総資産を足しても1,200億などにならない、
当然和解をしないと複数のマスコミが潰れる事になる。
「雑誌関連の会社が潰しても影響はございませんが、
テレビ局2社と新聞の2紙が如何にか致しませんと、
大変な事に繋がりましょう。」
「困ったね、まさか要求以上の賠償金を判決するとは思わなかったよ」
「「誠に」」
直ぐに御隠居様から連絡が入り会う事にする。
「やり過ぎだよ! 流人!」
「分かっておりますが、此処まで判断されるとは思っていませんでした。」
「・・・私もだよ。」
兎に角、テレビ局2局、新聞社2紙を潰す訳には行かない思いは一致し
和解としての要求を何処までしていいのか相談した。
「私の事を嗅ぎ回れるのは勘弁して頂きたいです。」
「それは当然承知させるけど、会社の方だよ?」
誹謗中傷をやめて欲しいと言っても何処までが事実で何処までが嘘か、
それを毎度説明するのは困難であって面倒臭かった。
「既に和解した企業と同じでは?」
「そうしてくれると嬉しいけどね、判決が出ている以上は・・・ね!」
「あの時は1社につき10億で和解しましたが、
今回はそれ以上って事でしょうか?」
「難しいね・・・。」
あの時も飴があったから直ぐに回収出来ると思い3社で30億を支払ったが、
今回は何も飴がない、とても全ての企業が支払える額ではない。
御隠居様が間に入り、弁護士達立ち合いの協議が行われた。
「我々としては、既に和解している企業と同等の対応を求める!」
早々に、マスコミ側が攻めて来たが、
「後出しジャンケンが許されると思いか?」
僕達があっさりと切り捨てたので動揺する、
更に、
「我々は最高裁の判決を待っても宜しいのですよ(笑)」
この言葉はマスコミ側弁護団には致命的な一言であった。
数時間の協議が行われ和解が成立した。
「30億円を無利子で10年間払い?」
「簡単に申しますと、毎年3億ずつの10年ローンにございます。」
「相手は納得したの?」
「はい、1,200億に比べれば、年3億なら十分支払える額にございます。」
「ゴシップ紙は?」
「和解協議に参加しておりません。」
「放置って事?」
「破産申告をする様にございます。」
「っで新しい会社を作るって事だね(怒)」
「そう簡単には出来ませんでしょう(笑)」
「そうなの?」
「既に資産の差し押さえ申請を受理して頂いておりますので(笑)」
「なるほど♪」
「微々たる資産ですが、抑える事で、
暫くは大人しくしているのではございませんでしょうか?(笑)」
「そう願いたいね(笑)」
直ぐに和解した4つの企業を告訴状から削除し、
残った会社は全てゴシップ紙若しくはゴシップ雑誌だけだった。
和解後直ぐに、プロジェクトRの会見場に現れた4社だったが、
同業者達の目が冷たく蔑まされていた。
「当然だな!」
「さっさと和解しないからとんでもない判例を作ってしまったのだしな!」
「自業自得じゃな(笑)」
これで少しは静かな生活が出来ればと思う流人だった。




