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第百十八話 祭を望む

 年末の準備に忙しい世間を他所に、

流人は鎌倉へ向かい、御隠居様に挨拶をしていた。


「年末年始の挨拶は要らないよって伝えたはずだよね流人。」

 「はい、確かの聞き覚えておりますが、願いを請うモノとしては、

 挨拶は必要と思いまして・・・。」


 流人から遠回しに要求され、笑いだす御隠居様、

「(笑) なんだい♪ 子供みたいな事もあるんだね流人(笑)」


 「はい、時間的に御隠居様の協力を得ませんと叶いませんで・・・」


「時間的に!?」

 少し嫌な(かぜ)を感じた御隠居様だったが、流人の話を聞く事にした。


 「実は・・・。」

 あくまで独り言とお聞き流し下さいませっと前振りをした後に、


 付き合いが長い山神やお婆様を差し置いて、

群◯県で花見や花火といった祭りごとを行い地元の山神と戯れた流人、

咎めの言葉はなかったが、寂しい感情を伝わって来た事を御隠居に話す。


 「そこで、新年早々に海辺で音楽祭を行いたく、

 御隠居様のご協力を願いに参りました。」


「音楽蔡かい!?」

 「はい、ウチの和楽器メンバーやバンドメンバーに、

 新年を祝う祭りを行わせたく存じます。」


「流人! 流石にそれは私でも無理だよ! あと何日だい(怒)」

 「?」

「・・・年越しライブじゃぁないのかい?」

 「あぁ〜、そう言う祭りはプロの方々にお任せ致したいと思います。」

 

 流人が行いたいのは、

成人の日の15日辺りに周囲の神々に対して感謝の祭を考えていた。


「それでも15日!」

 「それ以降になりますと、新年のムードが消えますので、

 年に一度、感謝を込めて・・・出来ませぬか?」


「・・・まったく、渡邉以上に来る時は厄介事を持ってくるね♪」

 「他の季節ですと、色々利権の柵に苦労しそうなので・・・。」


「誰かいるかい?」

「はい。」


「至急! 

◯◯と◯◯に連絡をとって、野外ライブと浜辺の使用許可を貰って来な!」

「御意。」


  「御隠居様、ありがとうございます。」

「私だってね、大銀杏のお婆様の名前を出されたら引けないからね♪」

 見えなくなっても、お婆様への思いは変わらない御隠居様だった。


 流人が地元で祭を行う事に上機嫌な御隠居様、

他にも交通警備や周辺住民の説得など色々便宜計らってくれた。


 全ての手続きの了承が得たら、書類を届けて頂く事として、

流人は急ぎ本社へ向かい、ベイビーモスの僕達に演奏曲を相談する。


 

 本社2階の会議室には既にベイビーモスのメンバーが待っていた。

 「想像していた人数より少ないんですね?」

「申し訳ございません、緊急の召集にございましたので、

各グループのリーダだけ招集いたしております。」

 「リーダーだけなの?」

「はい。」


 「ベイビーモス」のリーダー、(みやび)

 和太鼓バンド「雷鳴」のリーダー、弁慶(べんけい)

 雅楽バンド「八重」のリーダー、唄羅(から)

 雅楽バンド「花鳥風月」のリーダー、(らん)

 雅楽バンド「八鳴」のリーダー、(むらさき)


 笙組「鳳鳴」の頭、旋律(せんりつ)

 竜笛組「昇竜」の頭、雲竜(うんりゅう)

 篳篥組「生命」の頭、和光(わこう)


 弦楽器集団「協奏曲」のリーダー京太郎(きょうたろう)

 チェロ組「黒い森」の頭 大樹(たいじゅ)

 バイオリン組「魔奏」の頭 白夜(はくや)

 複合楽団「押忍」のリーダー 代紋(だいもん)。 の、12名が流人の招集に参じていた。


 「全員で何名程いるのでしょうか?」

「はい、僕が190名、眷属が60名程、在籍しております。」

 「それは凄いですね・・・眷属も?」

「はい、此度はベイビーモスと申されましたので僕だけにございますが?」

 「ごめん、無知でした。」


 直ぐに眷属のリーダー達にも参加を要請したが・・・、

会議室に来たのは、エメルとサフィーの二人だった。


「我等が眷属に何事かな?」

「左様、如何したのか?」

 「二人だけ?」


 僕達と違って眷属はグループを組まず、楽器を選ばず、

必要に応じて適材適所で奏でる集団だった。


 流人が、全員に来月に音楽祭を開く事を伝え、

みんなに参加して欲しいと願った。


「参加は構わぬが、何を披露するのだ?」

 「新年を祝うって意味もあるけど、神々に感謝を伝えたいのでね」

「我等が主にか?」

 「この世界の神様です。」

「そうか・・・。」

 少し気分が下降するサフィーとエメルだったが、

精霊の音や妖精の響きを伝えて欲しいと願うと機嫌が戻った。


「良いのか?」

「この世界では・・・。」

 「だから大丈夫だと思うし、聞く者達には新鮮でしょう?」

「「なるほど♪♪」」

 

 山爺は兎も角、お婆様や桜爺に椎爺も植物の土地神様だから、

精霊の音とか喜んで頂けると思うしっと考えていた。


「流人様、我等は?」 

 「僕達には、オリジナル曲を作って欲しい。」

「オリジナルですか?」

 「魔曲は影響あり過ぎるから、NGね♪、自分達で感じた音を奏でて欲しい。」

「自分達が感じた音にございますか?」


 この世界に来て、如何して音楽に興味を持ったのか?

興味を持った音を曲として奏でて欲しいと流人が伝える。


「我等に出来ましょうか?」

 「純粋な気持ちを伝える事に集中すれば大丈夫♪」


 会議に参加していた僕達が考え混乱していた時、紅丸が一喝する。

「流人様の願いを叶える為に我等は存在するのではないのか!」

 続けて黒天が説く。

「神や精霊は分からぬでも、流人様への感謝の気持ちなら奏でられよう?」


 紅丸と黒天が僕達を説き伏せる!


 もともと絶対服従の関係なので、僕達に拒否権は存在しない。

各々流人に恥を掻かせないよう必死に曲作りを開始した。


 「ごめんね。」

「何を申されますか流人様!」

「左様、命令こそ、あの者達に取っては至福の喜びにございましょう。」


 「そうなんだけどね・・・♪それじゃぁ♪♪」

 意地悪そうに黒天と紅丸を見つめる流人、


「「何か?」」

 「砂浜を客席側とするから、海上に会場を造ってね?♪♪」

「会場ですか?」

「二十日ございませんが?」

 「大丈夫だよぉ〜、御隠居様だって僕達だって私の為に頑張ったんだから、

 天下の黒天様と紅丸様が期待を裏切る事はないよね?(笑)」


「「勿論にございます。」」

 行政の仕事納めも近いので、慌てて認可を受けに行く!


「流人よぉ、 少々戯が過ぎぬか?」

「そうじゃな、春でも良かったのではないか?」

「そうだぞ、花を愛でながら音楽を聴いてもよかろう?」

 三賢者の意見も正論だったが、柵を受けたくない流人、

 

 「花見なら屋台や出店が出ましょう?」

「確かにのぉ」

「モラルかのぉ?」

「ゴミの散乱が酷いからのぉ」

 「祭を行う度に街が汚れては神々も快く思わないでしょう?」


「然し、この時期に行っても同じであろう?」

「そうだぞ!」

「何か策でもあるのか?」

 「策と言うか、私も演舞を披露しようかと思っております♪♪」


「「「なんと!」」」

 表に出たがらない流人が表に出ると言い出した事に驚いていた三賢者、

脳裏から、お世話になっている山爺達への感謝を自分も込めたいと伝わって来た。

 

「然し、バレては問題が多いぞ!流人?」

「そうじゃなぁ、気持ちは分かるが、身バレは不味いな!」

「どうなんじゃ?」

 

 「お面を被って出ようと思ってます。」

「お面・・・なるほどのぉ」

「能とか言う伝統芸能にあったのぉ?」

「和楽器と相性も良さそうで自然であるな♪」

 「でしょう♪♪」


 衣装などを考えて、僕に縫製して頂き、先に準備が整った流人だった。



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