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第百十七話 居場所

 顔を赤くした友里が涙目で訴える!

「ちょっとだけ・・・言っただけじゃぁあん!(怒)」


 「そうだよ♪

 だから急遽、職人さんを召集したんだよ♪♪」

「え!」

 「??」

 驚く友里に対してなんでと驚き返す流人!


 「如何した?」

「冗談だよね?」

 「何処が?」

 

 プレゼントを運び終えた女中達が笑いを堪えていた。

「ほらぁ〜 笑っているじゃん!」

 「友里、みんなが笑っているのは、

 私が、たったその為だけに本気になったからだよ!」


「本気!」

 「友里と約束したじゃん! お洒落にするって♪」


 友里がおじさんぽいから嫌だと言った事で、流人が返した言葉、

 「お洒落にすればいい・・・」


 建物を早急に変更は出来ないが、食べ物をお洒落にする事くらいは、

流人が率いる僕達には造作の無い事だった。


「如何してそこまで・・・?」

 「私が、私の周りをみんなの居場所にしたいからね。」

「みんなの居場所?」

 「そう・・・居場所♪♪」


 彼氏が出来て、結婚して、子供が出来れば各々違う生活環境に行ってしまう、

それが当然の事だけど、彼氏にフラれたり、離婚したり、育児に疲れた時に、

愚痴を溢しに来れる場所、帰って来れる場所を提供したい。


 「別に強制はしません、 各々で判断して下さい大人なんだから、

 ただね、変な道を歩みそうになったら、

 この場所がある事を忘れないで下さい。」


 「頼りないと思う、でも私が全力で手を差し伸べますから、

 多少は信用してください、 期待を裏切りませんからね♪」


 「不謹慎だからね・・・本当は言いたくないんだけどね・・・

 涼子がもし・・・、だったら暖かく迎えてあげましょうって思ってます。」


 「その時は、私だけでなく、みんなで手を差し伸べて欲しいけどね♪」


「私達も・・・?」

 「お願いできませんかね?」


 事務所的に、個人的に、人間同士の相性ってのもあるけど、

流人(わたし)の前では等しく仲良く楽しむ事が出来るよう、

みんなで居場所を共有出来ればいいと考えていた。


 「勘違いしないで下さいね、一番は自分です、2番は好きな人や家族、

 3番は友人、その後に流人(わたし)の事を思い出して下されば十分ですからね♪」


 「わかりましたか?友里さん?」

「・・・全然・・・わからないよぉ?」

 「それでいいんです(笑)」

「如何して?」

 「だって! 私♪・・・世界で一番、わがままですから(笑)」

 

 後ろで控えていた女中に扮した眷属達が笑っていた。



 「さぁ、女中さん達に何時迄も荷物を預かって頂いては失礼ですから、

 みなさん受け取って下さいね♪」


 いつもの様に最初に友里にプレゼントを渡す。

「重ぉ! なに入っているの?」

 「今回は色々です♪」


 中を確認する友里、その間に他の子達にプレゼントを渡す。


「何これ! ぬいぐるみ?」

 「はい、私のモチーフ、シルバーバックのぬいぐるみです♪」

「(笑) なんだろう、表情が面白いね♪」

「確かに、流人のドヤ顔に雰囲気が似ているよね?」

「本当だね、表情は違うんだけど・・・いいね♪」

「でも・・・重いよねこれ!(笑)」

「確かに・・・10kg は有るんじゃない?」

 「6kgですよ♪♪」

「重過ぎだよね!」

 「安定と安心の重さですよ(笑)」


 友里がぬいぐるみを後ろから羽交い締めにしていた。

「こうすると落ち着くね♪」

「肘掛にもいいよこれ♪」

 「6kgなので、洗濯も出来る筈ですから♪」

「水分含んだら洗濯機壊れるよね?」

「うん、多分・・・洗えないよこれ!」

 「え! 6kgまでってよく書いてあるじゃないですか!」

「そうだけど・・・!」

「その為に6kgにしたの?」

 「そうですよ♪」

「・・・。」

 全員が呆れていた。


「まぁ〜洗えないから、汚さない様に服でも着せようかな?」

「いいねぇ♪」

「トレーナーなら入りそうだよね♪」

 「私で、着せ替えするのは止めてぇ〜」

「なんか、そう考えるといい感じだよね♪」

「そうね(大笑)」


 ぬいぐるみの他に入っていた、スタジャンを取り出しぬいぐるみに着せだす。

「へぇ〜可愛い♪」

「いいじゃん、似合ってるね♪」

「ってかこのスタジャンお洒落だね?」

 「でしょう? デザイン苦労したんだから♪」


 袖はレザーを何度も滑し、羊毛の様な綿と変わりない柔軟さまで加工、

軽量と保温性の綿をブレンドして糸にして縫製し、

背中には、society sister's と書かれ、その下には、

シルバーバックのワッペンが刺繍され、胸元にはRのワッペンが刺繍されている。


「白とピンクって汚れ目立ちそう(笑)」

 「女子用だからね、ライトピンクが使いたかったんだ♪」


 試着して感覚を確かめる辺りは流石モデルさんだなぁっと思う流人だったが、

直ぐに彼女達の視線がある物に集中した!


「! これなぁに?」

「え! 口紅?」

 「リップクリームです。」

「え! 欲しかったんだよね♪」


 モニターモデル達のアンケートでも要望が強かったリップクリームを

試作品も兼ねて2種類造っていた。


 「片方は、ベタつかないサラサラ系のリップで保湿効果が高め、

 もう一つの方は、ぷるんぷるん系で、潤い重視タイプです。」


 説明を聞きながら即座に使っていたモデル軍団達、

「流人、お酒の味は変わらないの?(大笑)」

 「香料が混ざっているから変わるかも?」

「なら私は止めておくわぁ(大笑)」


「凄い! ぷるんぷるん♪」

「こっちはベタベタしないからコップに痕が残らないわね♪」


「「「「「流人!」」」」」

 「はいはい、年明けから販売いたしますよ♪」


 冬場だと、ウール系の毛や綿毛が口に付いてしまう事が多いそうで、

サラサラ系で保湿力がある商品は今までになかったそうです。


「今回・・・品物があり過ぎじゃない?」

「そうだね・・・嬉しいけどさぁ」

「大丈夫なの?」

 「大丈夫? (笑)心配いりませんよ♪」


 流人のブランドは、二十代の女性を中心に人気が出始め、

効果がはっきりと確認出来る事から、各世代層へ広がっていた。


「そう言えば冬物の甚平、売り切れてたわよね?」

「そうそう、買えなかったぁ」

「私も」

「私は買えたよ♪」

 「難しいよね、 枚数をどれだけ作ればいいのか分からんのよ(汗)」

「一杯作ればいいじゃん!」

「そうだよ売れてるんだし?」

 「そうだけど、みんな同じ服を持ってたら飽きない?」

「・・・確かに」

「でもいい物は欲しいよね、化粧品みたいに♪」

「そうだよね♪ 流人の化粧水とか欠かせないもんね♪」

 「種類を増やせないしね、増産するにしてもね・・・」


 長考になりそうな空気を察したコンビから!

「「流人!」」

 お酒大好き酒豪コンビが我慢の限界に来ていた!


 「ごめん(笑)」

 「それじゃぁ〜みなさん、グラスを持って!」

「はぁ〜い♪」

 

 「今年もお疲れ様でした、来年も宜しくお願いします、乾杯♪♪」

「「「「「乾杯♪」」」」」 


 「未成年はお酒は駄目だぞぉって忠告したからね?」

「「はぁ〜い♪」」


「ちょっと流人! このお酒美味しいわね♪♪」

「本当、飲みやすいしいい香り♪」

 「和っ子さん、師匠も大好きな萬寿です♪」

「・・・そうなんだ・・・なんで知ってるのよ?」

 「何度かプライベートで飲みましたので♪♪」

「そうなんだぁ・・・。」


「料理も美味しい♪」

「お出しが美味しいね♪」

「なんだろう、全ての食材が主張しているのに一つに纏まっているよぉ」

「私達って今、凄い贅沢をしているんだろうね(汗)」

「そうだね・・・(汗)」


 「気にしないっの! 美味しい物を食べて美味しいお酒を飲む♪」

「本当よねぇ♪ 美味しいわぁこのお酒♪♪」

「あのハゲ♪ いい物飲んでいるんだね(大笑)」

 「わぁ〜♪ 和っ子さんが師匠に暴言を吐いてる(笑)」

「いいのよぉ、いつも私達にはこんないい物飲ませてくれないんだから(大笑)」

 「そうだったんだ♪」


 師匠の話を聞けて嬉しい流人、

他のみんなも、温泉宿の忘年会を楽しんでいる様子で一安心していた。


 

 宴も終わり深夜、

流人は酔いが覚めて来たので温泉に入りに地下の浴場へ向かった、


 「温泉の成分は・・・塩化系が多いのですね♪」


 「精神安定には丁度いい効能の様ですね♪」

 っと温泉のお湯を確かめながら一人で入浴していると!


「ほぉ〜らいたぁ!」

「やっぱりいたね♪」


 「なんで?(汗)」

「一緒に入ろうと思ってさぁ♪」

「そうだよね♪」

 「おかしいでしょう? 露天の方へどうぞ?」

「夜は危ないでしょう暗いしね(笑)」


 慌てる流人を面白がる姉御衆だった。


「別にいいでしょう、タオル巻いているんだから」

 「タオルって! 水着は?」

「着てない! なんだろうね、温泉に浸かっている気がしないんだよね(笑)」

 「いや、いや、おかしいでしょう? 」


「見えたら見えたでいいじゃない、サービス♪サービス(笑)」

「そうそうサービス♪(笑)」

 

 流人が出ようとすると!

「逃げるのかぁ〜!」

「そうだぞぉ〜!」

「情けないなぁ〜腰抜け〜!」っと罵声が飛んで来るので不快になり湯に戻る、


 「もう〜なんなんですか?(怒)」


「少しお話ししたいなぁ〜っと思ってさぁ(笑)」

「そうだよね・・・」

「今後の付き合いも考えないとね♪」

 「??」


 流人の気持ちや思いを理解したけど、やり過ぎと嗜める姉御達、

「少なくとも、次からは参加費を徴収しましょう?」

「そうだね、流石にただでは気が引けるよね!」


「うん、料理だけでも幾らするんだろうって考えてたら、

味しなくなっちゃうよね(笑)」


 「でも、徴収って行っても難しいでしょう?」


「そうだよね・・・」

「いくらかかったの?」

 「分かりません。」

「そんなんで大丈夫なの?」

 

 心配する姉御達だが、必要経費として毎年支給されているので、

流人自身が幾ら掛かっているか知る必要もなかった、

抑々、流人が必要なだけ経費は補充され続けるのだから。


 流人に甘えているだけの関係では長続きはしないし、

世間から変な風評が飛んで来る恐れもあると指摘される。


 「確かにね・・・。」

「全額は無理だけどさぁ・・・」

「私達も参加しているっていうか、協力したいじゃん♪」

「そうだよね、長く続けるなら・・・。」


 「じゃぁ!年会費を頂きましょう♪」

「年会費?」

 「春は花見、夏は花火、秋は紅葉、冬は・・・温泉、それと新年会かぁ」


 年間5回、みんなで集まる会を定例として、年会費を参加者から頂く、

運営する流人はその参加費を運営の足しにする。


 「如何でしょう?」


「如何でしょうって言われてもね・・・。」

「年会費って幾らになるの?」

 「そうだね・・・5万円じゃぁ〜少ないか?」

「そう言うと思った(怒)」

「流人、参加するんだからそれなりの負担もしないと意味ないよ(怒)」

 

 「そうだけど、未成年もいるしね?」

「じゃぁ〜、未成年は10万円で、成人達は20万円!」

「20万かぁ・・・如何なんだろう?」

「1回の会費として5万円なら結構な額だと思うよ?」

「そう考えるとね・・・」

「むしろ高い位だと思うけど・・・流人だしね(汗)」

 「?」


「流人! ぬいぐるみって幾らで販売するの?」

 「ぬいぐるみは売らないよ♪」

「え!」


「じゃぁ〜スタジャンは?」

 「う〜む・・・20万前後かな?」

「随分するのねぇ?」

 「今回革の素材と滑しに手間が掛かったからね♪」


「分かったでしょう?」

「納得だわ」

 

 普通、合コンや飲み会の会費で5万円は途方もない金額だが、

流人のプレゼントはその額を遥かに超えている。


 「でも毎回、スタジャンを望まれても困るよ?」

「誰も望まないって!」

「そうよね、でも甚平か浴衣は欲しいかな♪」

「アレなら、会費と変わらなかったよね?」

「でもそうなると飲食分が・・・ねぇ」


 「無理することはないよ! 無理こそ長続きはしないからね?」

「そうよね・・・。」

 

 湯船に浸かりながら、大人の事情を会議して、

のぼせる前に出た結論が、成人からは10万円の会費を徴収し、

未成年達は、パシリとして奉仕することになった。

 

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